同時進行!!ウィークリー馬券物語
止まらない木ブルース

第34回: 皐月賞

「先週の福永君は見事でしたね」と弟子F。
「そうだろ、俺の言った通りの活躍だな」と師匠。
「えっ、そんなこと言っていましたっけ?」と弟子S。
「お前達、記憶悪いぞ。だから馬券が当たらねえんだ」
(「2着のフサイチを抜けにしたくせに・・・」)
「いやー、どうもすいません。師匠の言った通り買っておけば良かったんですが、資金繰り がつかなくて、見るだけでしたよ」とS。
「見るだけでよかったな・・・」と言葉に詰まる師匠。「そんなことより、皐月の勝ち馬教えたる」
「お願いしますよ。師匠」と弟子一同。
「まず、いいか。この時期の中山2000というのがポイントだ。この時期中山2000を走らせば 、サンデーサイレンスの子が一番強いぞ。なぜなら、最後の直線無酸素運動、馬体が完成 されていない今戦えば 、究極の精神力勝負となり、闘争心の勝った血統がもの言うぞ」
(直線無酸素運動?師匠がいつもゴール前でやってることかとなっとくする弟子達)
「それがサンデーの血なんですね」
「そうだ。だから、本命は◎アドマイヤベガだ。血統的バックボーンに加え、個体素質が 素晴らしく、武豊もぞっこんだ。言われている食欲不振も、勝負気配が近いと馬自身 が体を作っているためで心配無用だ。レースでは獰猛な野獣のようにライバル達を仕留める だろうな」
「馬は野獣じゃなくてやさしい草食動物なんですが」と弟子T。
「なんか言ったか?」
「いえ、なにも。いつ聞いても師匠の読みは鋭すぎてついていけませんよ」
「あははは、お前達の頭じゃ難しいかもな。でも、これでもかみ砕いて言って やってるんだぞ」
「ありがとうございます。では続きをお願いします」
「対抗は○ニシノセイリュウだ。さすがに名牝の血を引く子供だと、素質の高い 走りを見せたからな。前走の若駒ステークス、破ったスリリングサンデーを物差し にすれば、アドマイヤベガと同等の力があるぞ。 心配なキャリア不足も、センスと勝負根性で問題なしよ」
「桜花賞馬産駒のワン・ツーも有り得るってことですね」
「そうだな。あと3番手は▲マイネルプライナムだ。若葉ステークスは 穴馬の宝庫。久々もなんのその、雨の中、黒い弾丸となって突っ込んできた プラチナム。札幌3歳チャンプの肩書きは伊達じゃなかったぞ。エリート 達だけが競馬をするわけじゃないんだと一泡吹かせてやってほしいな。あと 若葉Sで2着だったドラゴンブライアンだ。新馬勝ち快勝後、重賞オープン ばかりつかうのは期待が大きい証拠だ。厳しいレースで鍛えられ本格化開眼 。スケールの大きい走りはここでも通用するぞ」
「あれ、ナリタトップロードはどうなんです?」
「そのナリタだが、馬の力は認めても、若い渡辺騎手ではクラシックの雰囲気に 呑まれそうだ。実力を出しきれるか、一抹の不安が残る。ここは注で十分だ」
「やはりナリタはヤネが不安ですか」
「そうだ」と師匠。
「比較的平穏な結果になりそうですね」
「まあ、べガの頭は固いな。それじゃ俺はこれでな」と夜の街に消える師匠。

(弟子達の会話)
「サンデー好きの師匠だから、べガが本命か。予想通りだったな」とF。
「そうですね。サンデーの子ってこれしか出ていないですからね」とS。
「べガを買うんですか・・・」とべガ大本命のT。
「たんぱ賞を勝って弥生で連対なんてクラシックの王道だな」
「師匠の予想もパターン通りですが、外すのも王道だったりして」
「弥生を勝ったナリタは、きさらぎ・弥生と連勝ですが、これって 昨年のスペシャルウィークと同じパターンですね。弥生賞馬ってここ数年皐月を 勝っていないんですよね。ちょっとやなデータですね。ヤネは若い渡辺だし・・・」
「でも、昨年は3強が抜けていましたから。今年は2強ですから。久々に弥生賞馬の 連対がみれるんじゃないですか」
「そうかもな。師匠も当たるのか・・・」
「弥生賞1〜3着のボックスにしようかと思います。去年はその2・3着のワンツーで えらい目にあいましたから・・・」
「ところで一門は誰も生観戦に行かないのか」
「それがカード抽選に外れまして師匠の期待を裏切ってしまいました」
「カードか。俺はそろそろ出来る頃だな。皐月には間に合わなかった」
「そういえばシルバー席で見るとか言っていたぞ。師匠が」
「えっ、またあの手ですか」
「年齢的にシルバーに見えるのは、いままでハズレ馬券の山を築いたせいでか・・・」
「それ、やばいっすよ。このページ見てチェックしてますからね」
「おお、そうだ。いまのカットな」
「ええ。わかりました(するわけないじゃん)」
「ま、昨年までのような人海戦術がとれればいいんだがな」
「それより、誰でもカードが持てるようにしてくれればいいんですけどね」
「お前、そ、そ、それは・・・」
「あっ・・・」と沈黙する弟子達であった。



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この物語は、本当のことも書かれておりますが、基本的に フィクションです。実在の人物・団体・事件などにはいっさい関係ありません。また関係者?以外 の方が読んでも内容がよく分からないと思います。御質問があればメールをお送り下さい。答えら れる範囲でお答えしたいと思います。