03年03月
【2003/3法学教室 No270】
 道垣内弘人教授の巻頭言がなかなかよかった。
 「まだまだ、奥はあるのだ。こんな基本的な本だって読んでいないではないか。」といコメント
はずっしりくるですよ。
【2003/3/2産経 朝15版】
5面
 韓国で大規模親米集会との記事。親金日正なら反米は、真と考える。反米なら親金日正で
あろうか?親米なので反金日正も真であろうが、反米の立場の人を親金日正とする論調は、
いきすぎではないかと思う。
 なお、集会参加者は数万人とされており、同国で同規模の集会があった場合、同様に「大規
模集会」との修飾語がつくのであろうか?
29面
 WHOがたばこ広告原則禁止を内容の一部とするたばこ消費削減条約案作成との記事。日
本やアメリカははたして批准するのか?
【2003/3/4産経 朝15版】
2面
 主張欄に「堂本案の廃案を評価する」とのタイトルで記事。性教育の促進はバランスを欠い
ているというのは、どんなバランスが欠いているのか?また、連想させる表現の禁止は憲法違
反の疑いと、記述。
 結語部分は「そんな思想にこだわらず、女の子は女らしく育ってほしい」となっている。フェミ
ニズム思想の根底は、伝統や既存制度が男性優位社会を固定化しているため、これを変革し
なければ、真の男女平等はないという点にあったのではないか?こうした伝統行事に目くじら
をたてることこそ、フェミニズム真髄であろう。
【2003/3/4産経 朝15版】
1面
 教育基本法の見直しについて中央教育審議会の最終答申素案の記事。記事メインはタイト
ルのとおり「過剰性差否定に一線」。これまでの、産経新聞のキャンペーンの狙いはここらへん
にあるのか?
 男女共同参画の必要性が何で発生しているのか、記事を書いている人間はわかっているの
か?わかっていてわざと論点をそらしているのか?
 男女共同参画の目的は、『「お互いに尊重し、協力」する』ことなどではなく、男女共同参画な
どと標榜しなければならない社会環境・習慣を改めようということにある。尊重というは、単に性
別およびそれに派生する不可避的な生物学的な行動様式に対して払われるということなら納
得できる。いったい何を尊重するのかを産経新聞は批判記事の中で明示していない。男女共
同参画社会がどんな人に何を根拠に必要かを理解していないのではないか。こうしたことを必
要とする人に向けての批判論説でなければならないのではないか。現在、産経新聞が行って
いる批判キャンペーンは、一般読者向けのゴシップ的な煽り記事の印象しか受けない。商業ベ
ースに載せなければいけない日刊紙として仕方のないことではある。ただし、商業ベースを気
にして論調を曲げなければいけないのなら、記事の論調に商人としての弁えを備えさせる必要
がある。
【2003/3/5産経 朝15版】
30面
 秋田県がジェンダーフリーの用語を使用しないとの記事。「ジェンダーフリー(性差否定)」と
の表記あったが、そうなのであろうか?新聞での報道が正しいかどうかはさておき、今後はジ
ェンダーフリーは「性差否定」との概念であることを前提に、用語を利用しないと、他の人から
誤解を招くこともあるので、気を付けないといけない。
 性差は社会がどのようになろうとなくならないし、性差をなくして子孫を残していくことは今のテ
クノジーでは無理だと考える。ジェンダーフリーは、そういうことを主張しようとしているのか?
男らしさ・女らしさが、人工的な思想に過ぎないということと性差否定は同一なのであろうか。そ
うした誤解を回避するために、ジェンダーフリーという外来語を使用しているのかと思ってい
た。
【2003/3/6産経 朝15版】
5面
 1面のガイドにある『瀬戸際外交』という修飾語に該当するコメントが記事はなく、ガイドの部
分が記事の要約ではないのだということを知った。なお、ガイドは、緊迫する北朝鮮情勢の中、
統一地方選挙を前にして与野党との国会での雰囲気が「休戦ムード」になっていると、の表現
である。一方、5面の記事は、北朝鮮情勢等が緊迫しているのに有事法制の議論が先送りさ
れており、こうした危機意識の低さは国会が緊張感を欠いているからだとの内容であり、文末
では「『危機になってからでは遅い。早く成立させるべきだ』(保守党幹部)といった"正論"は空
回りしている状況だ」とのコメントを掲載している。
【2003/3/6某情報誌@】出典手帳参照(>自分)。
 アメリカのイラク攻撃の影響分析。不明な概念が多いが、参考になった。市場での影響折込
を良性シナリオで戦争が展開する確率を40〜60%と想定しており、石油施設への破壊がな
いことを前提としている。石油施設が破壊される想定の中間シナリオを30〜40%の確率とし
ている。
 予想があたるかは不明だけれど、こうしたことを市場がどんどんと織り込んでいることは興味
深い。
【2003/3/6某情報誌A】出典手帳参照(>自分)。
 小泉内閣の支持率低下=政変の可能性として、日本市場のリスクと捉えられている点に、お
ぉそうかと思った。
【2003/3/8河北新報 朝15版】
22面
 宮城県人事の記事。県幹部の記事がこんなに大きく取り上げられているのを知って、すこし
おどろき。総務省からの出向者である企画部長の取り扱いが焦点になっている模様。
【2003/3/8産経 朝15版】
1面
 石原都知事について「ポスト小泉 なお存在感」との記事。産経新聞は1面で、後継首相につ
いて石原都知事を報じたことで、石原氏支持を表明したとの印象をうけた。
2面
 個人情報保護法案の記事。政党の批判を前面に出し、民放連会長・報道委員長名による
「さらなる修正を含めた慎重な審議がなされるべきだ」という内容があいまいなコメントは控え
めにのせている。 個人情報の取り扱いにつき、もっとも利害があるマスメディアが控えめであ
るのは、本陣は戦場よりはなれて先鋒の戦い振りを見るのみでよいという戦略か?
 行政がプライバシィの侵害に対して救済するのと自主的に報道機関が行うは、どちらが妥当
かの判断に行き着くのではないかと思う。被害の発生を抑制する観点からは、報道機関が自
主的に行う方が効果があると思うが、被害者の救済は法律などに明示されていた方が、妥当
だと思う。
 報道機関が誤った報道をして被害を発生させたときは、報道機関はそれなりの報いがある
べきと考える。ただし、行政や裁判による救済の場合は報道の違法性が論点になり立証が困
難になるため、民間の第三者機関による救済が妥当ではないかと思う。
 などと書いたけれども、ほとんど関心なし。報道の対象として侵害されるプライバシィが今後
の社会にどれほどあるのか?かけがえのない個人の人格権としてよりむしろ個人情報という
財産という側面を強調したほうが将来的には妥当ではないかと思う。評価が主観的であいまい
になるプライバシィとして被害を把握するよりも個人情報という財産権への侵害として考える方
が評価しやすい。個人自身が個人情報をモノとして扱うようになるなどの価値観の遷移が必要
になるため、この考えも相当むりがあるかなぁ…
【2003/3/11産経 朝15版】
30面
 小金井市の条例で「性の自己決定権」を認めていることを問題視。記事の冒頭は「地方自治
体の男女共同参画推進条例の問題点が浮かび上がるなか」で記述がはじまる。
【2003/3/12産経 朝15版】
1面
 「同時安呼ぶ『悲運の連鎖』」との記事。戦争要因を織り込んだ市場の動向についての記事。
タイトルは、市場の反応が妥当でなく悲劇を招く、とよみとれるので、市場の反応にやや批判
的な立場と推測される。産経新聞は戦争には賛成の立場のため、戦争が経済的に悲劇を招
いて問題だという記事ではないとの前提である。
【2003/3/15BRUTUS】
 四国特集なので購入。文字情報よりも映像を重視している。内容がないというのが第一印
象。けれども、単に視点や映像を提供して、感想は読者に任せるというメディアなんだな、と思
い直す。ようは、四国に行く気にさせれば勝ちという思想であろう。山内の写真をみて、感慨深
くなっているので、自分は負けのようである。
【2003/3/16産経 朝15版】
31面
 自殺者の多い年齢層は、20代ではないので、この取り上げ方は、過剰でないかと思う次第。
また、「インターネットの悲劇」というタイトルは、因果関係を妥当に表現していないと思う。
 集団でなければ自殺しないという点を、強調したいのであろうか?それよりも、集団自殺する
きっかけもない中年層(インターネットが使いこなせないとおもっているのはテクハラか)の自殺
が増加していることにライトをもっと浴びせるべきである。
【2003/3/17産経 朝15版】
1面
 産経抄を素直に読むと、アメリカがイラクを攻撃する理由は9・11テロにあるということになる
ように思われる。イラクが9・11テロの黒幕なら戦争の動機としてうなずけるけれども、そうでな
ければ動機としては薄いと思われる。一般市民には、その戦争が妥当かどうかの情報にかけ
るところがあり(つまりは、敵国に戦略情報がもれるといけないため、一般市民は不完全情報
下に置かれる)、現段階でその戦争が妥当な根拠を持っているかは判定できない。
 戦争の賛否に結論を出すほどの情報がないことを前提に、それでも決断しなければいけな
いときに、どうすればよいかを論じていく必要があると思う。
3面@
 中西輝政京大教授のコメントに「北朝鮮の脅威に直面する日本に、取るべき道は一つしかな
い」とあるのは、戦争を支持することが自明の理であるようになっており、感情的に賛同しかね
る明確さである。
 そこで、この文章を分析するわけである。
 結局、この戦争がよいとか悪いかとか、戦争をはじめる根拠が妥当かどうかを、判断できな
いところで、戦争についての態度表明せざるをない日本の状況というものを推し量るべきであ
る。その点の筋道が要点になってくる。
 中西京大教授は、首相が「国民への説明責任を果たしたか」という表現を用いているが、政
府がアメリカを支持するにいたった筋道を説明する必要がある。この点は賛成である(03/3/
21追記:小泉首相は衆議院および参議院の本会議にて、日本がアメリカを支持する旨の答弁
を行い、説明責任を果たしたと評価できる。この説明内容が妥当かどうかの判断をする責任
が野党およびマスコミ側にあり、この議論におけるボールは首相の側にはなくなったと考え
る)
 ただし、根拠として『国際法上問題ない(湾岸戦争時の国連決議があるため)』としている点
は、違和感がある。この表現は、形式的な様式を整えていれば、十分戦争を遂行する根拠に
なるという意味に受け取れる(湾岸戦争から時間が経過しているだけで、利害構造はまったく
その当時と変わっていないという理由付けは無理がある。実際に、フランスは協調しなかった
し、トルコも同様である)。もっとも、『国際法上問題ない』という表現は、一般人が受け取る場
合と学術用語を理解する人でニュアンスが異なるのでないか考える。とくに、文章でなく談話で
あるあたりが、あやしさを感じる。
 アメリカもイギリスもスペインもそれぞれの利害から、戦略的に合理的な判断をしているもの
と思われる。よって、直接的にイラクとの接点が薄い国が、この3国に追随するかどうかは、各
国と3国(主にアメリカ)との関係いかんにであろう。とすると、東アジアの情勢からすれば選択
肢は限定されるという結論には、なるのかなぁと考える。
3面A
 対日糾弾セミナ報道の反論投稿と再反論記事。メンバー構成に偏りがある点が批判記事の
焦点になっているが、書いていることだけみても堂堂巡りで判別しがたい。だいたい、誰が出
席したのかも明示されてなく、明示されたところでその人たちの経歴や主張内容を知らない一
般読者には、妥当性の判定はやはり不能であろう。なかなか不毛な展開である。
【2003/3/19 産経 朝15版】
1面
 「古森義久の眼」という記事はアメリカの姿勢を冷静に記述しているようにみうけた。アメリカ
が国連を否定し、フランスを外交上の敵に回し、中東の覇権を握ろうとしている点を表現してい
る。タイトルの「新世界秩序構築への挑戦」という言葉に、内容が集約されていると思う。
 以下は、記事とは直接関係ないです。
 歴史的地理的な安定のあるエジプトや宗教国家として確固たる立場をきづいたイランなどに
付け入る隙はないものと思われる。しかし今回の騒動で、イラクやサウジアラビアなどの中東
の大国を篭絡し、アメリカの影響力を扶植する絶好の機会である。アフリカ側の中東とアジア
側の中東と区分した場合、アジア側の重心はチグリス・ユーフラテスの恩恵をかかえるイラクで
ある。石油の生産国でもあり、トルコを経由してヨーロッパに一直線でつながる戦略性は、旧ド
イツの3B政策を思い起こせば十分であろう。
 イラクがあっさり負けたとき、日本のようなアメリカの傘のもとの国になるのであろうか。もし、
そうなればロシアとEU(トルコはそのうちEUに都合よく取り込まれるとして)は喉もとに米軍基
地をかかえるイラクをナイフとして突きつけられることになる。
【2003/3/21 産経 朝15版】
1面
 イラク戦争の記事。石油施設破壊があり、イラクによって行われているとの観測をのせてい
る。随分とひかえめな表現をしているが、イラク軍がしたのでなければ誰がするのかといった
ら、それはもう…。ちょっと前までは、イランとイラクは戦争してましたし、クルド人は現政権に批
判的なようですし…。抑圧された一般大衆はどう思っているのか…。
 戦前の日本の様子を思い浮かべて、しかしてイラクのことを思うと、やはりイラク軍が「いっそ
敵の手にかかるより…」として行動したと推測するわけです。
 でもこうした行動にでることは、戦略上当然に予想されるわけであり、米英軍は戦略的にイラ
クの行動を放置したに過ぎないととみることもできますなぁ。
【2003/3/25 にちぎんクオータリー No.69】
P.18−21越智 誠「国際比較:個人金融資産1,400兆円」
 日本の貯蓄性向とアメリカの貯蓄性向比較や、個人資産の内訳の比較、個人商店の株式の
保有についての計算などが興味深かった。
【2003/3/26 産経 朝15版】
31面
 ドコモ迷惑メールの訴訟で賠償命令との記事。今後の動向が気になります。
 これからルール形成をして安定運用していくことになる分野ですので、こうした訴訟に参画し
ている法曹人はやりがいがあるのではないかと想像します。
【2003/3/28 産経 朝15版】
2面
 イラク戦争で誤爆、の記事。戦争に賛成している人はこうした誤差は想定ずみと考えられる
ので、そうした人が非難しているのはすこし筋が通っていないのではないかと考える。もし、誤
解や人為的なミスが発生しないと考えているのなら、そもそも戦争が必要になりそうな状況に
なる頃に発狂すると思うんだけどなぁ。正義の戦争を主張して「敵は悪い」と公言するということ
は、人間の性のゆらぎを認識していると思うだけど…。自分だけは大丈夫だっ、とか根拠のな
いこと信じているのか?
 一方、戦争反対の人には有利な論点であろう。
31面
 2003年1月のニアミスで、業務上過失致傷で管制官等を書類送検との記事。航空運輸関
連の組合の力はすさまじいものがあるわけですが、それ押しのけて送検したのなら、警察のす
さまじい努力の結果と推測。一方で、管制官やパイロット側も見捨てるほどの過失であったの
か?
【2003/3/29 産経 朝15版】
31面
 偵察衛星打ち上げの記事。官房長官の参議院予算委員会での答弁では、運用目的をいろ
いろ触れているわけであるが、記事ではそうしたまわりくどい点を批判している様子。
 「…情報収集衛星が、防衛庁の利用を第一義としているは自明」というコメントは、偵察衛星
を軍事目的に利用するが何が悪いのかという意味であろうか。また、「専守防衛が国是のため
先制攻撃ができず、国民保護法制も未整備な日本が取れる予防的な措置は極めて限定的」と
の防衛庁筋(筋ってなんだ筋って!説明しろ!ふぅ…)のコメントは、今の防衛庁の能力では日
本の安全を守るという目的を達成できないので、日本を守るためには防衛のための先制攻撃
が必要であるという主張を表しているのであろうか?
 危険をみつけたら、はやめに対処するのが正攻法ですからねぇ。やはり、軍事的には攻撃
は最大の暴挙、ではなく防御であるというのは、一般的な認識でしょうね。見つけたのに対処し
ないというのは、早期癌を見つけて手術しないのと一緒だ!という主張でしょうね。
 その主張の筋は通っているとは思うけれど、公務員にさせるべきではないと思うのだけれど
…。人のコメントを利用しないで、産経新聞の意見として記事を書けよっ!それとも、そうした
先制攻撃が自衛権に含まれると考えている公務員がいるということを報道したかったのでしょ
うか?
 ぶつぶつぶつぶつっ、と最近文句ばかりです。

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