
04年08月
【2004/08/02産経 朝 15】
1面:石原 慎太郎「日本よ」
論点は、1)日本の外交姿勢、2)平和についての認識、3)靖国神社への認識の3つです。
日本の外交姿勢については、表現は過激であるけれど指摘の通りのように思います(背景を
欠いた巨人についてコメント)。平和についての認識は、平和は永続的な状態ではないという
のが現実的な認識であろう。但し、平和のうちに生活をしたいという国民の希望をどのような形
で表明するかは、現憲法の形態でもよいと自分は考える。
靖国神社への認識は難しい問題である。石原氏の認識は、そもそも日本が神社という宗教
形式を利用して戦没者の慰霊をして何がわるいという点にあるものと思われる。石原氏に対し
て失礼だが、純粋な仏教徒はいないとか、キリスト教徒は純粋な日本人ではないとかという理
論が石原氏の用意する反論ではないかと想像する、。
靖国神社に天皇が参拝することの政治的な意図を誰が決するのかという問題について、当
該評論では「天皇が私的行為として行う参拝」としているため論及されていないが、伊勢神宮
に参拝するのと同じ視点で靖国神社に参拝するというのではきっと石原氏は満足しないのでは
ないかと思われる。
また、天皇自らが神社に参拝すると行為自体が、天皇家の作法に違背していないかは疑問
である。天皇が直々に参拝するということは、それがどの神社であっても極めて異例なことであ
るように思われる。
次に、私的行為だという説明は、昭和天皇と今上天皇の場合とでは異なり、今上天皇は波風
を立ててまで靖国神社を参拝する個人的な事情が乏しいと自分は考えるため、成り立ちがた
いと考える。仮に自分の意思で私的行為として参拝しても、当該評論が発表された後に参拝す
れば、評論との関係で参拝行為が評価されることになると想像する。つまり、行為自体には政
治的意図はなくとも、当該評論には天皇の靖国神社参拝により靖国神社の地位を高めようと
いう程度の政治的意図は最低限あるように思われるので、この範囲において政治的意図が付
与されると考える。よって、こうした政治的意図を払拭するだけの強い個人的な意思や必然的
な背景がないと、私的行為という評価できない。
【2004/08/06産経 朝 15】
1面
中国人胎児を偽装認知との記事あり。
3面
アミテージ米国務副長官が、日本の憲法9条は日米関係への束縛、との見解を産経新聞社
との単独会見で示したとの記事あり。但し6面の会見記事では、同見解は国務副長官に就任
する前にまとめた「ナイ・アミテージ報告」に記載している内容であると、断りをいれている。
この見解は、自民党の中川秀直国対委員長と民主党の岡田克也代表との会見でも示され
たとのことであり、アメリカの高官として日本に示した見解との性格は否定できない。
【2004/08/07産経 朝 15】
1面
郵政民営化についての記事あり。職員は国家公務員の身分を離れるのに、スト権について
は留保される可能性があるのは、非常に問題である。その場合、他の運送業や銀行業にスト
権が認められないことになるということか?
2面
「中国の反日感情 江沢民が教育」との記事あり。この記事では「青少年を重点対象として、
徹底した反日教育があらゆる手段を通して実施されました」と記載されているが、このコメント
以外でどのような組織的な反日教育方針があったかは明示されてない。記事中に記載されて
いる原資料(人民日報)とか鳥居民氏の本を読めということか?
28面
禁煙タクシーについての記事あり。1面のガイドには「愛煙家の肩身、より狭く…」とあるが、
記事本文には、禁煙タクシーへの批判はない。
【2004/08/08産経 朝 15】
1面
サッカーアジア杯の中国の反日行動についての記事あり。「中国人の資質にも疑問を投げか
けた」との表現は、1)誰が疑問を投げかけたのかを示す主語がない、2)資質と一般名詞を使
用しているが何の資質についてか明示されていない、という点で曖昧な表現であり新聞として
妥当な評論の仕方ではないと考える。「産経新聞社は中国に五輪開催の資質があるのかどう
かに疑問を呈する」という表現なら曖昧さがなくなると思われる。
また、「スポーツ交流に大警備陣を配置する異常事態」との指摘は、フーリガン対策をしてい
るヨーロッパの一部の国や南米との比較の上での表現なら妥当と思われるが、日本国内のJ
リーグの試合を比較しているなら妥当な結論とは言いがたい。この場合、警備陣が多いこと自
体は、異常事態ではなく、観客の感情の高ぶりの原因が反日感情に起因していて外交上差し
さわりがあるという点で、懸念がある程度と思われる。この点は、W杯を日韓共同開催したと
きの過剰なフーリガン対策が一部に人々に不快感を表明させたのと似ていると考える。
3面
みずほ銀行が指定金融機関業務を返上との記事あり。指定金融機関としての手数料を無料
としている点がその他の行政契約の足かせになっているなら、早急に対応を取る必要がある
と思われる。
【2004/08/26産経 朝 15】
1面
東シナ海の資源探査強化につき平成17年度予算の概算要求で資源エネルギー庁は、平成
16年度の約3倍の100億円を計上。
【2004/08/27産経 朝 15】
1面
「つくる会」歴史教科書が白鴎高校で採用との記事。これは聖教新聞が創価学会行事を一
面に取り上げるのと同じ理由であって、一面記事として普遍的な価値があるわけではないと考
える。扶桑社から面積に応じた広告費を支払わせるべきと考えていた時期もあったが、一種
の内部取引であるのだからあまり意味がないと今は考えている。この記事の分は広告に利用
していると考えると、他紙に比べて産経新聞は一面で報道に割く紙面が小さいことになり、それ
なりの機会損失をしていて釣り合いはとれていると考える。

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