同時進行!!ウィークリー馬券物語
止まらない木ブルース

第38回: NHKマイルカップ(GT)

「師匠、先週儲かったんですって」とS。
「おいおい、師匠は毎週儲かっているんだから、そういう言い方は失礼だ。ですよね師匠?」とF。
「まあいいって。その儲けは今週のマイルカップで倍増さ」と得意げな師匠。
「先の天皇賞も単も連も見事本線で的中。その勢いでマイルカップの勝ち馬教えて下さい」
「よし。まずだな、NHKマイルカップと日本ダービー。どちらのレースが格上かと問われれば、無論ダービー に決まっているな。しかし、どちらの勝ち馬が強いかと問われれば、外国産馬が参加しているNHKマイル のほうが、4歳実力ナンバー1決定戦というのが世間の評であろう」
「確かに昨年、マイルカップを勝ったエルコンドルパサーが、ダービー5馬身ぶっちぎりのスペシャルウィーク をジャパンカップで完封したのは記憶に新しいところですね。岡部がルドルフ級と言った馬があっさり同じ4歳馬 に負けたのには驚きましたよ。あれでセイウンの2冠まで色褪せてしまいましたね」とS。
「スペシャルは天皇賞を勝ったんだから現役最強だ」とSを睨むスペシャルファンの師匠。
「いまのスペシャルなら、エルコンドルに勝てますよね」とフォローするF。
「その通りだ」と師匠。
「では続きをお願いします」
「おお、ところがだ。今年は例年と少し毛色が違い、外国産馬の出走頭数が独占状態じゃない。不況の 影響で日本人 バイヤーの数が減り、全体の層が薄いのだ。そのためトップクラスのダービー出走予定組とのレベルの 比較が難しく 、今年は単なる4歳のマイルナンバー1決定戦と見るのが正解か。何れにしろ大混戦、波乱の予感がす るぞ」
「やはり波乱ですか」
「そうだ。そこで、実力伯仲でレースの流れが読み難く、抜けた実力馬がいない混戦を制するのは、 藤沢厩舎 3頭出しのうち、レースセンス抜群の◎シンボリインディだ。派手さはないが、バランス感覚が一番良 く、狙った レースはさらりと3連勝。直線イン強襲が鮮やかに決まるぞ」
「藤沢3兄弟ではシンボリですか。3勝2着1回で連対率100%は優秀ですね」
「負かした相手もサヤカ、ビッグバイキングなどの重賞ウィナーというのが 凄いですね」
「確かに重賞勝ちはないが、対戦相手を見ればこの馬が重賞級であることはすぐわかるな」
「では、相手は」
「相手筆頭は重賞を2勝している実力馬○エイシンキャメロンだ。前走はハミが抜けてしまうアクシデ ントのため 、レースをしていない。豊が同じヘマをするわけではがなく、リベンジバトルの今回は走るぞ」
「あのー、NZT快勝のザカリヤはどうですか」
「雨が降り、馬場が悪化すれば▲ザカリヤのパワーは恐いんだが、あいにく天気は良さそうだ。ス ピード競馬、時計 の勝負に対応できるかどうかだが、勝つ力は十分あり、展開次第では大きく浮上するぞ」
「他に注目馬はなんですか」
「調教で絶好の動きを見せた★マチカネキンノホシが最大の惑星馬だ。大跳びで馬群を捌けるかが問 題だが、 破壊力は一番だ。そして良馬場のヨーイドンの瞬発力なら、△ロサードの切れ味も捨て難いな。新潟 3歳チャンプ の復活に賭ける手もあるぞ」
「ロサード?そんなのでてましたっけ」とT。
「バカもん。サンデー産駒の初優勝もあるかもしれんぞ」
「はあ」
「最近絶好調の師匠についていかない手はないぞ。ねえ師匠」
「最近じゃない。いつもだ」
「わかってますよ。ここでオークス、ダービーのタネ銭稼いでおきゃなきゃならないですからね」
「よし、じゃあ俺はこれでな」と立ち去る師匠。

(弟子達の会話)
「こりゃ難しいレースだな」とF。
「うーん抜けた馬がいませんね。一昨年のシーキングや昨年のエルコンドルのように」とS。
「師匠の本命シンボリインディも持ちタイムや重賞勝ちはないですけど、負かしてきたのが サヤカやビッグバイキングなんですから中身は濃かったということなんでしょうね。連対率も パーフェクトですから 軸には持ってこいですかね」とT。
「しかし、どうもGTを狙ってる路線とは思えないな」
「ああ、大きい舞台でどうかとの不安はあるな」
「相手にあげたエイシンキャメロン。この馬の扱いは難しいですね」
「3連勝でGT2着、重賞2勝と実績は断然なんだけど、前走で惨敗」
「理由はぶつけられてハミが外れただの道悪だのいろいろ言われてますけど、 成長が止まってるかもという疑問はありますよね。東京コースがあっているようにも 見えないし、レースを見てて強いという印象がないんですよね」
「スギノハヤカゼのパターンに似ているという話しもあるな」
「やはり東京のマイルは長いですかね」
「勝ったら勝ったで実績通りだったということになってしまいますが」
「そこが難しい」
「NZTを勝ったザカリヤは?」
「良馬場で勝っていれば素直に本命でしょうが、道悪で有力どころが崩れて力関係が わからなくなってしまいましたね。で、前走は折り合いを欠いて、マイネルタンゴの3着 。そのマイネルが皐月賞4着という輝かしい実績を引っさげて出走。ザカリヤをとりあげるんなら、 マイネルもという図式ですね」
「人気どころのレッドチリペッパーも、東京は向きそうでも、ここ2戦は2着。それも牝馬限定戦 だ。そのレッドチリに勝ったサヤカも出てきている。で、サヤカは前走ブラックタキシード の2着に敗退。ブラックタキシードは強かったから、プリンシパルSの結果しだいではサヤカの 評価をもっと上げてもいいということも有り得るな」
「藤沢3兄弟では、明らかに厩舎サイドはキンノホシを推している。シンボリをNZTに使わず競合 を避けたぐらいですから。でもこの馬、実は新馬のみの1勝馬なんですよね。GT勝ちをするような 資格がないんですよね。確かにスケールの大きさは感じるんですが、本命にしづらいですね」
「トウカイダンディーの巻き返しは?」
「難かしそうですが、皐月はワンダーファングの除外というアクシデントですべてが狂って しまった感じですから、もしかしたらの期待もあります。師匠じゃないですが今年は内国産馬にも チャンスがあるというなら、ユタカオーの産駒のダンディというのもあっていんじゃないでしょうか」
「結局、ようわからんというレースだな」
「それなら内国産馬のボックスはどうでしょうか」
「マイネルタンゴ、トウカイダンディー、ジュエリーソード、ロサードあたりか」
「ユタカオーのトウカイダンディー、トニービンのジュエリーソード、サンデーのロサード 。どれも血統から東京得意ですね」
「このボックスで小額遊ぶか」
「あのー僕はバイオマスターが気になるんですが。降着になりましたが、 エイシンを負かした実績が光ります」
「ベストは1400の馬じゃないか。毎日杯のレースぶりを見ると府中の1600を走る スタミナがないな。ヤネは府中で穴をあける勝春だけど」
「このレース自体やめておいたほうがいいんじゃないの。師匠の予想もしっかり有力どころ 押さえているし。これらがコケたらなにが来るかわからんぞ」
「たしかに。このレース当てようとすると買い目が多くなってしまう」
「だから見送りだ。このGT戦線が終わったら新潟遠征が控えているからな」
「えっ、決まりましたか」
「7月の17日だ。また、すみれに行くぞ」
「あ、あそこはやめましょう」
「お前は悪夢を見たからな。今年も見させてやるぞ」
「ひえー」
「ところでT君は、今年こそ参加できるだろうな。師匠も君の将来性に期待しているぞ」
「え、僕は遠慮しておきたいんですが・・・」
「そう、遠慮するな。カード保有者は貴重なんだ」
「カ、カ、カード・・・。確かにカード保有者は貴重だ・・・」と思う弟子一同であった。
理由は・・・。


(更新5/14)

ホームページに戻る


この物語は、本当のことも書かれておりますが、基本的に フィクションです。実在の人物・団体・事件などにはいっさい関係ありません。また関係者?以外 の方が読んでも内容がよく分からないと思います。御質問があればメールをお送り下さい。答えら れる範囲でお答えしたいと思います。