
04年02月
【2004/02/02産経 朝 15】
1面
3面に日本がイラク関連のテロの可能性が低いと指摘したイギリスの対テロ専門家のコメン
トを載せていることのガイド記事あり。この記事は「混乱無用 テロの可能性低く」との見出しと
なっている。この記事は、イラク派兵に絡んで日本がテロの標的になるという危惧に対する反
論として掲載されているものと思料するが、ちょっと論点がぼやけていると考える。
日本が、イラクに自衛隊を派兵したのは、国際社会の一員としての役割が強調されたからで
ある。一方で、テロの可能性が低いという理屈は、イラク派遣において日本は西側の一員とし
てみなされていないことを根拠にしている。自衛隊を派遣するときの派遣賛成派の論調は、危
険を分かち合わないものが金で安全を買おうとすることは、倫理的に良くないという点を軸にし
ていたように思ったが、この記事では日本は自衛隊を派兵しても西側の一員とみなされていな
いため安全だという内容になっている。
産経新聞社としての立場は、テロの可能性はないという点を、日本は英米との主要な同盟国
とはみなされていないと解釈して、積極的な協力推進を主張すべきものと思われる。こうした論
説が展開されない理由は以下のように産経新聞社が考えているからと思われる。
@わざわざ危険を負担するような論陣をはっても消費者(新聞購読者)からの批判を買って
イラク派兵反対派を利するだけである。
Aイラク派兵は第一義にアメリカにどう思われるかが問題であって敵側からどう思われるか
は重要ではなく、日本がテロの標的になってまでイラク問題に深くかかわることをアメリカも要
請しているわけではない。
B今回の派兵は現行憲法制定以来の快挙であり日本の軍事力の国際展開の第一歩であ
り、無理な要求は反動をもたらして自衛隊の活動に制約を与えることになりかねないため、多
少不名誉ではあるがテロの標的にならない点を「安全だ」と評価して自衛隊に関して浮動的な
態度をとっている世論の取り込みを優先と考えている(@と論旨はほぼ同じですが)。
【2004/02/12産経 朝 15】
1面
『妥協探る日本 焦らぬ米』と見出しで牛肉輸入交渉の記事。記事中、ゼーリック米通商代
表部代表が川口外相との会談で「食品の安全性は消費者が決めるべきだ」と発言したとのこ
と。安全かどうかは本当に消費者が決められるものなのか?それとも、食品の安全性に関す
る知識を消費者に必要不可欠なものとして、アメリカは日本に消費者レベルの上昇を要求して
いるということか?

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