06年07月
【2006/07/19newsweek japan】
横田 孝(東京)『制裁議論のキビシイ現実』
 北朝鮮への経済制裁を有効なものにするためには、中国や韓国の協力が必要であるとの記
事。そのために日本ができることと世論が要求していることのギャップを指摘している。この手
の議論が日本のマスコミの中からは、出てきにくいかと思います。その意味で貴重な論説と考
えます。但し、当たり前のことをいっているだけで、議論の中身自体に特筆すべき点があると
は考えません。
リチャード・アンズバーガー『ゼロ金利解除は迷惑かも』
 ゼロ金利解除が決まるまでは、ゼロ金利政策に対して批判的だったマスコミは、実際ゼロ金
利を解除することが明確になって以降は、一転してゼロ金利解除に懐疑的な論調になってお
り、この記事も同様である。両論併記としている分まだフェアとも考える。一部マスコミは、散々
ゼロ金利解除を煽っておいて、いざゼロ金利解除がきまってから、そのデメリットを大々的に
報道するというアンフェアなことをしているところもあるように感じる。そうしたことは、ゼロ金利
解除をする前に報道すべきではないのかと、多少の憤りを感じる。
デニス・マクシェーン(英国労働党下院議員・元欧州相)『サミットなんかいらない』
 テレビ朝日の報道番組で同様な趣旨の発言があった。この番組では、日本の意見が通らな
かったことからのコメントであり、見ていて子供がほしい物を買ってもらえずに駄々をこねてい
るようにも見えた。この記事自体はそうした雰囲気があるわけではないが、自分はこのスタン
スには賛成しない。
 大国の意見というものは多かれ少なかれ無視できないものであり、たとえアメリカが傍若無
人に振舞ったとしても、世界の大国が意見のすり合わせをする場は必要であると考える。も
し、これを二国間交渉などのオープンにならない外交交渉に置き換えられてしまえば、より少な
い情報の中で、国際情勢の判断を強いられる一方で、情報独占している大国は今以上に優位
に立つものと考える。今でも国際情勢の決定権は大国が握っているといえるが、それでもサミ
ットのような場での話し合いが定期的に行われることで、国際的なコンセンサスや大義といった
物の重要性がクローズアップされるものと考える。こうした国際的なコンセンサスや大義といっ
たものは、情報へのアクセス手段の限られている多くの小国が暗黙のうちに要求しているもの
であり、こうした情報公開の場であるサミットを否定すべきではないと考える。
 但し、その時々の国際情勢に応じてメンバーを見直し、より有効な枠組みを構築する努力は
必要と考える。
 それぞれの国が、国益の増大を図るために外交を行っているというシビアな現実に照らし合
わせると、この論説の著者が、英国という大国の政治家である部分は、割り引いて読まなけれ
ばないだろう。
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