読感05年下半期

05/7/18読了『墜ちていく僕たち』
 星新一のような雰囲気がある、という印象を受けました。面白かったです。

05/7/18読了『爆笑問題が読む龍馬からの手紙』
 なかなかよかった。

05/7/18読了『爆笑問題の犯罪12選』
 このテーマを、下品な笑いにせず、また深刻に扱わず、絶妙なバランスのある文章です。

05/8/31読了『ツチヤの口車』
 パターン化していますが、それでも面白い。

05/9/10読了『紀貫之』
 古今和歌集の選者が下級貴族ばかりであったことが、ずっと気になっていたが、それに対す
る見解があり興味深かった。土佐日記の内容を土佐から帰任するときの日記程度に思ってい
たが、本書に示されているような土佐日記の解釈を一般人は知らないのではないかと感じた。
高校までの教育で古典文学との接点がなくなっている人には、新鮮なことが多いと思う。また、
文章も読みやすい。原文をそのまま記載しているところが多い上、その現代語訳を載せていな
いのに、気にならなかったのは、著者の文章構成力が冴えているからだと思われます。

2005/9/17読了『博士の異常な発明』
 なかなかよかった。

2005/9/18読了『ザ・勝負』
 まあまあよかった。

2005/9/19読了『外貨で3000万円儲ける法』
 なかなか興味深いです。為替の変動をシンプルとは考えませんが、株よりかは儲けやすいよ
うな気がしてきます。かといって、株なんかしたことありませんが。
 日本経済や円に対する認識が、だいぶ厳しくまた現実的であります。 円安リスクについての
議論(p.67)は、この本の基底にあるものだと思います。
 FXへのりだすのに、リスクを十分説明しており、為替変動要因を整理しており(p.84)、初心
者に良い内容と思います。
 実際に始めていないので、売りから入るときのスワップ金利の支払の議論(p.119)は、いまひ
とつぴんときませんでした。

2005/9/19読了『不健全な精神だって肉体に宿りたいのだ 2』
 前作に比べてエネルギィが感じられません。勿論、おもしろかったですけれど。
(p.77)なんともいえませんが、一応。
 誤:…今も暑い中書いているので、私の文書がくどい…
 正:…今も暑い中書いているので、私の文章がくどい…

2005/9/19読了『捩れ屋敷の利鈍』
 ひきこまれます。よかったです。
 p.92のメビウスの帯の捩れ(90°か180°か)の状態が頭で想像できませんでした。

2005/9/23読了『迷宮百年の睡魔』
 物語の舞台がパステル調のイメージです。
 いろいろ書きたいこともありましたが、時間がたちすぎたので省略します。イメージがダイレク
トに頭脳に飛び込んでくるというよい小説の条件を満たしている作品です。

2005/9/24読了『図解早わかり ゴルフ入門』
 やはり基本をきちんと学ぶと違います。本当に学んだかどうかは、次回のラウンドのスコアで
わかるはずです。
 ルールでドロップするときに「ホールに近よらず」とは、ホールとボールを結んだ線を半径とす
る円の外側ということのように思える。直感的には、ホールとボールを結んだ線を半径とする
円の接線の外側(円の中心と反対側)のことをいっているように思われる。実際はどっちなんだ
ろう。
 その他よく分からなかったことは次の通り。
 ・ロストボールはワンペナでティーグラウンドから打つことなっているが、会社のコンペでは違
うことをしてような記憶がある(p.155)
 ・アンプレアブル(p.156)とウォーターハザード(p.161)の場合のペナルティ等。
 ・グーズネック(p.170)は具体的にどんなものか。
 覚えた方がよさそうな事項は次の通り。
 ・クラブの名称(p.17)
 ・球の飛び方(p.177)
(p.23)文中にハンディキャップは計算結果を四捨五入するとなっているが、例では25.55とな
った計算結果からハンディを25と記載している。
(p.29)
 誤:…日本プロ選手権ような
 正:…日本プロ選手権ような
(p.29)
 誤:…やはりうま人からは…
 正:…やはりうま人からは…
(p.171)
 誤:…jiger
 正:…jigger
(p.176)「パス」の項目で、用語集なのに、その用語の解説をしていない。

2005/9/24読了『やっとかめ探偵団と鬼の栖』
 やっとかめ探偵団シリーズは、ミステリィの中味ではなく、主人公たちのほのぼのさに味があ
ります。

2005/10/2読了『人間は考えるFになる』
 お互いの軽妙な語り口が絶妙です。
 (目標の達成には貢献していないが、多量の仕事をこなすと)「仕事をしたという気になって、
安心するんです。」(p.18)といった指摘には、身が引き締まる思いです。
 「プラスとマイナスで積分値を取ると、絶対マイナスだと思います。」という台詞がちょっとひっ
かかりました。意味もよく分かりませんが、ちょっとアンフェアではないかと思いました。

2005/10/9読了『アンチ・ハウス』
 ここで取り上げられた建物の特長である「4次元立方体の3次元への等軸投影」は読んでも
よく理解できませんでしたが、建物を建てる過程や建築に対する建築家の思いの一端に触れ
た気になります。

2005/10/16読了『ふしぎの国のアリス』
 いろいろなところでこのお話のパロディが出てきますが、実際読んだことがなかったので、読
みたいと思っていました。取り留めのない話だという印象でしたが、なかなかよかったです。グ
リフォンと偽ウミガメの場面の言葉遊びの中ででてくる詩は、どんな含みがあるのかがよく分か
りませんでした。ちょっと英語力がたりなかったようです。余裕があれば、日本語訳も読んでみ
たいと思います。

2005/11/3読了『1日1分英字新聞』
 短い文章が多く、読みやすいです。継続しないと英語力はつかなさそうです。もとは、メール
マガジンですが、こちらの方が英語力養成にはいいと思いました。本は、パソコンのない人向
けかと思います。
 「一定の速さで英文を読むことができない人は、その速さの音声を聞き取ることはできませ
ん。」(p.164)という文章の生物学的妥当性は定かではありませんが、語学学習への教訓とし
ては、こころに響くものがあります。

2005/11/6読了『ビジネスマナー1分間レッスン』
 最近の若い人々のマナーについて随分諦観している感じがします。入門にはよいと感じまし
た。

2005/11/13読了『派遣のおしごと PC&ビジネススキルブック』
 ビジネススキルについては、つまみ食い程度で網羅されていない感じします。派遣社員の待
遇などについて、詳しいホームページアドレスを紹介している点が参考となると思います。ただ
し、ネットが使える人は本を買うよりネットで検索した方が安上がりか?

2005/11/19読了『大学の話をしましょうか』
 シニカルな視点がなかなか小気味良いですが、外部となってしまった人間の発言は過去の
事象についての発言であるという足かせがついてしまうように思います。おそらく著者本人にも
その自覚があると思われるので、きっとこの手の著作はこれで最初で最後ではないかと思いま
す。
 さて、内容は、どうやって大学に関する情報を解釈して処理するかというものです。示唆に富
んだものが多いのですが、少数派に属するのではないかと思われる意見が多いです。おそら
く、こうした意見を持っている人は、正しいと信じている意見を声高に宣伝してまわる必要性を
あまり感じていないのではないかと思います。きっと、いずれは正しいものが淘汰されると考え
るか、歪んだ意見で社会が運営されても個人の生活に表面的には大した影響はないと考えて
いるからだと思います。
 気になったフレーズをピックアップしてみましたが、うすい本のわりに、沢山になってしまいま
した。
 「…そういった雑音を排除して、自分が見たもの、自分が触れたものをデータとして、単純に
割り出す。その答えを信じることです。」(p.9)
 「「このままではじり貧になる」と言う人には、「じり貧になっても良いのではありませんか」と笑
って言ってあげることにしましょう。」(p.31)
 「ところが、子供がお母さんに「お腹が空きましたので、ご飯を食べたいと思います」というしゃ
べり方をすると、「なんだ、子供らしくない嫌な感じだな」という印象を持つわけです。そういった
感覚が既に捩れています。」(p.35)
 「…、それから自分が作ったもの、直したもの、手にして観察したもの、それから得られる情
報を、自分のものにする、そしてそれを別の対象にも役立たせる、という力が必要ですね。どう
いうわけか、今の子供たちは、自分が観察したものよりも、人から聞いたもの方を信じる傾向
にあります。」(p.43-44)
 「ビジュアルにアピールするっていうのは、テレビ感覚なんですね、言葉で説明するれば一瞬
で伝達できるものを、わざわざ絵を見せ、動画を見せ、時間をかけて、効率を落として伝える
わけです。」(p.48)
 「環境を維持するためにも、将来は人間の数は絶対に減らさなければならないのです。日本
の人口が減っても、それで日本が滅びるわけではありません。」(p.59)
 「学力が少しくらい低下しても、マナーが悪くても、みんな悪気があってしているわけではあり
ません。競争しなくても良い、みんながそこそこ楽に生きていける世の中になったのです。」(p.
59)
 「問題の解決には、人の助けが借りられる、機械の力も利用できる、しかしどこに問題がある
のかを考えることができるのは、個人の頭脳だけ。」(p.67)
 「普通、他でやったらうちはやらなくても良い、と考えるのが自然でしょう?独自性を出せと言
っているわりに、同じようにしたがるのは何故でしょうか。」(p.131)
 「ただ、他人が読むということを意識した文章でなければなりません。」(p.151)
 「…まず、良い先生を捜さなくてはなりません。そのためには、沢山の講義に出て、質問をし
て、自分で見極めることが大事です。」(p.174)
 「そして、その抽象的な夢を実現するためには、意外に沢山の具体的な手段があるもので
す。具体的な夢をさきに思い描くと、あとになってイメージが異なっていると落胆することになり
かねません。」(p.178)

2005/11/21読了『公会計革命』
 これをよんでも「国ナビ」自体の作成方法やデータベースへの元データのインプット方法はわ
かりません。会計における完全性が重要である旨はの本書でも触れられていますが、「国ナ
ビ」が完全性をもった仕組みであり、それがどのように担保されているかは曖昧です。新書で
すからしかたありません。
 重複している文章が多いわりに、今ひとつ印象に残るコメントがありません。とくに本書の前
半は「国ナビ」という「すごいもの」をつくったという自慢をしたいだけではないかと思われるほど
内容がない。後半は自慢をするつもりで作った文章なので、その点で意図どおりの内容がある
と思われます。結局、すべてが自慢なのかというと、勿論ところどころそうではない点もありま
す。
 この本への不満は「国ナビ」が「すごいもの」であるということを、「このようなすごいことができ
る」といっているだけで、どうしてそうしたすごいことができるのかを説明していない点です。
 「このようなすごいことができる」という根拠は、「国ナビ」が国がおこうなう取引や債権債務、
資産の評価を網羅して表示しているという点にあるわけですが、完全なデータによる「国ナビ」
がどのように「すごいこと」をさせるのかが、この本を読んでも今ひとつピンときません。
 きっと、本書が大上段にかまえて、自慢に満ち溢れているのに、論旨は至極当たり前のこと
しか述べてないからだと思います。
 「…公会計の目的は、単なる企業会計と同じ「アカウンタビリティ」の観点にとどまらない。」(p.
170)と述べて、「パブリック・ガバナンス」の観点が含まれるとコメントしています。しかし、企業
会計にだってコーポ-レート・ガバナンスの観点が含まれているのではないかと考えます。おそ
らくこうした反論には、「本書では、今の企業会計は確かにコーポレート・ガバナンスの観点を
含んでいるが、かつての「単なる」企業会計にはそうした意識は低く、そうしたふるい企業会計
観をもった読者にわかりやすくするための比較である」と再反論するように思われる。
 こうした文章に説得性を持たせる為に、巧妙に言葉を使い分けて、レトリックで読者をねじ伏
せようという雰囲気が感じられるのは自分だけでしょうか。
 また、本書p.176では、企業会計におけるキャッシュフロー計算書が間接法で作られているこ
とに触れているが、やや唐突に記述されている観がある。著者の意図は、おそらくパブリック・
ガバメントの観点からは資金勘定は完全な透明性が求められ、直説法で作成するキャッシュ
フロー計算書を作成する公会計を、この部分に関しては企業会計に対して優位さある旨を説
明したかったのではないかと考えます。しかし、実務におけるキャッシュフロー計算書作成の苦
労からすると感情的にこの文章は許容しがたいものがありますし、連結中心となっている現在
の有価証券報告書のキャッシュフロー計算書は、現時点では間接法で作成せざるを得ないと
いう事情をわざと見ていないのではとの憶測にかられます。将来的には単体決算に関して言え
ば、会計データ処理技術の向上により直説法が主流になるのではないかと思います。
 本書p.187では、B/Sを直接増減する手法が企業会計にはないという風によめるコメントが
のっています。そのようなことをしなくても、評価損などは当期のP/Lにあてればいいのではな
いかと思いますが、そうしてはいけない理由がとくに記載されていません。何か根本的なタブー
に触れるわけではないのなら、わざわざ企業会計から乖離した会計処理を導入しなくても良い
のではないかと思います。
 続くp.189では、東京都方式の欠陥として「社会資本整備等活動財源調整」勘定をあげてお
り、その前段でこの欠陥を「…、そのような巨額の誤差が生じているにもかかわらず、その原
因究明ができないという問題点」(p.188)と指摘しています。もし、本当に東京都がこの勘定の
内訳を把握していないとすれば、欠陥と言わざるをえません。しかし、こうした勘定を表示する
為には、すくなくとも原因となった仕訳が必要になるのだから「原因究明ができない」は言い過
ぎではないかと考えます。結局は、「国ナビ」においてもこうした公共工事などの投資をこれま
でになかった計算書として表示することにしただけで、やっていることは企業会計における固定
資産増減明細の公会計版ではないのかと思います。おそらくは、それこそが理念部分を表す
重要部分であり、単なるB/Sの内訳ではなく独立した計算書であるという点で著しく企業会計
と相違する「国ナビ」の特長であると、著者は考えるのだと思います。
 本書文末で、「このように、国民経済体系全体に勘定連絡が行きわたった場合、(中略)、民
間セクターにどのような波及があるかを測定できるようになる。」(p.250)としているが、冒頭の
前提が現実味がないからこそ、経済学の研究が日々行われているのであり、能天気な議論だ
との印象をうけます。また、これと同じ土俵で、そもそもの「国ナビ」が論じられているとすると、
「国ナビ」という絵が実は書割で、裏は張りぼてだという懸念も頭をよぎります。そもそも、民間
セクターへのインプットとアウトプットとの関係をどのように認識するかによって、「波及」と捉え
るかどうかにも論点が存在するはずです。
 いろいろ書きましたが、公会計に関する議論は、まだ日も浅いことですし、本書はその先が
けとして、非常に啓発的で有意であると思っています。
 (p.244)おそらく誤字と思われます。
 誤:…このような一国経済全体における信用の連関を、…
 正:…このような一国経済全体における信用の連環を、…

2005/11/21読了『こころのリスクマネジメント<勤労者向け>』
 メンタルヘルスへの注目が高まっていることを最近知って、読んでみました。うつ病は誰もが
なる可能性があるということを受け入れられない人が多いのではないかと思いますが、こうした
冊子が、うつ病やメンタルヘルスの必要性を広めるの役に立つには、もっと企業などの労務担
当者の貢献が必要でしょう。わかりやすく、よくまとまっていると思います。
 
2005/11/28読了『為替の中心ロンドンで見たちょっとニュースな出来事』
 為替とレーダの生活と心の中はどんなものだろうとの関心から、買って読んでみました。もち
ろん、為替自体への関心があったからに他なりませんが。
 「だが、一方で成績に応じたボーナスということについても、誰も実際には満足していない。」
(p.35)
 「為替の主要プレーヤーはこうした情報交換をいとわない。情報が金を生むということを十分
認識しているからである。」(p.146)
 (p.69)挿絵のコメントは、著者にとっては盲点でしょう。
 誤:…通過危機で焼け野原に…
 正:…通貨危機で焼け野原に…
 (p.117)間違いといっていいか微妙です。
 誤:……「あの男の儲け方は汚いとか、せこい」とか文句をつける。
 正:……「あの男の儲け方は汚いとかせこいとか文句をつける。


2005/11/29読了『石油を読む』
 石油の埋蔵量にかかわる話を整理して理解しておきたかったので読んでみました。確かに昔
に比べると技術力も向上しているので、可採埋蔵量は昔と違って落ち込んでいません。また、
石油が金融商品となっていしまっていることが、ニュースでながれると石油価格と実需との乖
離を生んでいるなど興味深い内容でした。
 この本では、地政学的な視点から論じられる資源囲い込みは排除されるべきで、石油の商
品市場を健全化すすめれば石油危機は当面は大丈夫であるとの認識でいる。しかし、中国や
ロシアのような大国が、地政学的な点から、石油に対して力を傾注したらどうなるかという点
を、ややぼかして書いている。実際に、中国がそうした地政学的な判断による投資を行ってい
る事実を指摘しており(p.91)、本書における主張と、市場原理による再分配効果を期待する方
が、経済大国である日本にとって「金ならいくらでもあるから石油をうってくれ」という形でなんと
かなるといっていうようにしか聞こえない(p.175)。
 結局、大国の地政学的な性向(アメリカだって中ロとどうような大国のエゴを押し通す可能性
がないわけではなく、このことも本書では指摘されている(p.93-94))があるゆえに、石油枯渇と
いう問題が、真実と合致していなくても、国際情勢を動かす大きなうねりとなれば、資源小国の
日本は消し飛んでしまうという懸念は、なくならないと考える。
 とくに、石油の代替商品として本書で指摘されている天然ガスについて、やはり本書で指摘
の通り、日本は他国に対して遅れをとっていることを考えると、日本の資源危機という事態は、
実際の石油の枯渇とかかわらず日本に遠くない将来にやってくるであろうことを払拭するには
いたらない内容であると考える。

 ・東シナ海におけるガス田開発の日中双方の権利主張の内容はどんなものか。
 ・ローマクラブ「成長の限界レポート」1972年
 ・日本の東南アジア地域におけるシーレーン防衛
 ・サハリンにおけるLNGパイプラインプロジェクト

2005/11/30読了『決断力』
 TV番組(東京テレビ「ワールドビジネスサテライト」)のコメンテータが羽生善治の著書がビジ
ネスに通じる物があると発言していたのをうけて買って読んでみました。
 なかなかよかったです。
 「自己責任という言葉を最近よく聞くが、リスクを背負って決断を下す人が育たないと、社会も
企業も現状の打破にはつながらないであろう。」(p.71)
 「また、合併したあと、情緒的に人を配置している会社も多いようだ。
  将棋では、たとえば、重荷になりそうな駒であれば早めに切ってしまう。」(p.86)
 「…、教える行為に対して、教えられ側の依存度が高くなってしまうと問題である。」(p.177)
 
2005/12/1読了『赤緑黒白』
 なかなか良かったです。殺人事件のほうはどっちかというと背景という感じがしなくもありませ
ん。主人公が最後にとらなかった行動様式(細かくかくとネタバレなので書きませんが)が印象
的です。森博嗣の作品のどこかしらには、こうした生き方や判断方法もあるんだという発見が
あります。
2005/12/2読了『大人のための文章教室』
 ものを書くことの心構えがわかりやすく整理されています。
 「そして、相手をこちらの希望するように動かすのが、文章の究極の目的なのだ。
  動かすと言うといやらしいようだが、文章とはそういう欲望を持っているものだ。」(p.20)

2005/12/4読了『ゲームとしての社会戦略』
 ゲーム論は、囚人のジレンマや投票行動の矛盾など本書の最初の方でふれられている内容
くらいしか知らなかったので、ちょっと興味がありました。今年のノーベル経済学賞はゲーム論
の研究者と聞いて言いますので、世間的にもタイムリーな話題と思い読んでみました。
 なかなか示唆に富んだ内容で、語り口もマイルドです。入門者にはわかりやすいのではと思
います。とくに「このように、数えることは人の知恵だが、統計はまずこの知恵から始まった。」
(p.100)という「数えること」に関するコメントが印象に残りました。
 また、「なぜなら、それぞれの汚染者にとって、廃棄物を排出前に処理する費用、あるいは製
品を改良する費用は、これらの排出物、大気、水の質の劣化によって彼が被るものに比べて
大きいと、感じられるからである。」(p.148)といういわいる市場の失敗の議論や、それに対す
る市場原理以外の秩序の必要性(「そこで、”臓器売買は悪い”という宗教、倫理、習慣などの
いわいる「自生的秩序」がそのコストの大部分を引き受ける、とされるのである。」(p.150))も、
目新しい議論ではありませんが、改めてインプットしておく必要がある事柄でしょう。
 ゲーム論的な視点は「このようなルールが卓越している社会では、利己主義者は利己的に、
利他主義者は利他的にふるまうことが、役割として”要請”されている。」(p.177)「「現状」が有
している固着力の強さ、現状を変更することの至難、ないしはリスクを、見事に表した実験であ
る・」(p.181)などのコメントがでてくる終章あたりを目新しく感じ、また本社全体としても面白いと
感じました。
 気になった点を列挙しておきます。
 ・パレート最適という前提をつくるメリット
 ・サブゲーム完全
 ・不確実性での意思決定
 ・エントロピーの定義
 ・χ二乗検定における二重クロス表における自由度
 ・リチャードソン『軍備と非安全保障』
 ・T.C.シェリング『Strategy of Conflict』
 ・ロンドン軍縮会議における日本の軍縮幅の不利さについて
 (p.114)
 誤:……の対応値は、38.1,6.63,7.88となるから…
 正:……の対応値は、3.81,6.63,7.88となるから…
 (p.141)
 誤:…という関連で営なまれている。
 正:…という関連で営まれている。
 (p.175)間違いではないかもしれませんが、違和感がありました。
 誤:……、鴨緑江に達す共産党軍介入、…
 正:……、鴨緑江に達す共産党軍介入、…
 (p.176)p.177の今回の調査結果のコメントをみると、(A)の今回の百分率の表示が、裏と表
が逆になっている。コメントと表のどちらが正しいかは断定できませんが、おそらく表が間違っ
ているものと思います。
 (p.181)別に間違いではありません。問13の解説の棒グラフから、先行研究と今回との上下
の表示が入れ替わっている。上が今回で下先行研究との表示を貫徹した方が見やすいと思い
ます。
 (p.185)
 誤:……明確なフォーラム・ポイントを提供するとは…
 正:……明確なフォーカル・ポイントを提供するとは…
 (p.187)別に間違いではありません。問16の先行研究で提示されている金額が文中に言及
がなく、グラフだけなのはやや不親切ではないか。

2005/12/11読了『的を射る言葉』
 なかなかここに書いてることを生活に反映させることは難しいですが、それがゆえに教訓とい
えるのでしょう。気になるコメントが沢山あります。

2005/12/21読了『海馬が耳から駆けてゆく 5』
 脈絡のない話題転換、破天荒な内容、軽妙な語り口で、楽しませてくれます。もちろん、シリ
アスなところも十分あります。


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