「夏季における発酵温度の保ち方」でクーラーボックスを使った一次発酵の保温方を紹介していますが、クーラーボックスは正方体の形があまりなく,大き目のものは横長で、発酵容器がうまい具合に収まらないことが多いですね。 今回は8mmの発泡ウレタンを使った縦長の折り畳み式クーラーバッグがありましたので、それの実測データです。 外気温30度を超える日中でもほぼ22-23℃程度を保っており、結果的にはなかなか使えます。 真夏だけでなく、気温差の激しい季節でも発酵温度を比較的一定に保てるのではないでしょうか。 20リットルでのデータをアップしています。33リットルは容器の納まり具合の画像を6.で紹介しています。 クーラーバッグは、ホームセンターなどでも売っているものを使用。 内側は袋状のビニル張りで取り外しもでき、小さく折り畳みも可。(ショルダーベルトもあり)サイズは奥行き30cm 幅32cm 高さ35cmで2Lペットボトルを立てて6本入るものです。 ふたの裏側に保冷剤用ポケットがついているので便利です。
2.実験スタート クーラーボックスは、直射日光のあたらない室内のテーブルの上に設置。 通常通りモルト缶の中身を溶かして、鍋を水につけて冷やしてから発酵容器に入れました。総量は約13リットル(モルト缶の銘柄はマックスのザーツペイルエイル)です。 計測温度は5種類をチェック。 ・測定時の室温(クーラーバッグより水平方向50cm地点を計測) ・測定時の発酵溶液の温度(発酵溶液の中間地点) ・前回測定時から今回測定時までの、発酵溶液の最大温度と最小温度 ・中間温度:発酵容器とクーラーボックスの間の温度(高さは中間地点) 各温度を1時間毎に測定し、一次発酵期間終了までの227時間を計測。(約9日強) スタート時の発酵溶液の液温は23.5度。 室温は30.1度 実験開始日は8月3日 終了日は13日 なお計測期間中は、冷房は入れていません。 温度チェックシートは次のものです。 5つの温度データから、測定時の液温を省いてグラフにしてみました。 保冷材は中間25度から30度の青縦線で表しています。(1000cc一個の入替) 30度から35度の青縦線は3000ccを投入(一回だけ)したものです。 計測期間中の室温の最高は33.4度 最低は25.7度でした。
イースト投入後の時間推移による液面の状態です。 初期比重は1.043(24度) 最終比重は1.012(21.4度)でした。 24時間目 28時間目 44時間目 の状態 24時間目では、仕込み直前とさほど変わらなかったのが28時間目では泡が出てきました。 44時間目には盛んに発酵しています。 この段階では、外気温だけではなく、発酵時の発熱で液温が上昇します。 49時間目 68時間目 118時間目 さらに発酵が盛んになり68時間目では泡の表面におりがつく程度までになっています。 118時間目には、主発酵は終わり、次第に落ち着いてきた様相がうかがえます。 142時間目 166時間目 188時間目 発酵は緩やかですが続いています。 188時間目にはかなり落ち着いてきたようですのでもうそろそろ一次発酵の終了ですね。 5.総括 今回は途中やむなく不在の時間がありましたが、たとえば土曜の朝に外出して日曜の夜に帰ってきた状況の対応として役立ちそうです。 デジタル温度計を直接溶液内につけましたが、データからは発酵溶液とバッグの間の温度を25度前後に保てれば、溶液の温度はほぼ22度から23度に保てるようです。 (バッグと容器間に棒温度計を立ててチェックしてもそれなりに判断できるかと思います) 227時間の全発酵時間における1000cc換算での保冷材の使用個数は、19個でした。 ほぼ12時間に一個の割合ですね。 盛んな発酵がおこる2日目から4日目までは時間間隔を短めにして、それ以降は長めにするとほぼ一定温度を保てるかと思います。 クーラーバッグを利用した一次発酵は手軽なわりには効果が高いようですね。 ぜひお試しください。 6.追記 33リットル分での発酵容器の収まり具合 20リットルと同じ仕様のままで横幅を広げた形になっています。 下の画像は、左が10L 右が15リットルの容器を入れたものです。 10リットルはかなり隙間が多いです。15リットルもちょっと隙間がありますね。 下の画像は、左が20L 右が20リットル筒型の容器を入れたものです。 20リットルはちょうどいいです。 20リットル筒型では縦にしますとちょうど収まります。 25リットル筒型は高さがつかえてしまいバッグに収めることは出来ませんでした。 |