同時進行!!ウィークリー馬券物語
止まらない木ブルース

第40回: 高松宮記念(GT)

「師匠、もう決まったんですか、高松宮記念の予想が」と週半ばに予想が出来上がったことに 対して驚く弟子達。
「師匠、絶好調ですからね」
「俺に好不調の波はない。常に馬券を当ててるぞ」とここ連勝で機嫌のいい師匠。
「そうでしたね。それでは高松宮記念の勝ち馬教えて下さい」
「おお。今年の5歳牡馬、この世代は強いぞ。しかも各距離別の路線ごとに、有力馬の層が厚く、 長距離路線、中距離ミドルディスタンス、マイラー路線ともそれぞれに結果を出して、圧倒的強さ を見せつけてきた。ここでスプリンター路線を勝てば、グランドスラム達成となるぞ」
「確かに強いですね。JC、スプリンターズS、有馬記念と来て、先日はスペシャルウィークが天皇賞 を制覇。安田記念はグラスワンダーかキングヘイローか言われていますから、ここを勝てばグラン ドスラムすね」
「その通りだ。しかし、戦前の予想では楽勝のはずだった昨年スプリンターズSの覇者マイネラヴが 故障で回避となってしまった。一番人気は確実だったのにな。これでさざ波が走ったが、それで5歳 馬が勝つぞ」
「やはり5歳ですか」
「そうだ。そこで本命は◎トキオパーフェクト。馬場状態が抜群にいい今の中京コースでは、この馬 のスピードの絶対値が100%活きてくる。圧勝か惨敗かの極端な成績だが、前走はヘタに押さえて しまい、馬が走るのを止めてしまった。今度は他の逃げ馬なんか気にせず、ガンガン競り合おうが、行 ってしまえばゴールまで止まらないだろう」
「やはりトキオのスピード絶対値は抜けてますか」
「ああ。あと、同じく5歳牡馬で、どんなレースにも対応できるセンスいい○アグネスワールドが対抗だ。 馬体がしっかりしてきて安定感が倍増となった。小回りコースの4コーナーのごちゃつきも巧く捌いて 伸びてくる末脚は脅威だぞ」
「安定感でアグネスですか」
「そうだ。そして雨が降れば、勝利に一番近いのが、6歳の▲ワシントンカラーだ」
「おっ、出た」と思う弟子達。
「しかし、良馬場でも、短期放牧で馬体に豪快さ出てきた今の出来なら、十分勝負になるぞ。 同期のタイキシャトルがいないここなら、底力は上の存在。展開一つで初のGT勝利の チャンスもあるぞ」
「ついにワシントンもGT馬の仲間入りですか」
「まあ、強い5歳馬を負かさんといかんからな。でもその資格は十分あるってことさ」
「あと注意する馬はいますか」
「あとはワシントンと同じ6歳馬からだ。世代別強さを言えば、6歳牝馬のこの世代も強いぞ。 前走押さえる競馬で勝った逃げ馬★キョウエイマーチもその一頭。ハンデが楽になったぶん、直線 の叩き合いに持ち込めば勝機も見えてくるぞ」
「キョウエイの前走は見事でしたからね。あっ、そういえばその同期のシーキングザパールは どうみたらいいんですか」
「それがだな。直線一気の差し切りを狙うが、今回は馬群を捌けないと見て、思い切って消し。 次走、安田記念に出てくれば買って見たいけどな」
「馬群が捌けなくて消しですか。ふーん」
「おっといけねえ。もう社に戻る時間だ。お前らも仕事サボってんの見つからんようにな」と立ち去る 師匠。


(弟子達の会話)
「それにしても師匠、好調なんだな。まだ水曜ってのに」とF。
「僕は驚きましたよ。こんな平日の真っ昼間に師匠に呼ばれるなんて」とS。
「俺もまだぼんやりとしか考えてないよ。追い切りが載るのも今日の夕刊からだろ」
「そうですよ。まだ追いきりのタイムも見てないんですよ。相当自信があるんでしょうね」
「とりあえず予想みると、有力どころはちゃんと押さえているといった感じですね」とT。
「トキオが本命か。確かにスピード値は高いかも知れないが、前走みたいにかぶされると脆いな。 かといって大敗のあと巻き返しもしているし。良く分からん馬だな」
「確かに速いですよね。でも今回、蛯名から田中カッチーに乗り替りですよね。ぼくはそれで狙いを 下げます」
「そう、カッチーといえば、府中の長い直線ってイメージですからね。中京のスプリント戦、逃げ馬、 人気もそこそこならいっそのこと消しかもしれませんね」
「でも1200だろ。いくらカッチーでも乗っかてりゃ勝てんだろ」
「まあ、そうですね。出遅れさえなければ大丈夫でしょう。あと枠ですかね。キョウエイとサウンドワー ルドの外が理想ですね」
「対抗にあげたアグネスワールドはようやくでてきたなって感じだな。昨年は脚部不安で棒に振ったけど 、3歳時はすごく期待されていた1頭だからな。3歳でGT馬でもないのにJRAのカレンダーに載った ぐらいだぞ」
「今度こそって思っているでしょうね。ここ2戦はなんか試しているって感じで本番は爆発しそう ですね」
「好位について、前のやりあいを見ながらレースを進められるのは有利。トキオにそのまま行かれるかも しれませんが、連軸として最適ですね」
「横山典が2週連続GT勝ちってのは考えづらいから、単は見送りしたいけど」
「まだワシントンカラーをあげてますね」
「芝のスピードレースは辛いけど、渋れば恐いよ。去年2着の実績があるからな」
「天気しだいですかね。この馬は」
「あとキョウエイマーチ。スランプ脱出で有力馬の1頭になったな。前走の走り方ならここ でもと思うけど、阪神での好走がひっかかるんだ。快速馬でもスタミナ系の馬だから、坂が有利に 働いたって気がするんだ。それに左回りというも不安だよ」
「オークス惨敗もいれ込み、距離など言われていましたけど、左回りは合わないっていう意見もあった 覚えがありますね」
「ここは確かに押さえ程度でいいな」
「師匠の消したシーキングはどうです?」
「いやー、ちょっと間が開いたし、中京は行った行ったが多いですよ。後ろから行くシーキング には展開が合わないじゃないですか」
「それはそうなんですけど、豊はそんなの百も承知じゃないですか。昨年のスプリンターズSは 確かに最後方から行きましたけど、あれはタイキシャトルに勝つことだけを考えた作戦だったん ですよ。結果はタイキは負かしたけど計算外のマイネルラヴにやられましたけど。ここはある程 度前につけてくるんじゃないですか。昨年は渋った馬場で4着。パンパンの馬場なら、やはり切 れませんよ。マイルは今のこの馬には長いですから、ここはメイチ勝負とみま した。シーキング・アグネスの森厩舎の親子ドンブリが見れるかもしれませんよ」 「海外GT馬がこのまま無勝じゃ困るからな。とりあえず、師匠が切っているから押さえよう。 まあ、こんなところか」
「あの、僕は気になる馬がいるんですが」
「どれ?」
「シンボリスウォードなんですが」とT。
「どうして?」
「ここ数戦のタイムもいいじゃないですか。前走1200も好タイムの優勝。藤沢・岡部ラインも いいですね」
「たしかに持ちタイムはいいかもしれないけど、それならスギノハヤカゼなんかとっくに GT勝ってるよ。日本レコードホルダーのエイシンバーリンだって、このレースは敗れているんだぜ。 やはり普通のレースとGTは違う。GTともなれば、道中は息が抜かせてもらえないし、レベルの高い馬 との競り合いにも勝たねばならない。まったく来ないとは言い切れないけど、ちょっとGTのペースに 慣れてからじゃないの、この馬は」
「トキオ、キョウエイ、シンコウフォレストと競り合うんだから大変ですよね。あと注意するのは馬場 コンディション。といっても天気じゃない。昨年は雨で論外でしたけど、3年前と1昨年は良発表でも ちょっと違った。芝の刈る長さが違ったという話しでしたね。3年前は短く刈り込んで超高速馬場でフ ラワーパークがレコード勝ち。でも1昨年は、芝がちょっと長めで、パワーもあるシンコウキングが前 年より0.6秒遅い1分8秒のタイムで優勝。2着エイシンバーリンなんか、前走1分6秒9の日本レ コード勝ちなのに、タイムを1秒以上悪化させてしまった。だから開幕週の高速馬場という 表現にはちょっと注意が必要ですね。土曜のレース結果も加味してから馬券を絞ろうかと思ってます よ」
「そうか、それはちょっと注意しておこう」
「ところで、今回も的中するとGT3連勝という忌々しき事態になりますね」
「といってもGTを見送っている僕には実害はないです」
「俺も。最近は様子見だから」
「というと僕だけですか。ちきしょう」
「天皇賞も外したんだっけ?」
「ええ」
「セイウンの単と2強ながしで撃沈だもんな」
「うるさいー!」
「で、マイルカップは?」
「エイシン、レッドチリ、ザカリヤ、バイオ、タンゴのボックスだったっけ?」
「ふーん、当たってそうであたってないな」
「余計なお世話です!」
「師匠の◎を外したボックスで撃沈。今回こそのらなきゃいけないんじゃないか」
「うーん、いや実は僕もちょっとそう考えているんですよ」
「それがいい。俺達も師匠の偉大さにようやく気づいてきたしな」
「そうですか。じゃ今回は目つぶって師匠の買い目で勝負しようかな」
「そう、そう」とTに師匠の買い目を進めるFとSであった。
しかし、また師匠が当たったら・・・



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この物語は、本当のことも書かれておりますが、基本的に フィクションです。実在の人物・団体・事件などにはいっさい関係ありません。また関係者?以外 の方が読んでも内容がよく分からないと思います。御質問があればメールをお送り下さい。答えら れる範囲でお答えしたいと思います。