
02年11月
【2002/11/1産経 朝15】
1面
「竹中ショック 中」の連載あり。竹中批判を印象付けるタイトルであるが、不良債権処理加
速策に対する反対意見の表明となっている。ここでのべられている理屈は、不良債権処理加
速→銀行の保身的行動の誘発→貸付金の引き上げ→借入金に依存している企業の破綻、と
いう筋道である。また、こうした政策を実施することが健全な企業に対する足かせになるとの論
調(ただし、この部分は、そういった意見をもっている人の主張を載せているだけで、記事全体
の論調とは判断しがたい面がある)となっている。この文章の弱いところは、不良債権処理の
はなしが健全企業に悪影響をおよぼす理由を「風評」の二文字でかたずけている点であろう。
市場の評価が短期の要因を重視する場合には、現在不調で再建努力を続けている企業に酷
だけれど、現状に対しては投資はできないので株価がさがるのは論理的な帰結であろう。市場
が長期要因を重視する場合で投資家が再建努力による将来性を評価するれば株価は持ち直
すものである。株価の悪化を「竹中ショック」などとという単語で表現するのはたやすいけれど、
この文章は「竹中ショック」とネーミングした以外に内容はない。竹中の文字と現在の経済情勢
との関連が、極論的に要約すると、竹中氏の存在は風評被害の発生をもたらしたかもしくは風
評被害の発生を黙認しているとうことになる。文章の最後で産業再生機構のはなしがでてい
る。しかし、公正な基準・透明性の確保・人選がかぎとなる旨をのべるのみで、サブタイトルに
「透明性、構成の人選カギ」となっている点に比較して、文章にしめる割合は8分の1である(段
が8つあり、最後の1段でしかふれていない。こうした文章構成やタイトルは、ややアンフェアな
つくりのような気がする。サブタイトルが人事を密室で行ったとの報道(報道内容はよくしらない
が)を暗に利用しており、竹中氏を批判する意図で単語を利用しているように思量される。政府
や政治家(竹中氏)を批判する目的が最初にあって作成された文章であるという印象を強く受
ける。
31面
会社が課していない自己ノルマによる重圧での自殺に過労死判定。企業が労働者に要求す
るものはすべて仕事となって現れるのであって、益方向に働いたときだけ会社に取り込み(自
己ノルマで売上上昇)そうでないときには関係ないというのは、労働者にとっては不利であるの
で、労働者側から見ると妥当である。
【2002/11/2産経 朝15】
1面
衆議院憲法調査会中間報告。改憲色がにじむとの表現。共産党だって天皇制の廃止を主張
しているだろうに、自民党だけが改憲を主張しているわけではないということが抜け落ちてい
る。4面に掲載されている各党のスタンスの表が、憲法全般への姿勢なのか、9条に対する姿
勢なのかが不明。異論が多いし、硬性憲法である伝統があるので改憲は相当時間をかけない
と難しいと思われる。
30面
千代田区歩きタバコ禁止条例について石川雅巳区長のインタビュ記事。論調は一見条例に
好意的だが、元々記者はどうにか批判できないかという目で文章を書いているような気がす
る。文末の「決意は固いようだ」は、反対派から見ればこれだけ攻勢をかけても姿勢をかえな
いなら次の手段に出るべきだとのメッセージと受け取れるし、賛成派からは反対意見にもめげ
ず政策を維持する旨のメッセージとみる。
31面
相模原市教育委員会の性教育指導者に問題ありとの記事。社会的な事実や必要性と道徳
的・社会的な要請が合致していないのでは。都心部における若年者の性生活がどのようなも
のであるのか理解しているのか。
だいたい、当の親自身も、また同世代においてもグループによっても性生活はまちまちなの
であある。そのまちまちな状況の中で極端なグループに手当てしなければいけな一方で、教育
現場は抑制された性教育と実施しないといけないとはジレンマは相当なもの思われる。
新聞社や政治家は自分の子供は私立に行かせて公立学校の現状をしらない上、自分は言
うだけでやらない、と現場から批判されてもそれに答える必要もない。それだけの権力をもって
いるわけだけれども、こうした問題にどこまで新聞は立ち入ることができるのだろうか。
【2002/11/7 産経 朝15】
10面
中国セーフガード発動の記事。中国の対日政策や世界政策、鉄鋼業界の世界事情に思い
をはせる。
11面
「けいざい独言」でフリータ問題についても論評。ただし、フリータにはやる気がないの一言の
み特に見るべき分析・論旨はない。平気でこんな文章を掲載できる神経がしれない。
17面
西尾幹二氏の論説。産経新聞に投稿している人が「顔をのぞかせる新聞社の下心」などと批
判するのは筋違いのような気がする。そうした論陣を張っているだけであって、産経だって同
様なことを大いにしている。ただし、産経はそうした点を積極的にアピールしている点で他紙よ
り評価が高い。
29面
明治の作家の文章が、教科書から姿をけすとのこと。小学校や中学ではとりあげるにはや
や難解のものが多いように思う。他の教材で代替ができるのならそれでもよいと思う。高校に
ついてはあったほうがよりよいと思うが、結局教養として読む必要があるかどうであって、必ず
しも明治期の文章である必要はないと思う。自分が高校の時にしたような、ひとつの文章で何
ヶ月もかけて読むような授業をする場合、仮に明治期の文章でなくてもよいように思うけれど
も、それなりの質の文章でないといけないことは確かである。この記事で気にかかったのが、
明治文豪はすごくて最近の文章はうすっぺらいという前提で書かれている点とそうした姿勢を
「子供に迎合した」と捉えている点である。もし、迎合した事実があるなら関係機関に説明を求
めなければいけないと思う。ただし、新聞のよく行う筆法で、学者の意見の引用になっているの
で、その部分の記事の責任は新聞社にはないと、という姿勢になっている。ちなみそうした意
見を提供した人物は、帝京大学助教授の斎藤孝氏と盛岡大教授の岩崎攝子女史である。
31面
京都府警保護男性を放置死させるとの記事。こうしたことが内部告発をきっかけにせよ、事
実が明らかにされうるのであるから、まだ日本もよい国であろうと考える。
【2002/11/12産経 朝15】
李登輝氏訪日につき、原因となっていた慶応大学の講演が中止となる。学生が政治的に微
妙な企画を行うには社会制度が整備されすぎていてリスク管理が難しいのか、社会が危険を
察知すると危険を抑制しようとする圧力が意図どおりに迅速に伝わるように精巧に社会が出
来上がっているのか。
【2002/11/14産経 朝15】
東京都が会計をH18年度より複式簿記へ移行する計画。
【2002/11/15産経 朝15】
教育基本法改正提言が中央教育審議会よりあり。
【2002/11/25産経 朝15】
1面@
首相支持率と日経平均株価の推移を比較して分析。国民に痛みの実感がないというのは、
日経平均株価の下落とどう整合性をとるのか?
1面A
山田晃子(Vn)ロンティボー国際コンクールで優勝の記事あり。
【2002/11/28産経 朝15】
1面
白表紙本の大量流出の記事。教科書関係の会社が検定前の秘密資料を対価を支払って入
手と要約できると思う。感想は次のとおり。
1)検定に予断を与えるため、という理由で資料が非公開なのは妥当なのか。
2)非公開であるがゆえに、お金をだして白表紙本を入手したくなるのではないか。
3)検定をスムーズにしたいなら、原則公開でよいのでは?
4)検定に与える予断ってなんだ!
5)検定に反対の人は有利な論点であろう。
【2002/11/30産経 朝15】
1面
金融再生プログラム工程表の記事。
1)金融問題タスクフォースを設立する。
2)公的資金制度の必要性の議論をする。
3)査定の厳格化を検討。
4)企業再建計画の検証チームを設置する。
5)特別検査の平成15年3月期決算に行う。
6)繰り延べ税金資産の算入限度を金融審で検討する。
7)優先株を普通株に転換する指針を検討
8)早期是正措置の事務指針の改正。

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