
日記04年02月
【04/2/22 Sun】
ザ・シンフォニカの第35回定期演奏会をききにいってきました。場所は、スミダトリフォニーで
す。大ホールで聞くのは初めてでした。開放感があり、ホールの印象はよかったです。
さて、曲を聞いて最初に思いついたのは最近読んだ本の一節です。「お金はさびしがりやな
ので、すぐにたくさんあるほうにいってしまう」というものです。うまい人があつまっているオケ
は、どんどんうまい人があつまってよりうまくなるのではないかと思いました。
曲が始まるまで勘違いしていたのですが、前プロはラベルだと思っていたのです。プログラム
も良く見ていなかったので、勝手にそう考えていました。1曲目が始まって、いきなり交響曲か
らするのか、とびっくりしました。
さて、そういうわけで1曲目がフランクのニ短調です。この曲は、似たような旋律が繰り返し出
てくるので、のっぺりした感じになりやすいのですが、ダイナミックスのよくきいた演奏で背筋が
ぞくぞくきました。終楽章の最後の方(370小節目あたり)でピアノになるのですが、ここの処理
がすばらしかったです。もっているCDで聞いていて不満に思っていた点で、CDでは抑揚が無
く、なんで最後の最後でピアノにしているのかわかっているのか不明な平板な演奏だったので
すが、シンフォニカの演奏はダイナミックスの絶妙なコントロールがきいていてよかったです。こ
の曲は、次回の私の課題曲でもあるので勉強になりました(そういうわけでミニチュアスコアも
っているで、小節番号まで書添えました)。
2曲目はラベルのクープランの墓です。私の非常に好きな曲です。これはY先輩にもお伝えし
たのですが、アマチュアはしないと勝手に思い込んでいました。しかしシンフォニカは違うので
す。この程度の曲にチェレンジしないとファンからは許されないというプレッシャーがきっとある
のだと思いますし、そのプレッシャーは正当だと思います。オーボエソロも大過なく、フルートも
コールアングレも難なく吹きこなしてました(もちろんクラリネットもです)。クラリネットが上手な
ところは多いのですが、やはりオーボエがあそこまでふけるというのはすばらしいです。抑揚の
きいたトランペットというのもすばらしいです。ラベルでトランペットが甲子園の応援みたいにが
なりたてると興ざめです。コントラバスも5弦が活躍して、曲を引き立ててました。3楽章で徐々
にクレッシェンドしていき、オーボエや、合いの手ように入るホルン・フルートの響きがなんとも
メランコリックなところは、中間部との相関性を高めていて曲全体の統一感が感じられる演奏
でした。やはり終楽章は主題と中間部の対照性が明確になるために、主題は力強く、中間部
はのどかに叙情的に演奏し分けないといけないのですが、この弾きわけがまた見事でした。
3曲目はドビュッシーの海です。あまりきかない曲なので、寝てしまわないか不安でしたが、こ
の演奏でドビュッシーに対する印象ががらっとかわりました。まず注目したはティンパニと大太
鼓です。これがすばらしかった。決然としたバチさばきには感動しました。トランペットの抑制の
きいたやわらかい演奏も極上です。チェロのソリもすばらしかった。きちんとハモッているので
す。アマチュアオケとは思えぬ一糸乱れない弾き様は感動的でした。ピッコロの、昔の国鉄の
発車ベルのような規則正しさの強調された、張り裂けんばかりのフォルテも味がありました。3
曲目のフィナーレが最高によかったです。巧みなクレッシェンドがある一点に向かう集中を予
感させ、それでいてセクションでばらばらのことをしているのが、高揚とともに奇妙な一体感が
徐々に明確になり、背筋がぞくぞくしたところへ、ティンパンニが衝撃を与える。拍手をすると曲
の余韻が失われてしまう気がしてもったいなかったのですが、たくさん拍手しました。ドビュッシ
ーは輪郭のあいまいなふわふわした印象しかなかったのですが、この演奏をきいて、こんなに
力強さが隠れていたのが発見できました。
せっかくすばらしい演奏会のあとでしたが、気になることがありSロカビルに向かいました。

|