読感03年08月

03/08/01読了『theがよくわかる本』
 結局書いてあることは「The implies one and only . 」だけです。でも、こうした単純な事柄の方
がなかなか身につかないので、こうして親切に説明している本はうれしいです。
03/08/06読了『最新版 入門の経済 外国為替のしくみ』
 気分を味わうにちょうどよいかも。1997年版をもって最新版とはちょとといえないのではない
かな?
03/08/11読了『川原泉の本棚』
 どれもなかなかよいセレクトとおもいます。
03/08/13読了『図解 いちばん面白いデリバティブ入門』
 入門のつもりでよんだせいか、ちっとも頭に残りません。感想ではなく引っかかった単語だけ
羅列して置きませう。
 1)ボラティリティと本源的価値
 2)代替リスク転嫁(ART)
 3)カバード・ワラント
 4)金融保証保険
 5)MBS
 6)レポ取引と現先取引の関連
 7)ストリップス債
 8)CLO債・CBO債
03/08/23読了『不死人類の伝説』
 一気に読める(おおっ、それだけか!)。クローン人間がなぜ医学界でタブーとなったかという
ところは、なかなかSFとしてよい設定と思いました(ねたばれか?)。
03/08/25読了『行儀よくしろ。』
 すこしフィーリングで書いているのではおもわせるが、良いと思う。「人間の行動は、その民族
の文化の美の中にあるのだ」(p.122)ということが主要な論点と思われる。
03/08/30読了『パイドロス』
 旅行中によんでましたが、すこし難解でした。…つづく。
 つづき。
 論議をするにあたって、事柄の本質を見据える必要がある。この点は、『文明論之概略』など
でも指摘されている。話をまとめるときに留意することは「考察をはじめるときに、それを知って
いるものときめこんで、お互いにちゃんと同意を得ておかないものだから、さて先へ進んでか
ら、その当然のむくいを受けることになる」(p.34)ということであろう。
 さて、その後の議論の進め方として、総合と分析をあげている。パイドロスではエロースが主
題となっているが、後半の物語の展開からすると、実はパイドロスが最初に語る物語の内容は
なんでもよいと思われる。この点は、解説でも触れられているが、真実を見つめるための方法
とはなにかということをエロースを例にして説明しているが、エロースについてよりも、論議の方
法についての方にうなづけることが多い。
 議論がかみ合わないときの怒りというものがあります(あるのかな?)。これは、自分ではよく
感じます。こういうときにとき、気を静めるために「だが君たちは、そういう人々に対して、けっし
て腹を立てたりせずに、ゆるしてやらなければならいのだ」(p.119)というソクラテスのことばを
都合よく斟酌してよいか迷います。怒りのエネルギーをどのように考えるのかによりますが、怒
り自体はやはりエネルギー的にはロスと思います。しかし、そうした感情をもたないで社会に対
する関与が真っ当にできるのかというと、それもないと思います。個人的な不快感が怒りを呼
ぶのだと思いますが、そのエネルギーが不快感を生む原因を除去しようとする社会的な原動
力ともなると思います。ですから、哲人ぶって腹を立てずに許すという行為は、主観的な判断を
放棄して不正に対する鈍感さを養うとともに、社会から改革のエネルギーをうばいとるのではと
考えます。怒りのない社会は停滞し、それはやがて緩慢な死にとってかわるようになると考え
ます。
 文字に対する考察もされていますが、なかなか辛く心に響きます。「…ものを思い出すのに、
自分以外のものに彫りつけられたしるしによって外から思い出すようになり、自分で自分の力
によって内から思い出すことをしないようになる…」(p.134-135)と示されているように、自ら考え
ることの重要性や本質をつかむことが重要であるということを繰り返し述べています。
 肉体的快楽と精神的快楽に重要な差があることの指摘も興味深かった(p.173-174)。肉体
的な快楽が、不安や不足に対するアンチテーゼとして存在しているとの指摘から、安定した生
活を送っている人には、そうした快楽の欲求がないということが導かれると考えると、肉体的な
快楽がなぜ低く考えられているかの説明が容易になると考える。
 対話によって進む話は、どうも論点がつかみにくい、という感想をもちましたが、なれというの
もあるとおもいます。感想はこのへんで…。

トップへ
戻る