同時進行!!ウィークリー馬券物語
止まらない木ブルース

第七回:新潟遠征

例年恒例の○田一門の新潟遠征が、先日の7/18・19に盛大?に行われた。 参加者は東京から師匠A氏、一番弟子F、直参旗本K、一門とは関係ない仕事人HA氏。
新潟現地組から、奥さんには「また今年も!」といわれたHI氏、新潟の直線は俺のものだのOM 君が参加。

7/18
朝、上越新幹線の車中。先発陣師匠、K、HA。
「今年も恒例の新潟遠征がついにやってきたなぁ。とりあえず午後のレースで温泉代を稼がせ て頂くか」と既に酒がまわっていい気持ちになっている師匠。口ではああ言っているが、いままで 温泉代を稼いだことはない。
「僕はまた来てしまった」とつぶやくK。
「なんかいったか?」
「いや、なにも。また楽しい月岡温泉ですね」とK。
「そうだろう。おまえも俺の弟子をやっているから、温泉して競馬してなんて、おつなことができる んだぞ」と師匠。
「あははは・・・」とK。
「いやぁ、僕はAさんと行くと負けなしですからね。温泉つかって競馬も勝っちゃうなんて、笑いが止ま りませんよ」とすでに勝ったも同然のHA。
「・・・」と師匠、競馬新聞に目をやる。HAの言う通り、彼といっしょに競馬に行くとほとんど勝った ことがない。さらにHAは師匠の負けた分をしっかり稼いで帰る。今年も不吉な予感が・・・。

午後、新潟競馬場到着。地元のHI、OMが合流。みなほどほどにレースを消化。最終レース後月岡温泉 に向け出発。
「ちきしょう。あんまり儲からなかったよ」とHA。
「うーん。ちょっと読みづらかったな。まぁ開幕週だからな。でも明日は大丈夫。今日のレースで今年の 傾向がわかったからな」と師匠。当然損して一日目を終了している。
「宿に着けばFが来てるぞ。あいつも賢いな。毎年宿から参加して日曜に資金をとっとくんだからな」と 師匠。
「そういえばSさん今年こないんですか」とOM。
「おう、失業中で新潟どころじゃねえとのことよ。でもな、失業保険1日9500円ももらってるらしい ぞ」と師匠。
「えー、うらやましい」
「でも、先週の木曜から新しい会社に入ったそうだ。まぁ、めでてえことよ。あいつには有馬でしっかり 働いてもらうからな」

月岡温泉に到着。Fも合流しさっそく温泉につかり、夕食へ。
「師匠今年もコンパニオンはつかないんですか」とF
「えーうるさい。今日やられちまったんだ。がまんせぇ。それにコンパニオンは熱海で懲りてるだろう」 と師匠
「師匠、熱海の話しはやめて下さい。あれは人生最大の汚点です」とF。
「えっ、あの人達ってコンパニオンだったの?」と熱海旅行に参加したKがつぶやく。
「でも若いお姉チャンたちを1階のロビーで見ましたよ。おんなじ制服きてたから派遣コンパニオン でしょう。多分、新潟市内から派遣されてくるんですよ」とOMが目を輝かせながら言う。
「そうか、今度来るくる時は俺に任せておけ。初日にしっかり稼いで呼んでやるぞ」と師匠。
一同「・・・」

翌朝、新潟競馬場へ向け出発。
「今年は指定がとれんかった。OM、お前の出番だ。あの直線(400M)を走りきれるのはお前し かいない。2年前2着を死守したSが今回はいないからな。ちゃんとゴール前のいつもの席をとるん だぞ」と師匠。
「えっ、また走るんですか」といやな表情でOMが。
すかさず「俺ももう7歳(注:人で言うと30歳すぎ)を超えて走れん。お前頑張れよ」とF。
「もう若くはないが地元の意地にかけて俺も走るぞ」とかつて席取り走1着の栄光を掴んだ男HIが出走 宣言。
「いやぁ、HIさんにはかないませんよ」とFがよいしょする。
「僕も出来るだけ速く走りますよ」とK。

正門に並び始めて数10分。とりあえず1番前のポールポジションをキープ。 開門の時を待つ○田一門。
午前9時開門。大勢の人がサイレンススズカばりの猛スピードで走り出す。正門を抜け場内に入ると 正面に第4コーナーが見える。ここを左に曲がり、直線コース沿いにゴール前の「定位置」を目指す一門。 しかし、ゴールまでは400Mの直線を走りきらなければならない。次々に脱落者が・・・。しかし、 地元HIが着を死守し「定位置」をゲット!
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、 うー、おー」
「うー、俺吐きそう」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、目が回る!」
一同呼吸を整えるのがやっとの状態。数分後、「よかった。よかった。今年もこのゴール前の席を取れて」 と師匠。「さあ、とりあえずビールだ」と朝っぱらから酒盛りが始まる。

一同、淡々とレースを消化。いつもの通り師匠は負けが混んでいく。「う〜ん。メインで取り返せば どうにかなるさ」と馬券売り場へ出かける師匠。しかし、その足取りは負けが混んでいるのと朝っぱら から酒を飲んでいるせいかもうふらふら。
「師匠、大丈夫か」とHI。
「ええ、大丈夫ですよ。帰りの新幹線の切符は買ってありますから」とF。
「しかし好きだね。毎年わざわざ新潟まで負けに来るんだから」とHI。
「この前の福島遠征も散々でしたよ」とK。
「これで秋は石和(注)か。石和もいい思い出がないな」とF。(注):山梨県・石和温泉のこと。 温泉街の外れにJRAの場外馬券場がある。毎年秋にはここに遠征する。
「今年はFUさんが静岡に帰ちゃって来れませんよね」とK。
「あいつも一門を離脱して、いい人生がおくれそうだな・・・」とF。

メインレースは朱鷺ステークス。結果はタイキマーシャルが逃げ切り勝ち。二着にキビダンゴが突っ込み 波乱となった。
人気のロイヤルスズカ、ヒロデクロス、チアズサイレンスが連をはずした結果に一同唖然。
「あちゃー、タイキはいいとしてキビダンゴかよ。安田組はなにやってんだよ」とHI。
「くっそー。またやっちまった」とOM。
「これじゃ取れませんよ。ねえ師匠?」とF。
「チアズ・・・」とつぶやく師匠。その目は焦点が定まっていない。
「ああ、やっぱりサンデーサイレンスか。チアズは消してたから良かったんだけどなあ」とF。
「なんか言ったか」と師匠。「いえ何も」とF。
「ところでHAさん、取れましたか」とFがHAに尋ねる。
「いや、新潟は取れなかったかったよ。でも函館でとってるから」とHA。
「トータルはどうなんです?」とF。
「ああ勝ってるよ。Aさんとくるといつも調子良くて」とHA。今回も師匠の負け分はしっかり 稼いでいる。

最終レース終了。やはり一同の足取りはバラバラ。師匠はいつもの通りおおやられでふらふら。 あとの者達はトントンか少しやられた程度が多かったが、HA氏だけは師匠のやられ以上の勝ち を収めうきうき。
「また呼んで下さいね」とHA。
「・・・」無言の師匠。そして「今度は石和でお前らを鍛え直す」とつぶやく師匠であった。

こうして一門の新潟遠征は今年もやられで幕を閉じた。

(更新7/26)

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この物語は、本当のことも書かれておりますが、基本的に フィクションです。実在の人物・団体・事件などにはいっさい関係ありません。