同時進行!!ウィークリー馬券物語
止まらない木ブルース

第49回: '99秋華賞

「いよいよ秋のGT戦線も始まりますね」とF。
「いくつ勝てますかね」とS。
「もちろん全部に決まってるじゃねえか」と師匠。
「師匠なら当然ですよね。暮れの有馬まで連勝街道まっしぐらですね」
「俺は常に勝つから連勝とは言わないがな。日常といってくれ」
「よう、言うわ」と思う弟子達。「これは失礼しました」
「では、秋華賞の勝ち馬教えてください」
「まずはだな。秋のイメージは完成された美しさ。春の少女達がこの夏を経て 、それぞれの輝く個性に成長していったぞ。秋華賞という卒業試験、この結果次第で 、どのような道を歩んでいくのか進路が決まる。4歳牝馬の最後の舞台で、誰が一番華やかに 輝くのかが注目点だ」
「卒業試験?落第したりして」
「卒業しても、いまは不況で就職厳しいからなあ」
「なに、下らんこと言ってるんだ」
「どうもすいません」
「続きを言うぞ。まず本命だ。それは、一見見て、華麗な姿と誰をも魅惑させ、スクリーン の大女優みたいな雰囲気のある◎トゥザヴィクトリーだ。本命は貴女しかいない。トライアル の謎の失速もミステリーアクトレス。京都のフラット直線ならば、栄光のヴィクトリーロード を一気に駈け抜けて、最後はハッピーエンドで決着するストーリーよ」
「大女優の割には、まだ2勝。オープン勝ちもないんですけど」とT。
「甘いぞお前は。夏を越しても成長が見られんぞ。春は調子落ちが明らか。オークス はウメノの出し抜け食らっただけだ。ローズSは豊の試走にすぎん。本番できっちり 結果をだすのが豊だ」
「はあ、私の考えが愚かでした」と謝るT。
「わかればよろしい」
「で、師匠、対抗はなんですか」
「対抗は、淑やかな黒髪の内に闘志を秘める和風美人の○フサイチエアデールだ。 小柄ながら一本芯が通っている炎の貴女。馬群の内側でチャンスを伺い、直線烈火の末脚 で突き抜ける。今年夏をいっしょに過ごした2人のエキゾチックコンビがワンツーフィニッシュ だ」
「やはり対抗もサンデー産駒のフサイチですか。関口オーナーも豊に負けるなと 至上命令をだしているとかいう話しですよ」とS。
「あのー、ただ1等頭のGTウメノファイバーはどうですか」とF。
「オークス馬の▲ウメノファイバーはブッツケ本番でいきなり登場だな。輸送に 弱い、右回りが嫌いと、我侭が多いロイヤルクイーンだ。しかし、潜在能力は 高く末の切れは味はナンバーワン。ここを勝ち、次はジャパンカップで凱旋門賞 馬と勝負すると夢は超ビックだぞ。で、評価は3番手だ」
「評価の分かれるところですよね。ファビラスラフインはぶっつけで勝ちましたが」
「あと他に注意する馬はなんですか」
「忘れ去られた美少女、△ゴッドインチーフの人気がまったくないぞ。天才少女が大人に なり、その変貌した姿の新キャラクターを見せるぞ。メタモフォルゼ一回限り、最大の アップセッターとなるかだ」
「なるほど。ゴッドインチーフの復活もあり得るということですね」
「そういえば、トライアル勝ちのヒシピナクルの名がないですが」
「あまりにも偉大なる姉のプレッシャーに霞んでしまい、いまだ未成熟としか見えないな」
「じゃあ、印はないんですか」
「要らん。あとクイーンステークス組は、まだ若く成長途上。将来に夢を託そう」
「エアザイオンも要らないといことですか」
「まあ、そういうことだ。お前達も、俺の言った通り馬券買えば年末には倉が建つぞ」と師匠。
「倉を担保に取られるといことか?」と顔を合わせる弟子達。「いやー、わかりました。 ほんと、我々は師匠のありがたい予想を聞けて幸せです」
「わかったならよろしい。じゃあ、俺はこれでな」と夜の街に消える師匠。


(弟子達の会話)
「まあ、予想通りといえば予想通りだなあ」とF。
「ええ、師匠好みのサンデー産駒2頭で本命・対抗ですね」とS。
「そういえばフサイチのオーナーって関口氏だよな。某雑誌で、オークスの日、豊が挨拶 しなかったって怒っていたぞ」とF。
「でも、ヤネが福永ですからね。京都の内回り2000M、大外一気では厳しい。それは レッドチリの藤田にもいえそうですが」とS。
「だから、やっぱり豊のトゥザヴィクトリーなんだな」とF。
「でも、切れる脚がないぶん、早めにマークされるとやっぱりきついですね。それと 京都の内回り2000Mは先行有利といってみんな前に行ったら崩れちゃいますね」とS。
「そうするとウメノファイバーの鬼脚が炸裂か」とS。
「それがですね。昨年の秋華賞の師匠のコメントなんですが、秋ぶっつけではベガやエアグルーヴ でさえ勝てなかったのにエリモエクセルが勝てるわけないだろと言ってるんです」とS。
「おいおい、ウメノは違うってわけか?」とF。
「1年経っても成長してないのは師匠じゃないですか」とT。
「いや、師匠は退化してるんじゃねえか」とF。
「まあ、ウメノは師匠も言ってることだし、要らないでしょう」とS。
「ヒシピナクル消しですよ」とT。
「そうだよな。使われた強みといいながら、ローズSではトゥザヴィクトリー、フサイチを 抑えて勝ってるからな。印をつけなきゃな」とF。
「ええ。それとエリザベスから秋華賞に変わって、距離も2400Mから内回り2000M。 これって素直に桜花賞の実績とトライアルの結果を評価しやすくなりましたね」とS。
「2000Mと2400Mってまったく違う世界だからな。というと桜花賞馬プリモディーネ がいないから、フサイチ、トゥザヴィクトリーはトライアルそこそこだから素直に評価していいか」とF。
「それとヒシピナクルを加えた三つ巴ですかね」とT。
「それはそうでも4歳牝馬限定戦。なにが起こるかかわかんないですから、 軸は3頭から選んで、過去穴をあけていたローズS組下位と900万勝ち組にも薄く流しましょう」とS。
「そんなところか」とF。
「まあ、軸は師匠の消したヒシピナクルで決まりでしょう」とT。
Tがそこまでいうなら、それも消しだと思うFとSであった。


(更新10/23)

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この物語は、本当のことも書かれておりますが、基本的に フィクションです。実在の人物・団体・事件などにはいっさい関係ありません。また関係者?以外 の方が読んでも内容がよく分からないと思います。御質問があればメールをお送り下さい。答えら れる範囲でお答えしたいと思います。