同時進行!!ウィークリー馬券物語
止まらない木ブルース

第23回:阪神3歳牝馬ステークス

「お前達わかっているだろうな」
「えっ、なにをですか」
「えっじゃない。明日だ」
「ああ、わかってますよ。朝5時に中山競馬場に集合ですね」
「もう有馬記念の時期ですか。それにしてもここ最近急に冷え込みが厳しくなりましたね。 昨日なんて雪降ってましたもんね」
「寒さなんか関係ない。お前達ちゃんと当たり券を引くんだぞ」
「毎年外れてんのは師匠じゃないですか」と思う弟子達。
「努力致します」としか言いようがない。
「で、どこの席を狙うんですか」
「ゴンドラだ」
「うーん、けっこう難しいところですね」
「でも、指定で見ようとする人って去年あたりから大分減りましたね。やっぱり不況なんですね」
「不況より貸し渋りがきつい」と師匠。
「まあ来年からはカード抽選が中心になるから、今年は絶対当たりを引きますよ」
「頼んだぞ、お前達」
「ではさっそく阪神3歳牝馬を教えて下さい」
「まだ決めてない」
「えっ、なにをおっしゃるんですか」
「とりあえず本命はエイシンルーデンスだ」
「それだけですか」
「そうだ。こんな3歳牝馬の偽GTなど真面目にやってられないぞ」
「真面目にやっても当たってないくせに」と思うものの、食い下がる弟子達。
「我々は師匠の予想がないと生きていけません」
「ならルーデンスの単勝を買っておけ」
「はあ、それはそうですが」
「そんなことより指定席の当たりくじを引くんだぞ」と師匠。有馬記念の指定席の抽選で頭がいっぱ いらしい。
「わかりました」と弟子一同。
「外れたら日曜も連闘で出走だ。わかったな。じゃあ俺はこれで」と何処へ立ち去る師匠。

(弟子達の会話)
「寒いんだよなあ。あんな朝早くから並ぶなんてまったく馬鹿げているが」
「君たちは恵まれている。俺が新入りの時は3時、4時だったぞ」とF。
「でも来年からはカード抽選です」
「ようやくお勤めから開放」
「12月の土日が快適に過ごせる」
「よし明日は当たりを引いて・・・。うーん、といっても3分の一以下ですからね」
「俺はよく当たるんだが、もう10年近く行っているが、師匠が当たりくじを引いているのを 見たことないぞ」とF。
「確かに私も見たことありません」とS。
「とりあえず全滅は避けたい。日曜も朝5時なんてまっぴらだ」とF。
「ところでT君は来ないらしいね」とS。
「なんだお前来ないのか」とF。
「それが嫁さんの許可が取れなくて・・・」と申し訳なさそうなT。
「じゃあ、嫁さんもいっしょに連れてきていいぞ。中山競馬場の特上うなぎおごってもらえるぞ」
「あーた、うちはそれどころじゃないの」
「でも近所だろ」
「はあ」
「なんならうちの会社の独身寮に泊めてやるぞ。競馬場まで歩いて10分だ」とF。
「いや、あの、やっぱ駄目です」
「そうか。仕方ないなあ。君には来年カードで頑張ってもらおう」
「そのカードなんですが」とS。「僕はもう申し込みましたが。師匠は?」
「そうだなあ。師匠カード作れんのか?」
「うっ」と言葉につまる弟子達であった。


(更新12/4)

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この物語は、本当のことも書かれておりますが、基本的に フィクションです。実在の人物・団体・事件などにはいっさい関係ありません。また関係者?以外 の方が読んでも内容がよく分からないと思います。御質問があればメールをお送り下さい。答えられる 範囲でお答えしたいと思います。