「フルーツ缶詰でワインですか。なんか試しに飲んでみたくもあり、ちょっと遠慮したくもありですね。」
「缶詰のいいところはですね。まず年中あること。種類もいろいろあるし、品質もほぼ一定だしね。」
「それってお勧めということですか?」
「いやいや 今回は発酵の実験としていろいろ試してみるのだよ。何ができるか楽しみだな〜」
今回は実験工房として、できるだけそのままの状態で発酵させてみました。
さてどうなることやら

実験に必要なもの・準備するもの
フルーツ缶詰でワイン
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フルーツ缶各種
砂糖 必要量
ワイン酵母
ミキサー
比重計
発酵用容器
消毒用アルコール
缶きりなど
左からライチ・ブドウ・マンゴー・ペア・白桃の順です。
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1.材料と道具をそろえます。
2.まずは缶裏に注目
品名や形状・果肉の大きさ・原材料名などが記載されていますね。
たとえば品名ですと、白桃:シラップづけ(ライト) や ライチー・シロップづけ や マンゴー・シラップづけ(ヘビー)
などと書かれています。
缶詰の記載には基準が設けられています。
農林水産省が告示している「農産物缶詰及び農産物瓶詰品質表示基準」がそうです。
この基準によりますと、水に砂糖を加えたものは以下のような表示となります。
1.可溶性固形分が10%以上14%未満の場合:シラップづけ(エキストラライト)と記載
2.可溶性固形分が14%以上18%未満の場合:シラップづけ(ライト)と記載
3.可溶性固形分が18%以上22%未満の場合:シラップづけ(ヘビー)と記載
4.可溶性固形分が22%以上の場合:シラップづけ(エキストラヘビー)と記載
市販されているフルーツ缶の多くは、ライトもしくはヘビーが多い様です。
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可溶性固形分とは全体に占める糖分の量で、イコール糖度となります。
これがジャムとなりますと次のようになります。
糖度65%以上:高糖度
糖度55%以上65%未満:中糖度
糖度40%以上55%未満:低糖度
やはりフルーツ缶詰とジャムとでは糖度がずいぶんと違いますね。
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3.缶ふたを開けます
左からライチ・ブドウ・マンゴー・ペア・白桃の順です。

4.ミキサーにかけます
最初フードカッターでしましたが、ふたの隙間から溶液がぶっ飛び大変なことになりましたので、急遽ミキサーに代えました。
左からライチ・ブドウ・マンゴー・ペア・白桃の順にてミキサー前の状態です。
缶の果実とシラップの全量を入れています。
この段階では水や糖は入れていません。
5.ミキサー後の状態
大体想像がつくかと思います。ライチとペアの状態です。

6.比重を計ります
今回はできるだけなにも入れずに原液だけで発酵させる趣旨でしたが、種類によってあまりのネクター状で比重計が全く沈まないものもあり、やむなくそれには水や糖を加えました。
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ライチ原液重量594g 追加水100cc 初期比重1.060
ブドウ原液重量323g 初期比重1.048
マンゴー原液重量424g 追加水500cc 初期比重1.062
ペア原液重量434g 追加水400cc 初期比重1.070
白桃原液重量413g 追加水500cc 砂糖100g 初期比重1.056
比重の値としてはちょっときつめのビール程度でワインとしては低い値ですが、この状態で発酵させてみます。
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7.ワイン酵母をふりかけます
8.発酵させます
まだ寒い時期でしたので、ホットヒーターと電圧可変器を使い約22度程度にて温度を保っています。
真中は6日目のペアーの発酵状態真上 右は白桃の横からの状態です。

9.発酵終了 比重の計測
13日間発酵させました。
全ての種類で果肉と果汁が分離しています。画像はぶどうです。
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通常ですと、漉し布で果肉を分離し、汁だけ瓶詰めしますが、今回はそのまま全量を瓶詰めしました。
ライチ最終比重 0.998 度数計算値6.5
ブドウ最終比重 0.994 度数計算値5.7
マンゴー最終比重 0.998 度数計算値6.7
ペア最終比重 1.004 度数計算値6.9
白桃最終比重 0.992 度数計算値6.8
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10.熟成させます
弱今回は1ヶ月ちょいとかなり短いですが、待ってられないので途中で切り上げました。
左からライチ・マンゴー・ペア・白桃の順で、熟成途中の状態です。

11.さて どんな味?
左からライチ(上澄み)・マンゴー・ペア・白桃(上澄み)の順です。

ライチ:ほのかにライチの香りが漂い、わりとさわやかな味でさほど酸味はないです。
度数は結構きつく感じますね。舌触りはさらっとしています。
ブドウ:原料はブドウですが、ワインとは思えない味で結構すっぱくピリッとした味です。
マンゴー:うすーいジュースのような味で、混ぜるとネクターのようにどろっとしています。
果肉のあるところは舌触りはよいです。
酸味は少しあり、甘味はほとんどなく、アルコール臭さもなし。上澄み部分は水っぽいです。
ペア:さほど酸味はなく、甘味のないネクターのような舌触りですが、味はすっきりしています。
甘さはほのかで、香りもうっすらですがいい香りです。上澄みはあっさりとして水っぽいです。
白桃:すっぱいワインの感じで、ややアルコール味を感じます。
上澄みは、酸味を感じるがきつくはなく、フルーティでわりとすっきりした味です。
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やはり初期の比重がかなり低めでしたので、ワインというような仕上がりにはなりませんでした。
本格的?に缶詰ワインを造られたい場合は、当店でも紹介しています「秘密のワイン造り」にて りんご・フルーツカクテル・洋ナシ・パイナップル の4種類が約9ページに渡ってそのレシピが載っています。ご参考までに。
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