外気温が30℃を越す様になりますと、室内温度もそれに近くなります。 室内にそのまま発酵ボリタンをおいた場合、水温は25℃を越してしまい場所によっては、30℃を越してしまうかもしれません。 その場合乳酸菌や酢酸菌が発酵しやすくなり、できあがりの味はすっぱくなってしまいます。 発酵最適温度は20℃から24℃(評価では21℃から22℃がよい)ですので、その差をいかにするか。 一日中部屋にいてクーラーをかけてそこに置いておくというのも方法ですが、なかなかそうもいきますまい。 湯船に水を張ってつけておくという方法もありますが、水道水自体が25℃を越してしまえばもはやお手上げです。 そこでお勧めしたいのがクーラーボックスと保冷材を利用した簡易冷蔵庫方式です クーラーボックス とろ箱や発泡スチロール容器でもOKですが密閉できるもの 実験で使用したものは25Lのもの。 開口部24cm*38cm 底辺部21cm*36cm 高さ31cmの市販品 ホームセンターで2000円程度で販売していました。 発酵容器 クーラーボックスにすっぽり納まるもの。 上部には保冷材のスペースが必要です。 実験で使用したものは16L。横24cm 奥行き21cm 高さ31cm ホームセンターで取り寄せ購入したものです。 クーラーボックスにぴったりとはまりましたが、蓋の上に隙間はほとんどありませんでした。 保冷材 大・中・小 ハードケースやソフトケースなどさまざまなものが売っています。 300gや500g入りの柔らかいものが使いやすいです。 今回はホームセンターで購入した、二つ折れできる300gのものと 500gの物を使っています。 実験ではデジタル温度計で直接水温を常時計測しました。 が、棒温度計でOKです。 氷 イースト添加前の液温を冷やすときに使います。 実験ではコンビニなどで売っているアイスパックを使用。 家庭で作った氷は雑菌が多いと思われますのであまりお勧めではありません。 1.前工程 まずポリタンに水を入れておきます。 私は前日にすべての水を煮沸し、1時間そのままおいてからポリタンに入れています。 ポリタンは水を張ったバスタブにて冷ましています。 それはちょっと という場合は、せめて60〜70℃で2時間ほどおかれることをお勧めします。 これで雑菌による雑味をかなり低減させることができます。 2.ワート液づくり 通常と同じくワート溶液を作ります。 でき上がりの温度はほぼ100℃。洗い場に水を張って急冷させます。 そのまま湯冷ましにしないのは、夏場はなかなか温度が下がらないことと、バクテリアが 好む温度帯38〜46℃をできるだけ短時間に通り過ごしたいからです。 しかし水道の温度は28℃だったので、これ以上の低温は望めません。 15分ほどステンレス鍋を流水においたら全量3.3Lのワート溶液は33.55℃になりました。 ポリタン内の水温度は25.3度 量は10.4Lです。 ではこの二つを混ぜたら何度になるでしょう。 混ぜてみるのが早いのでしょうが、その温度があまりに高いとさらに冷やさないといけないのでちょいと計算してみましょう。(数式は簡易方です) 温度=(溶液A*Aの温度+溶液B*Bの温度)÷(溶液Aの温度+溶液Bの温度) =(10.4×25.3+3.3×33.5)÷(10.4+3.3) =27.2℃ 実際混ぜてみると約28℃でした。 うーん そのまま発酵させるには少し温度が高いですね。 では全量13.7L 28℃の水に何キログラムの氷を混ぜたら22℃になるのでしょうか 13.7Lの水温を6度下げる場合の必要な冷熱は 13.7×6=82.2Kcal 氷1kgあたりの冷熱は80kcalなので 82.2÷80=約1kg ということは1kgの氷を投入すれば計算上は22℃になります。 実際に1kg混ぜてみますと約20℃でした。 3.発酵 この溶液に、事前に予備発酵させたビール酵母(体温程度の砂糖水に15分ほどつけて活性化させるとなおよい)を投入します。 水温が想定より低かったので、保冷材は入れずに水温が22℃まで上がるのを待ちます。 データとしては、室温28〜29℃の状態で、保冷材を入れなかった場合、1時間に約0.5度上昇しました。 22℃の時点で保冷材600g(300gを2パック)ポリタンの上に置きます。 この時の時間は夜10時 そのまま翌朝8時までおいておきます。 翌朝8時の時点の水温は22.5℃ なかなかいい状態です。 通常発酵時においては発酵による熱上昇が2℃ほどでます。 この時点で保冷材を入替えます。日中になるので300gを5パック入れました。 当日の20時での温度は22.1℃でした。 上記の説明ではややこしいことを書きましたが、要は一日2回クーラーボックスの中の保冷材を入れ替えればよいのです。 ポリタンの横に棒温度計を置いておいて、入替時にその温度が20℃から25℃に入っていれば上出来です。 もし温度が高ければ保冷材を多めにセットし、少なければ減らせばいいだけですから。 なお水温はV字型カーブを描きます。 つまり最初に保冷材を入れた時点ではポリタン内の水温は下がっていき、保冷材のパワーが弱まると共に水温は上昇していきます。 つまりチェック時の液温が常に22℃であったとした場合は、こう考えられます。 22℃の液温は保冷材によって6時間後に19℃まで下がり、その後上昇し6時間後に22℃になった。 この場合の発酵温度は22℃から19℃の間となりますね。 最悪の場合でも水温は室温と同じになるか、発酵温度を下回るかです。 さあ びしばし チャレンジしてみましょう! |