同時進行!!ウィークリー馬券物語
止まらない木ブルース

第29回: グランプリ有馬記念〜当日・結果編

いよいよグランプリ有馬記念当日、一門5名はゴンドラ席に集結した。
9時30分に神田川集合だったが、早くもSが遅刻。
「おい、遅刻だ。Kと席替えだ」と師匠。
「そんな、9時半なんて無理っすよ」とS。
「まあ、いい。それより2Rが始まるからな」

2レース発走。 予想通り?1番人気の亀山のエヌワイサクシードが連を外す。勝ったのは復帰後も 絶好調の蛯名・ウインディード。2着も好調カッチー・ハイフレンドウッズで馬連 830円の終わってみればおいしい決着。
「あー、あれ、おかしいな。つまんない決着」とHA。
「うー」と師匠。
「やっぱり亀山だよ。やってくれんじゃん」とF。
「とりあえず末勝利脱出!」とS。
「えっ、とったの?」
「まあ、今日初めのレースですから単勝1000円、馬連1000円だけですよ」
「でも蛯名は調子いいなあ」
「まだ有馬まではレースはある。午前の勝負は第4レースだ」と座席に戻る師匠。
やっぱりハズした模様。

「第3レースはなにかな?」
「シンボリシリウス?これってシリウスシンボリの逆じゃねえか」と師匠。
「いや、良く見てください。シンボリリシウスです。先々週の新馬戦で2着に 入っています」
「なんだ紛らわしい名前だな。おやじはリシウスか。そんな種牡馬知らんぞ」
「意外に勝っちゃたりして」
「まさか」そのまさかが・・・

3レース発走。
2番人気田中勝・シンボリリシウスが直線抜け出し快勝。2着に6番人気ハイフレンドウッズ が入り馬連は2000円を超える配当となった。
「まさかだった・・・」
「おい、来ちまったじゃないか!」
「的場どうしたんだー」
1番人気的場・ゲイリーティアラは馬群に沈んでいた・・・
「たくー、的場・カッチーで堅いと思ったんだけどな」
一同撃沈。

「師匠、午前の勝負レースが来ました。なにを買えばいいんでしょうか」
「そりゃ、決まってるよスカーレットレディだよ。ね、師匠、そうですよね」とF。
「当然だ」
「あんまり印ないですよ」
「いいんだ」
「うーん、ヤネも勝浦ですし、人気も5番目あたりですから、来ればつきそう ですね」
「それより師匠。師匠にはこのローンレディがお似合いでしょう」
「ローンといえば師匠じゃないですか」
「ばかもん。そんなの来るわけねえだろ」
「はあ、そうですか。じゃ遊びで複勝でも買っておこう」

4レース発走。
見事、師匠の本命スカーレットレディは馬群に沈み12着。1着4番人気ウィンスバル、 2着2番人気コシズアルファで、これも2000円を超える配当となった。
「やっぱり来なかったなあ」
「確かに」
「カッチーやったー」と突然叫ぶS。
「田中勝は3着じゃねえか」
「ええ、でもいいんですよ。複勝買ってましたから」
「いくら?」
「5000円です」
「ごちそうさまです」
「なに言ってるんですか。これで7レースで勝負するんですから」

午前の4レースが終了し、お昼休み。
一同、京樽のランチを食べる。
「師匠、いただきます」と弟子達。
「飯代は勝ったヤツからあとで徴収するぞ」と師匠。 「なにをおっしゃるんですか。師匠より勝つなんて、僕たちにそんな力は ありませんよ」と弟子達。
「まあ、そういう結果になるだろうな」
果たして結果は?

午後第5レース「グッドラックハンデ」。午後一から特別レースの開始。
距離は芝2500Mで有馬とまったく同じ。タイム、展開等注目の一戦。
一番人気は単勝2倍を割り込むクリスタルレコード。
「とりあえずインタープロスパーが逃げるんだろうな」
「ゴンドラから見てるとやっぱり馬場の内側は荒れてますね。逃げ切れますかね」
「というと2番人気でも勝負馬券にしづらいなあ」
「メンバー的にクリスタルレコードの頭は堅いが」
「ハンデ戦だし、クリスタルから軽量馬という感じですかね」
そして発走。
「おっ、予想通り逃げたぞ」
「それも馬場の悪い内目を果敢にいってるな」
「こりゃ、直線もたんわ」
とゴンドラ席のあちこちから声がでる。
しかし、インタープロスパーが数馬身離して先頭で直線入り口へ。
一番人気クリスタルレコードまだ馬群の中だ。
「おっ、これは逃げられる!」
「的場ー!」と悲鳴にも似た叫び声が・・・。しかし、直線に入ると馬群を割って伸びきた!
「差せ!差せ!」
ものすごい勢いで前を捕らえると、そのままゴール。クビ差1着と人気に応えた。
結局1、2番人気の決着で的中も誰も利は薄かった模様。
「なんだ、終わってみれば堅い決着」
「いや、それより、これならセイウン逃げれますね」
「ええ、900万の馬でもすいすいなんですから、セイウンなら悪い内目を通ってもいけますね」
「こりゃ、セイウンにもってかれちゃうかな」
とインタープロスパーの逃げを見てセイウン有利の声がゴンドラのあちこちから聞こえてくる。
「いや、ブライトが差す」とつぶやく師匠であった。

6レースは人気どころの決着となったが、HAが単、馬連1点勝負でクリーンヒット。
「ようやく来たよ」と今日不調のHA。
「あー4着だ」とカッチーの複勝馬券で勝負したS。
「まだまだ、次が勝負よ」と師匠。
7レースは2000Mの3歳オープン「ホープフルステークス」。来年のクラシックにも関係するレースで 予想にも力が入る。
「師匠勝つのはどの馬ですか?」
「トウカイデンディーだ」
「1番人気はカシマアルデルですが」
「トウカイーカシマで勝負。あとはマイネルパスポートを押さえる」
「僕は好調蛯名でマイネルパスポートが軸です。勝負馬券はやはり人気でも カシマアルデル。押えにトウカイってところ」とS。
「人気どころはまあまあ気配が良かったな」とHA。
「このレースが勝負。次のレースは、パドックの場所とりしなきゃいけないですから検討できませんからね」 とF。
「まあ、例年堅い決着ですから、上位3頭で決まりそうですね」とS。
しかしとんでもない結末が・・・。
レースは師匠の本命馬が見事優勝するも、好調カッチーの人気薄フェスティブタイムが2着に入り、 馬連6120円の波乱決着。
「軸は当たったが、9なんか買ってるもんか」と師匠。
「蛯名どうした!」とS。
「そりゃないよ」とHA。
「パドック行こう」とF。
一同撃沈。


8レースをパスしパドックで待機のFとS。
「5階からじゃ背中しか見れんぞ」
「でもこれより下じゃ、メチャ混みですよ」
「仕方ないな。とりあえず一番前だからいいか。おっ入って来たぞ」
「グルーヴ、マイナス4キロ。引退レースでも仕上げて来ましたね。気配も良さそう」
「ダイワオーシュウは相変わらずうるさい」
「ジャスティスは腹回りでてますね」
「あれで走るから不思議だ」
そこへ師匠。
「ブライトはどうだ。うん、いいぞ」
「尾っぽ振ってますよ」
「体重も戻って状態はいいぞ」
「グラスワンダーはどうです」
「覇気がないなあ。馬体は出来てるみたいだけど」
「キンギヘイローは?」
「いつもと同じ感じか、やや落ち着いているな」
「エモシオンも落ち着いていいですね」とエモシオン◎のS。
「馬場入場してみないと、この馬わからんからな」
「グルーヴいいですね」とF。
「いい。これはいい。ブライト−グルーヴで決まりだな」と師匠。
「ドーベルは太いなあ。もうお母さんみたい」とS。
「新潟でOMが買うから来ないよ」とF。
「セイウンはどうですか」
「ちょっとうるさいけど、いつもああだから。10キロ増えても太目ではないな。
出来上がっているぞ」
「人気3頭は仕上がってるってことですね」

本馬場入場
「下界は凄い人ですね」
5階のゴンドラから見ると、スタンドは黒い固まりがうごめいている感じ。
「15万人来ているんだからな」
「隙間もないほど入っていますよ」
「でも来年からは指定席はカード抽選。一門の大量動員作戦も今年で終わりですね」
「そのぶんお前達、運を磨いて抽選に当たれ」
「あちゃー」
「あ、きたぞ」
誘導馬に先んじてエアグルーヴが姿を見せると「うおー」という大歓声!
ダグからキャンターに移るグルーヴ。調子は良さそうである。
そしてセイウンスカイ、メジロブライトの入場。歓声でまわりの声も聞こえない。
内にブライト、外にセイウンの返し馬。じっくり走り出すブライト。セイウンは速い返し馬。 速すぎない?といった感じ。
エモシオンは歓声を嫌って返し馬は反対方向へ。しかし既にちょっと掛かっていた ・・・。ビッグサンデーは尻っぱねで論外。
最後にグラスワンダー。正面スタンドを悠々と歩きながら キャンターへ。返し馬の雰囲気は良さそうだったのに・・・。

「どれが良かったですか」とF。
「エアグルーヴが良かったよ」とHA。
「ブライトだ」と師匠。
「僕はエモシオンと心中。ブライト、セイウンが勝負馬券。あとは総流し」とS。


そして、いよいよ発走。
旗が振られてGTのファンファーレ。大観衆が歓声と手拍子そして競馬新聞を振り上げて「オー!」
「すごい。人間はすでに掛かっている」
「やっぱり行くんでかね、セイウンは」
「行くしかないだろ」
大外16番エモシオンが入ってスタート。
さっそくセイウンスカイが先頭へ。しかし内にまわらず外目を進む。しかし内には オフサイドトラップが早めに前に出ていた。
「あれ、このままじゃオフサイドに抜かれちゃうぞ」
「やはり有馬では簡単には行けそうもないか」
「こんな外めまわって2500もつんかなあ」
しかし、第4コーナーをまわり正面スタンドを通過するとペースを上げ突き離しにかかる。
「おーやっぱり行った。速い」
「でも速すぎんと違う?」
「あっ、もう掛かった。エモシオン」
向こう正面に入る。先頭はセイウンスカイがすいすい。どこでペースを落とし京都大賞典、菊花賞の再現 を再現するか。
しかし、有馬特有の淀みないペースでなかなか息が入らないセイウン。第4コーナーでは差が詰まり、 後続が襲いかかる。セイウン危うし。
ここでいい感じで上がってくる栗毛の馬体。なんとそれは、それは
グラスワンダーだ!
1年前、あの朝日杯3歳ステークスをレコード勝ちした「怪物」が外からまくりに出た。そして直線、 セイウンスカイをあっさり交わし先頭へ。そこへ大外一気に上げるブライト。しかし、半馬身 届かずグラスワンダーの優勝!怪物復活だ!
「あー」とため息の人もいれば、「みゃとびゃあー」「グラスー」と叫び出す人も多数。
「しっ、師匠来たじゃないですか!」
「グラスーブライトですよ」
「まあな。でもグルーヴが来て欲しかったな」と余裕の師匠。
「そんなばかな」
「僕は次のレースが勝負です」とK。
「なんで?」とF。実は有馬を10レースと間違えて買っていた。しかし、 レースを間違いなくても当たってなかった。
「お前はいいよな。次も遊べんだから。おっ、この馬券、700倍を5000円買って いる」
「あちゃー。俺も間違えれば良かったかな」
座席に戻る一同。
「的中おめでとうございます」
「お前らいつも俺の悪口言ってるの知ってんだぞ」
「いや、やっぱり尊敬します」
「グラスを押さているなんて凄いじゃないですか」
「だから、お前達のためにGTレポートを書いてやってるんじゃないか。 俺の買い目をなめると痛い目に合うってわかったか」
「ははあ。反省致します」
「じゃあ、次のレースを教えてください」
「もう今年も終わりだ。勝って終わりにするから考えとらん」
「あらー」
「くそー。このままじゃ年を越せないぞ」とエモシオンで撃沈したS。
「よしっ。締めなら蛯名。蛯名から10点流しだー」と1000円10点流したS。

10レース発走
1番人気は最終レースの岡部・テリフィック。2番人気は蛯名・トーシンクラウン。
「今年、締めるのは関東リーディングの蛯名。これが来なかったらゴンドラから飛び降ります?!」
「でも、ほとんど芝走ったことないし、距離も短いんじゃないの?それに内枠。ダッシュつかなくて 包まれるかもしれんよ」
「でもこのままじゃ終われません」
レースは直線、内から伸びたトーシンクラウンが首差勝利。やはり今年の最後を締めくくったのは 関東リーディングの蛯名だった。2着は逃げたアースオブグリーン。馬連は1930円のまずまずの 配当となった。
「とりあえず年が越せそうです」とやられを若干取り戻したS。
「やっぱりこれも来ませんでした」とK。
「うーん、700倍くれば1年は遊べたのになあ」
「さあ、引き上げるぞ」と師匠。
「これから何を食わしてくれるんですか」
「とりあえず西船に向かうぞ」
「はい。わかりました」


京成西船駅近くの焼肉屋に到着。15分待ちと言われ待つことに。
「あっ、T君から電話です」
「やつはどうした」
「ええ、聞いてみます」
数分後、会話を終えたS。
「当然撃沈しました」
「そんなことだろうと思ったよ。俺の言った通り買ってりゃ良かったものを。
こんな暮れにやられずにすんだのに」
「先週万券取ったんだから、今週は無理だろうな」
「セイウンーグルーヴで沈んだそうです。そういえばグルーヴの複勝買うと言ってましたっけ」
「なに、なぜそれを早く言わん」
「いや、ぼくもグルーヴが5着になるとは思ってませんでしたから」
「春天のシルクジャスティスに次ぐヒットだな」
「しー、それは内緒です」
「なんだ、それは」
「春天でシルクの複勝買ったら4着だったんですよ」
「それって1.1倍あるかないかの馬券だろ」
「それでも外すものですから」
「師匠より凄いかも」
「まあまあ、あんまり言わないでくださいよ。最近このページ、本人と思われる方からクレーム がついているんですから」
「登場人物が少ないんだからすぐわかるもんな」
「そうだ。あんまりいいかげんなこと書くんじゃねえぞ!」と突然師匠が。
「めっそうもございません。今日の的中でページを見てる数百万人(なわけない)の方々が師匠を 尊敬するでしょう」
「そうですよ。ネット上で堂々グラスワンダーの復活を予想するなんて師匠ぐらいしかおりませ んよ」
みんなで師匠をよいしょする。
「少なくともページを見てる 木場地方と新潟県の十数人は師匠をこれから神様と呼ぶことでしょう」
「神様か。悪くないなあ」と師匠。
「貧乏神だったりして」と心の中で思う弟子達。
「待てよ。お前らもしかしてその神って貧乏神じゃねえだろうな」
「ギクッ」今日の師匠は勘も冴えている。「そんなことあるわけないじゃないですか」
「あっ、ようやく席が空きましたよ」
一同焼肉屋の中へ。
「師匠いただきます」と弟子達。
「おお食ってくれよ」と師匠。
この1年間の反省と今日の有馬記念について侃侃諤諤。
「来年も当てまくるぞ。おっと。ちょっとトイレ」とトイレに立つ師匠。弟子達だけになる。
「おい来年の有馬はないぞ」
「うーん僕もそう思います」
「えっなんで?」
「先週、Tが万券的中。そして今日師匠が有馬を的中して今年を締めくくった。やっぱり来年8月 で人類は滅ぶぞ」
「アルマゲドンがやってくる!」
「最悪の事態だ?!」
「師匠の場合、三途の川で競艇でもやってんじゃねえか」
「その船を漕ぐのお前達だ」とこっそり聞いて師匠。「お前らちゃんと金とるかんな」
「ひえー、お許しを」
こうして一門の98年は無事?に終わった。


(更新12/28)

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この物語は、本当のことも書かれておりますが、基本的に フィクションです。実在の人物・団体・事件などにはいっさい関係ありません。また関係者?以外 の方が読んでも内容がよく分からないと思います。御質問があればメールをお送り下さい。答えら れる範囲でお答えしたいと思います。