03年09月
【2003/9/5産経 朝 15】
30面
 沙漠緑化協会が外務省に告発されるとの記事。遠山正瑛鳥取大名誉教授がモンゴルで植樹
活動している番組をテレビでみたことがある。沙漠に植物をという構想はとても夢のある話で
あるとおもってましたが、それと組織や人間のありようはまた別物なのですね。なお、今回告発
されたのは協会と元理事長の遠山柾雄氏(遠山正瑛鳥取大名誉教授の息子)である。
【2003/9/11産経 朝 15】
1面
 産経新聞社の経営者を対象とした景気判断のアンケートの記事。6割が景気好転実感との
表記。これを日本全体の動きとしては捉えられないのではないかと考えるが、この記事は景気
が好転していると思い込ませる心理誘導的な意図があるのではないかと、記事の扱いから想
像する。
 まず、アンケート対象者が主要企業100社であり、大多数の中小企業や一般消費者と環境
が異なると思われる。大企業はその地位を利用して、中小企業を切り捨て労務費の圧縮をし
て利益をあげつつある。利益があがっている=景気がよいという判断をしているなら、利益を
あげる過程で犠牲となっているものが多い場合には、日本全体の景気判断とはいえない。
 また、アンケート対象者が経営者となっており、一般消費者とは所得のレベルがちがう点を
考慮するべきと思われる。もちろん、アンケートは経営者として回答しているのではないと考え
るが、もし経営者がみずからの判断で回答しているなら、おのずと自分の生活実感の影響も
考慮しているものと推測する。経営者は、収入に占める可処分所得率が高い上、生活費の相
当部分を自ら支出していない人間だと考える。たとえば、ビジネスでの会食が多いため家計に
おけるエンゲル係数は低いと思われる。また、住居も会社の公邸のケースがあり、その場合
電話代や電力料、警備代などの支払も一部免除されていることがある。さらに、食材や日常の
消耗品の購入は自分でしないことが多いと想像される点も一般の感覚から乖離していると推
測されるに十分な根拠と考える。みずから購入する場合は、ブランド的価値をふくみ一般の物
価指数を判断する材料にならないものが多いと思われる。
 こうしたことから、このアンケートが特殊な階層の景気判断であると考える。はたして、この時
期に1面でこのアンケートを取り上げたいとはなんであるか。このアンケートからどんな情報が
引き出せるのかを考えた場合、日本全体の景気の見通しに使うには根拠が弱いと考える。そ
うすると産経新聞社の意図は、不景気をもたらす心理的要因を取り払おうとする、景気浮揚の
ための誘導にあるといえるのではないか。
 ちょっと陰謀史観的ですが、まずこのアンケートを行おうと思った責任者なり発案者なりの意
図は、このあたりにあるのではと、考えます。
31面
 田中外務省審議官宅へ不審物が届いたことに対して、「爆弾を送りつけられて当たり前」との
石原都知事のコメントについての記事。日経とは違い、発言内容だけをとりあげ、石原発言の
影響に対する価値判断をしていない。また、不審物事件の記事においても犯人に対する批判
がない。
【2003/9/11日経 朝 14】
43面
 田中外務省審議官宅へ不審物が届いたことに対する石原都知事のコメントについての記
事。「テロ容認とも受け取れる発言だけに、波紋を広げそうだ」と記者の感想。私も、ちょっと不
用意な発言ではないかと考える。
【2003/9/12産経 朝 15】
2面
 田中外務省審議官宅へ不審物が届いたことに対する石原都知事のコメントについての記事
の続報。石原都知事は補足として、不審物を送ったことは悪いことだと、別の日にコメント。た
だ、やはり当然のいきさつがあればそうした事態は生じるとの認識に変更はない様子。
 報道内容からすると、確信犯なら、犯罪を起こしてよいという思想とうけとれる。刑罰をうける
覚悟があれば、犯罪をしてもやむをえないという思想は、死をもって世界貿易センタビルにつ
っこんだテロの犯人の信じた思想とかわらないと思う。
 不審物事件の犯人は事件が取り上げられることで田中外務省審議官を批判したいのである
から、不審物事件をもって田中外務省審議官を批判することは、やはりこの種の犯罪を助長
することになると考える。言論によって十分に田中外務省審議官を批判しきれなかった政治家
に、この犯罪を誘発した責任があると、考えている上での発言なら、やや整合性があるか。田
中外務省審議官を批判する立場の人間は、この事件にコメントする際にはまず、身の至らなさ
に懺悔し犯罪を防止できなかった責任をとるべきである。次には、もし、田中外務省審議官に
テロの犠牲となっても当然のいきさつがありその故をもってなされるべき制度的制裁を行わな
かった人物が、いるならその人物を批判するべきである。
 なお、産経新聞社は「主張」においてこの石原発言を批判的に論評している。ただ、記事本
文においては、発言内容だけを取り上げているのみである。
【2003/9/14産経 朝 15】
1面
 新ラウンドで関税上限を設定する議長案作成の方向性が高いとの記事あり。
【2003/9/21産経 朝 15】
4面
 中国が個人・団体から尖閣諸島への借地申請を受理との記事あり。
【2003/9/25産経 朝 15】
1面
 河口外相の国連一般演説の記事。拉致問題に少し触れたとの記載に加え、制裁等の圧力
を加えるべきとの意見をのべなかったとのコメント。産経新聞のスタンスは北朝鮮に対して対
話でなく、経済制裁などの圧力が必要だと強硬姿勢とうかがわれるが、必ずしもはっきりとそ
の主張を載せていない。これは、もし強攻策をとったときに最悪のケースが生じた際に、言い
逃れができるようにしているのであろうか。「産経新聞は、社として強攻策をとり経済制裁を加
えろなどと、一度も論評していない。ただ、拉致家族の会のコメントを伝えているだけだ。最悪
な事態を迎えたのは、政府の無策・無能な帰結である」というコメントがすでに用意されている
のであろうか。
【2003/9/26産経 朝 15】
3面
 中国貿易につきアメリカ議会で公聴会との記事。この時期に行ったことの意味を真摯に受け
止めやう。この公聴会では、為替だけでなく貿易が不公正であるとの意見がでたとのこと。この
不公正という部分はどこまでのことを指すのか。きっと、この指摘の矛先は日本の為替・貿易
に向かっていくのでせう。
【2003/9/27中日 朝 12】
30面
 愛知4区から出馬予定の近藤浩愛知県議会副議長の辞職問題についての記事。民主党は
副議長職を全うするよう申し入れとのことである。国政に打って出るのに地方公共団体の公職
を辞任するなという、この論法は自らの政党においてもなされなければ、説得力を近藤氏にも
持たないし、世論に対しても持たないと考える。
【2003/9/28産経 朝 15】
1面
 イラク復興へ協調とのみだしで米露首脳会談の記事あり。イラク国内で米軍への攻撃が散
発的に続いている点とアメリカが新たに多国籍軍を編成するよう安保理に提案しようと働きか
けている点を整合的に理解しようとすると、イラクではまだ実質的に戦争が終わっていないとい
う考えがもたげてくる。
 もちろん、占領の事実は確かであろうと思う。けれども、占領したら戦争が終わると考えてい
るならば、それは違うと思う。日本は戦後の占領が終了し、独立を回復した後でも、「戦後は終
わっていない」という台詞が言われ続けたのである。まして、武力抵抗がまだ続いている段階
で、戦争が終わったなどと、おそらく欧米の(戦争)指導者たちは思っていないであろう。きっと
復興の文字がおどる報道で、復興の青写真を現実的なものとして受け止めているイラク以外
の国の一般市民は、やがて復興どころか再建にも往生する現実を見なければならいのではな
いか、と危惧する。
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