
日記04年04月
【04/4/25 Sun】
ひさびさにサントリーホールでプロの演奏を聞きに行きます。
部屋にこもって何かする気分でもないので、昼間に六本木ヒルズへいってきました。一人でい
ったのですが、一人だと大変わびしい気分になります。周りはカップルか家族ずれです。喫茶
店で読書しながら時間をつぶそうと思いましたが、どこも人が一杯なのと長時間いられないよう
にするためなのか、椅子や机が快適そうではありません。それともデザイン優先なのでしょう
か。ぶらぶら歩いても見るもののないので、展望台へ行きました。チケット買うのに列に並んだ
ですが、列の捌き方が珍しかったです。強制フォーク式というのでしょうか、窓口は3箇所くらい
あるのですが、行列は直前まで一列に並ばされるようにロープで区切られ、列の出口は係員
が控えていて、「右手の窓口へいってください」みたいなことをいってお客を振り分けていまし
た。こう書くと珍しくありませんが、窓口の前で2・3人の行列がたまっているのです。普通こうし
た方式の場合、列の先頭の人が窓口が空いたところに順次収まっていくはずですが、ここで
は、窓口の前でまた列を作り、かつどの列に並ぶかは係員がきめるという体制をとっていまし
た。どこかの社会主義国の黒パン売り場を参考にしたのでしょうか。フォーク式の利点が損な
われている上に、どこの列に並ぶかを係員から指定されるというお客の主体性の喪失はなか
なか現代的です。
チケットをかって高層階へいくエレベータホールは扉前で人が待たないよう入場制限をしてお
り、エレベータがおりてきてお客が全員はけてから、上に行くお客はホールに入れる仕組みで
す。仕組みといっても係員が手で捌いているだけですが。
エレベータをおりるとどこにいってよいのかわかりません。デザイン優先のためか、誘導のた
めの矢印が見にくい所に、中途半端な方角に向けてつけられています。係員が数m毎にいる
のですが、ぶらぶらしていて何かをしているようなそぶりをしているのですが、何の役に立って
いるのか不明です。警備なのか案内係なのかコンセプトが曖昧な人々が、普段着に近い格好
で所定の場所にいないでぶらぶらしているのは、係員かどうかも怪しいです。もしかしたら、係
員のコスプレをしている六本木ヒルズフリークの人かもしれません。しばらく見回して、入口を
発見しました。美術館の入口が展望台の中にあるので、美術館の入口には入口とか美術館と
看板に書いてあると先入観のある人には発見できないでしょう。
美術館にもいきましたが、展示品についてとくに感想はありません。展示室全体が、展示内
容になっているのに係員が使うパイプ椅子が無造作におかれ、その横には掃除機がおかれて
いたのは、なかなかシュールでした。展示室内でひときわ違和感を放ってました。
その次の展示室へ行く通路の途中に小部屋があるようにみえたのですが、他のお客は素通
りです。小部屋の前までくると、係員が入口附近でお客をじろじろみながらたっていました。もし
かしたら立ち入り禁止かと思い、中に入ろうとするのですが、係員が動かないので首だけでな
かをのぞいてみたら、展示室でした。よく見ると奥に椅子が用意されており、そこに座っていれ
ば、展示室であることはなんとなく判別できるだろうという感じです。他の展示品と雰囲気がち
がっていたので、シャイな製作者が見てほしくないとおもって意図的に、係員を展示室の入口
に立たせていたのかもしれません。
また、通路の出口付近に、おそらく展示物思われる、間欠ライトがあり、その先が大部屋にな
っていました。通路の出口=大部屋の入口(扉なし)に係員がいて、「こちらでございます」など
と誘導しています。前にいるお客はそこを素通りして大部屋に入っていきます。こうした誘導を
行う係員の存在は、この展示をそんなにじっくり見るものではないという作者のメッセージと思
い、間欠ライトはざっとみるだけにして次の部屋に行きました。
その他にいくつか展示がありましたが、ざっとみておしまいにしました。外に出るとそこは展望
室の入口の手前で、もう展望室にもどれません。美術館の入口は展望室の途中にあったから
です。最後まで展望室を見てないのに…。なんという通路のつくりだとおもいましたが、別に展
望したいわけでも美術館を見たいわけでもない人が、ここに集まるのであろうと思い、すごすご
下の階へいきました。
下の階にあった森都市未来研究所の展示は秀逸でした。映像がきれいだというところと、構
造が精密なところがよかったです。
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さて、夕方まで時間があるので喫茶店で時間をつぶそうと思ったのですが、サントリ―ホール
の前のビルは点検作業のためお店が休みでした。しかたないのであちこち散歩しましたが、な
かなかの収穫(お散歩スポット)がありました。また探検に来ようと思います。
聞きにいったのは、フランス国立管弦楽団クルト・マズア指揮で、次の曲ですがどれもよかっ
たです。
1曲目は「魔法使いの弟子」です。ビオラの動きがコミカルでよかったです。音だけでなく弓動
きなど視覚的にも訴えるものがありました。
2曲目はハチャトリアン「ヴァイオリン協奏曲」でしたが、独奏のセルゲイ・ハチャトリアンの超
絶技巧がすばらしかったです。ちょっと生意気な感じがしましたがオケ対独奏の対立構図がは
っきり出ていた良かったです。とくに最終楽章の旋律と伴奏の対比が印象的でした。アンコー
ルはバッハの無伴奏ヴァイオリンソナタ1番からだったと思います。ちょっとアンコールを強要し
たような感じで会場全体が拍手をするのですが、それにあわせて拍手をするのは気が引けま
した。
3曲目は「展覧会の絵」でゴルチャコフ編です。繊細な音はフランスのオケだからなのか曲に
あわせてなのかわかりませんが、曲全体の印象は明るい感じでした。ただ、金管楽器のコラー
ルはちょっと音量が大きすぎるのではと感じました。オーボエの存在感がちょっと薄めでした。
アンコールはグリンカです。普通ぐらいの速さでちょっうどよかったです。人によっては、かぎ
りなく早い演奏がよいといいますが、中庸がよいのです。
曲とは関係ありませんが、演奏中に奏者間でアイコンタクトをとっている場面が多く、だれか
落ちたのかと思い、すこし気になりました。とくにトロンボーンとパーカッション、チェロです。あ
と、セカンドには若い子が何人か混じっていましたが、団員だったのか不思議に思いました
が、プログラムを買わなかったので確認できませんでした。
【04/4/27 Tue】
仕事がおわって外へ出てみると台風のような雨と風です。それにもめげずサントリーホール
へコンサートを聞きに行ってきました。
なかなかよかったですが、ちょっと疲れました。モーツァルト「セレード10番 グラン・パルティ
ータ」はとくに重かったです。金昌国氏の「なぜモーツァルトはフルートを使う曲をあまり書いて
いないか」というお話は、なかなかよかったです。
演奏会の後、M氏とその令嬢とK氏と虎ノ門の天狗で夕食です。その席でM氏が令嬢に、何
冊か本を渡していましたが、めずらしい光景だと思いました。独立して別居している娘に本を薦
める父親とそれを拒否せず受け取る娘という図です。本は、一冊は中島敦でした。わたしもす
きだったので読んでいないご令嬢にはちょっとルール違反なはなし(ななしのおちを教えてしま
う)をしてしまいました。この点はここであやまっておきませう(といってもM氏もその令嬢もこの
HPの存在は知らないと思いますが)。

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