同時進行!!ウィークリー馬券物語

51回: 天皇賞

「あれっ、師匠はどうしたんです?」
「出張らしいぞ」
「出張じゃなくて失踪なんじゃないですか」
「うむ、いつ夜逃げしてもおかしくないもんな」
「で、予想はいただいているんですか」
「先週の予想と変わらずだってさ」
「というと、やっぱりスペシャルですか」
「そういうことだな。もういちどくリ返していうと、 『春の3強VS新興勢力、どちらが強いのかこれが今回の天皇賞の焦点。毎日王冠と京都大賞典、 天皇賞のトライアルと言うべき2つのレ-ス、共に新興勢力の大頭が目立ったが。いや、スペシャル ウィ−クが負け過ぎただけで、他は予定通りだった。秋のGTシリ-ズ、出走レ-スを全部勝ちに行っ たならば、間違いなく途中で息切れ、どこにピ−クを持っていくかそれが戦略であり、企業秘密のテ クニック。夏に使い込んだ上がり馬達は勢いでGUでは勝てても、GTの厚い壁に跳ね返されると見た。 当初ジャパンカップが目標だったスペシャル陣営、掲示板を外すとは全くの予想外の出来事。名馬に連敗は 有り得ないと予定変更でも目の色を変えて今度は勝ちに来るはず、2着は外さない』と、まあスペシャルが 本命ね。で、対抗はと。『差すレ-スもできると新境地を開いたセイウンスカイが絶好調。だが普通のハイペ -スで逃げれば、他馬の脚をなし崩しに奪ってしまい、誰も着いてこれないはず。正攻法の勝負に期待する』と セイウンが対抗」
「セイウン嫌いの師匠が対抗にするんですよね」
「ああ。でも一番人気を消しちまうのか」
「今年の秋天も一番人気は勝てないんですかね」
「えーと、続きを言うぞ。『前走2着は予定通りのメジロブライト。勝った馬が違ったため3強の評価が下が った今度は人気の盲点。目標は有馬記念とはいえ、勝つチャンスは十分あり、直線の追い込みが決まるか』 と、やっぱりブライトなんだな。あとそれ以下はと『新興勢力で唯一恐いのがエアジハ−ド。グラスワンダ− が出走できれば当然大本命だが、安田記念で現実に敗っているのだ。距離的に今回がメイチの勝負で、大化 けの可能性がある。  残念ながら、クリス、ツルマル、メイショウ達は初のGTの壁に泣いてもらおう。 能力とスピ−ドだけでは勝てないのがGT。それならば、キングヘイロ−の渾身の一発の方が面白い』 とこんなもんだな」
「まとめると、◎スペシャル○セイウン▲ブライト(注)エアジハード△キングヘイロー ということですね」
「しかし、スペシャルの追いきり、ちょっとねえ」とF。
「確かに、いつもの迫力がなかったですね。でも、AJCCも調教悪くて勝ってるし、 トップガンもオールカマー惨敗、追い切りもイマイチでも本番でも2着に来ましたから、 GT馬の底力に期待しましょう」とS。
「しかし、上がり馬は外枠入っちゃたな」
「ツルマルとメイショウは8枠ですね。ここ10年15番から外の馬って勝ったことないんですよね」
「そうなんだよな。府中の2000は外枠不利は常識だからな。藤田は強き過ぎる時来ないし、 メイショウはただでさえヤネが不安なんだから。キングヘイローもこの枠は厳しいなあ」
「8枠は消しですかね」
「キングに期待してるんですけど」とT。
「去年みたいなアクシデントがあればくるかもな」
「しかし、先行勢もそろってますね」
「それもまたそうなんだなあ。行きたい馬多いよな。セイウンは控えるたって3番手ぐらい だろ。おそらく、直線入り口では仕掛けてくるんだろう。で、ハイペースで前崩れ、差し馬 有利って言われてるけど、先週の秋華賞なんて、先行有利な京都2000だからってみんな 前にいって潰れたもんな。案外、前が落ち着いちゃって、いったもん勝ちだったりして」
「そうでね。戦前の展開予想があてにならないのは、先週の秋華賞で実証済み。ここは 府中の2000ですから、外枠切って、素直にスピード能力を評価して決めますか」
「というと、やはりセイウンか。あとレコードだしたことがあるのが、サイレント 、アンブラス、クリス、ホッカイ、ダイワあたりか。サイレントは近走からちょっと買えない し、アンブラスはいかにも平坦ローカル馬で ここでは厳しい。面白そうなのはダイワだな。復帰してから、調子落ちで人気ないし」
「そうですね。レコードも新潟のものですが、そのあと中央でGUのオールカマー勝ってますからね。 前走もレコードにコンマ4秒差でタイムそのものは悪いものじゃないですよ。勝ったホッカイルソー は常にメイチ、決め手も甘く府中向きじゃありませんから、ここではダイワのほうが上でしょう」
「クリスザブレイブもたんなる上がり馬で片付けられない馬だよな。賞金足すために安全策のローテ組んだ だけだからな。この馬条件戦やローカルのオープンじゃ能力が違うんで逃げただけだけど、控えても いけるだろ。枠が外よりで陣営は落ち込んでたけど、これで無理に前に行かずに済むんでよかったんじゃないか。 今年のメンバーならひょっとしてがあってもおかしくないしな」
「師匠も上がり馬消してることですからね」
「まあ、こんな紛れの多いGTなんてやることもないんだけどな」
「そうですね。府中の2000MでGTやるほうがおかしいといえばおかしいんですけど。私も 観戦だけにして、スペシャルでも応援します」
「先週のショック、といっても我々は焼肉食えたけど、師匠は滅入っているからたまには応援してやるか」
「そうですね。今週は師匠におごってもらいましょう」
「去年の有馬以来だな。期待しようぜ」と言うF。
しかし、期待してる者は誰一人としていなかった・・・


(更新10/30)

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この物語は、本当のことも書かれておりますが、基本的に フィクションです。実在の人物・団体・事件などにはいっさい関係ありません。また関係者?以外 の方が読んでも内容がよく分からないと思います。御質問があればメールをお送り下さい。答えら れる範囲でお答えしたいと思います。