同時進行!!ウィークリー馬券物語
止まらない木ブルース

第44回: 東京優駿・ダービー(GT)

「あれ、師匠は?」
「まだ来ないんですいよ」
「●田馬連投資顧問も業務停止命令でもくらったのか」
「確かに債務超過は否めませんが、そもそも業務なんかやってましたっけ?」
「それもそうだな」とアホな会話をしているところに師匠がやって来た。
「おーす」
「ちはーす」
「あれ、Tはどうした。俺の話しを聞かずしてダービーが当たるわけねーっつのに」
「いえ、T君は奥さんが臨月で競馬どころではないんですよ」
「そーいえば、そんなこと言っていたな」
「でも、馬券だけは隠れて買っていましたよ」
「そうかえらいぞ、あいつもそろそろ本弟子にしてやらんとな」
「では師匠、ダービーの勝ち馬教えて下さい」
「おお、この前渡した紙に大体書いてあるがな。 まずだな、ダービーがすべてのレースの頂点にあることは、疑いようのない事実だな。そして その日は、競馬場の空気がまったく違う。異様な雰囲気の中、様々な想いと欲望が交錯するぞ。 狂気に近い世界。あらゆるものをフラッシュ。強靭な精神力をもって、ここで勝利できた馬が ダービーの栄光に輝く」
「狂気の世界ですか。で、その狂気をクリアして勝つ馬は」とわざとらしく聞くS。
「そこで本命◎アドマイヤべガだ。アドマイヤべガには ダービーを勝たなければならない理由がある」
「みんな勝ちたい理由はもってるんだけどなあ」とつぶやく弟子達。無視して続ける師匠。
「昨秋、武豊を騎乗停止に追い込み、スペシャルウィーク、 エアグルーヴといった名馬たちを、混迷の世界に惑わせた張本人がべガだ。しかし、自らダービー 馬となることで、また武豊にとってはダービー2連覇を達成することにより、すべてが 浄化されるのだ」
(「最後まで迷惑かけるんじゃないか」と思う弟子達。
「サンデーサイレンスの仔たちには、驚異的な闘争心が引継がれており、それがうまく レースに作用すれば爆発的な脚を使う。まだ粗削りな面はあってもその片鱗をときおり 見せる○ペインテドブラックが対抗の相手だ。悪魔の末脚が本領発揮できるぞ」
「対抗もサンデーのペインテドブラックですか」
「そうだ。で、3番手だが、サラブレッドとしての完成度としては▲ナリタトップロード が一番かもしれないぞ。好位置でうまく折り合い、直線で抜け出せる自在性がある。 心配は、若い渡辺騎手が乗りこなせるかだけだがな」
「たしかに渡辺というのは気になりますね」
「だから3番手までだ。あと、反対に馬体はまったく未完成だが、素質だけで走っている △ニシノセイリュウもノーマークにはできない。何もさせてくれなかった皐月賞はいい経験。 母譲りの勝負根性はここでも通用するぞ」
「ヤネもベテラン河内というのは心強いですね」
「そうだ、ベテランを忘れちゃいかんぞ」
「あのー、皐月賞馬のテイエムオペラオーの評価はどうですか。この前は(注)でしたけど」
「テイエムオペラオーの取捨は問題だったが、勝ってもそれほど人気になっていないな。前売りでも どうやら3番人気なので、馬券は押さえておこう。しかしダービーは魔物。和田騎手 の冥界に惑う姿が目に浮かぶな」
「冥界ですか」
「まだ和田ごときにダービーとられちゃ、他の騎手連中がだまっちゃいないからな」
(「でも、今の時代年齢は関係ないんちゃうの」と思う弟子達)
「でも、べガが勝つと豊はダービー連覇ですね」
「あと、母子クラシック制覇といろいろ記録になりますね」
「俺がお墨付きを与えてるんだから絶対だ」
(「あんまり嬉しくないお墨付きだなあ」と思う弟子達)
「そうですね、豊もきっとよろこんでますよ」(な、わけねー)
「じゃ、俺はころからダービーの前祝いに行ってくるからな」と夜の街に消える師匠。

(弟子達といってもFとSの会話)
「べガで変わらずだったな」
「まあ、予想通りでしたね」
「追い切りは、まあまあで調整は良かったようだな、べガは」
「でも、ダービーほどの大舞台に出てくるんですからそんなの当たり前ですかね。 豊のコメントもスペシャルウィークのときと比べるとなんかおとなし目というか 歯切れが良くないですね。表情もいまいちって感じしますよ。前走マイナス12 キロが堪えているようですね。暑くなって減るのはしょうがないかもしれませんけど、 その前に減っちゃまずいですね。でも4歳の育ち盛りなんですから、あまり減らない ほうがいいですよね」
「そうだな。ここ10年、前走体重が10キロ以上減っていた馬ってダービー勝って いないんだよな」
「あと1〜3番人気の馬で、皐月賞2着馬を除き、前2走未勝利馬が ダービー勝ったこともないんですよ」
「なに、そうか。そうだな、よく考えてみると年明け未勝利馬が、弥生賞馬や皐月賞馬より 人気がでることもおかしいな」
「対ナリタトップロード戦は2戦2敗ですよ。こりゃべガまずそうですよ」
「師匠も推してるな」
「対抗にあげたペインテドブラックはどうですかね」
「たまに連対する青葉賞馬だし、マイネルシアターとハナ差じゃ買えねーよ。 ただ、有力どころが若手ジョッキーだから、ヤネが加藤というのはいいかもな」
「本番でいじるのは良くないかもしれませんが、初ブリンカーで化けたりして」
「結局、ここは皐月上位馬が中心でいいんじゃないか」
「普通なら皐月賞を勝ったオペラオーが中心でいいんですけど、和田君が2冠ジョッキーというのも・・・。 こんな若さで2冠とったら人生終わっちゃいますよ。将来性高い騎手だから、お預けのほうが本人のため かも知れませんね」
「ナリタは戦績・ローテと昨年のスペシャルウィークとそっくりでいいんだけど、 ダービーを初騎乗で勝った騎手はいなんだなあ」
「かといってオースミブライトは、血統は良くても2000ぐらいまでですよね。 ダービーはオークスと違って血統も問われますからね。皐月賞上位馬でも血統上無理の あった馬はやはり負けていますから注意ですね。一方で、ライスシャワーやフサイチコンコルド なんかは人気薄でも来ていますね」
「うーん、べガも危うしで皐月上位馬にもウィークポイントあるとなると難しいな。 やっぱりオーメンダービーだから6・6のゾロ目か」
「それがですね、先の皐月賞で6・6のゾロ目が出ちゃってますよ。さらに今日のエプソム カップも6・6のゾロ目でした。それも馬連3万の大波乱でした」
「そりゃ、もう出尽くしだ」
「そこでなんですが、実はこの『止まらない木ブルース』も、44回目のゾロ目なんですよ」
「そりゃあ、絶対来ないってことだ」
「そうですか。なら、6枠は6枠でも人気のナリタを外してチョウカイリョウガから 買おうと思うんですが」
「アホかお前。1勝馬がダービー勝てるわけねーだろ」
「そりゃそうですね。あとべガにいい話しがあるんですよ」
「なんだそれは?」
「今日、中京メインのテレビ愛知オープンで1枠2番に豊のダンディコマンドが入っているんですよ」
「それが、どうした」
「べガは1枠2番に入っているじゃないですか」
「でも、今日負けたろ」
「あれっ、そうでしたっけ」
「それなら、オペラにタキシードで1番から14・17だ」
「ブラック・ブラックもありますが、ここはヤマニンア黒から流しましょう」
くだらない会話を続けるFとSであった・・・


(更新6/5)

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この物語は、本当のことも書かれておりますが、基本的に フィクションです。実在の人物・団体・事件などにはいっさい関係ありません。また関係者?以外 の方が読んでも内容がよく分からないと思います。御質問があればメールをお送り下さい。答えら れる範囲でお答えしたいと思います。