同時進行!!ウィークリー馬券物語
止まらない木ブルース

第26回:スプリンターズテークス

「お前達、俺になにか隠してないか?」と師匠。
「突然なにをおっしゃるんですか」
「我々にやましいことなどありませんよ。なあ」
「ええ」と弟子達。
「本当にそうか?俺をダシにインターネットでなんか書いているそうじゃねえか」
「そ、そ、それは・・・あいつです」とSを指差すF。
「いや、その、うーん」としどろもどろのS。
「僕はやめろといったんですけどね」
「えっ、おもしれえ、もっと書けって言ってたじゃないですか」
「お前ら俺をコケしてたな」
「いや、あれはですね。ただのフィクションでして」
「そうですよ師匠、たんなるフィクションで実話ではありませんよ。なあ」
「ええ。第一実在の師匠はあんな物語の師匠と比べられないほど偉大じゃありませんか」
「そうか」と師匠。
「それに本物の師匠は連戦連勝、負け知らずじゃないですか」
「物語を面白くするためにああ書いているだけですよ」
「師匠ほどの方がこんなことを気になさるなんて、なあ」
「そうですよ」
「そうか。まあ、あんなわけのわからん箱のなかの話しだ。俺の知ったことか」
「そんなことより、はやくスプリンターズステークスの勝ち馬を教えて下さいよ」
「まあまあ焦るな。本命はお前達でも分かるタイキシャトルだ」
「やっぱりそうですよね」と弟子達。今秋GT、師匠唯一のGT的中馬である。
「しかしだな。最後の引退レースにこのスプリンターズSを選ぶとは、果たして懸命な 選択なのか疑問だ。1200の短距離レース、一つの不利が取り返しのつかないことになるぞ。 出遅れ、アクシデントに巻き込まれたら能力の絶対値の差だけでは決まらない可能性もある。彼は 最強のマイラーなのだ。ここに他馬にもつけいる隙がある」
「たしかに電撃の6ハロン戦。1ハロンにつき11秒台のラップで行かないと勝てませんから、 ちょっとの不利でも駄目ですよね」と今日は素直な弟子達。
「そうだ。しかもレース後に引退式だとは、その実力は認めても他陣営の対抗心はメラメラ燃えてい るぞ」
「というとその他陣営とは?」
「そうだな。もしこのレースがダートなら、たとえタイキが相手でもいい勝負だろうというほど ワシントンカラーの調子は絶好だ。無論芝でも走れるぞ。現に昨年は3着の実績。更にパワーアップ した今年なら一矢報いることができるかもしれんぞ。荒れ気味の今の馬場も好材料の一つだ。有力馬 の瞬発力が殺され、上がりがかかる展開ならば一騎打ち、この1点でOKだ」
「1点ですか!?」
「でもタイキを負かしに行くぶん他の馬にやられちゃうかも」とつぶやくT。
「なんか言ったか」
「いや何も言ってませんよ。他にはいらないですか」
「あとはだな。引退とは力が衰えたからするものと牙を研いでいる若い4歳馬がいるぞ。その名は トキオパーフェクト。タイキ何するものぞと真っ向から挑みかかるぞ。久々のうえ、展開上目標 とされる不利は承知のうえ。世代交代だと下克上を狙っているぞ」
「下克上ですか」
「そうだ。あとはもう1頭の海外GT馬シーキングザパールも、鞍乗が豊に戻り、直線一気の 差し脚を決め手くれるかもしれないぞ。ムラはあるが、実力がなければとても遠征レースには 勝てない。今度は相性のいい豊とのツーショット。距離も適距離。試練の荒れた中山の急坂も 、このコンビなら乗り超えられないことはないぞ」
「なるほどタイキからワシントン、トキオ、シーキングですね」
「ワシントンなら一矢報いるかもな」と師匠。
「はあ。一矢ですか。そういえばマサラッキの名が」とT。
「まだまだ甘いな、お前は。秋に変わったCBC賞組がここ2年連対しているからって安易に 選ぶのは間違いだぞ。本番で連対した馬のタイムはすべて1分7秒台。今年のタイムは?」
「勝ったマサラッキで1分9秒6。2秒も遅いですね」とS。
「まあ、いいお客さんって感じだな」とばっさりマサラッキを切る師匠。
「よく分かったか。タイキーワシントンで勝負だぞ。じゃあ俺はこれでな」と夜の街に消える師匠。

(弟子達の会話)
「師匠が買おうが買わまいがタイキは勝つよな」とF。
「そうですね。14キロ増でマイルCS圧勝勝ち。ペース、天候、馬場状態となんでもこなせますから。 結局2着探しですかね」とS。
「でも2着は結構混戦ですね」とT。
「実績からはシーキング、シンコウフォレストだけど、シーキングは前走負けすぎ。典型的な牝馬の 調子落ちの可能性も。シンコウは秋になって今いち。いまさらブリンカーなんていっているんじゃ 恐くて買えないし」
「ワシントンはほんと調子は良さそうだけど、陣営は勝つ気でいるのが気になりますね。タイキシャトル って人気の割には馬連の配当はけっこうついているんですよね。それはタイキを負かしにいった馬がこと ごとく沈んだ結果なんですよね。ワシントンも調子いいからってタイキを負かしにいくと他馬に足もとを すくわれることもありえますね」
「マサラッキはさっき師匠の言った通りCBC賞のタイムが平凡。持ちタイムがある分それに期待です ね」
「苦手な時計のかかる馬場で勝てたとも見れなくはないが・・・」
「そういえば師匠って高松宮記念でワシントンに◎打ってましたね」
「そうです。で、雨を見てシンコウフォレストを押さえて的中したそうです」
「そうか、ならワシントンは要らんな。シーキングも消して、やっぱりマサラッキか」
「そのシンコウフォレストも押さえて」
「あと4歳世代交代ならトキオじゃなくてマイネルラヴだったりして」
「あのー、あんまり言い過ぎるとまた師匠に怒られますよ。どこで見てるかわかんないですからね」
「あっ、そうだ。よし師匠の言う通り買うぞ!」
「やっぱりタイキの相手はワシントンだ」
「シーキングもトキオもチェック!」
変わり身の早い弟子達であった・・・


(更新12/18)

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この物語は、本当のことも書かれておりますが、基本的に フィクションです。実在の人物・団体・事件などにはいっさい関係ありません。また関係者?以外 の方が読んでも内容がよく分からないと思います。御質問があればメールをお送り下さい。答えられる 範囲でお答えしたいと思います。