同時進行!!ウィークリー馬券物語
止まらない木ブルース

第16回:菊花賞


「いや先週はまいったなあ。今年一番堅いレースかと思ったけど、 あんなアクシデントが起こるなんて。まあ競馬に絶対はないということですかね。師匠」と一番弟子F。
「その通りだ。俺がはずしたぐらいなんだからアクシデントとしかいいようがねえな」
「アクシデントじゃなくてもいつもはずしているじゃないですか」とは口が裂けても言えない弟子達。
「誰かが言ってましたけど、競馬の鉄板なんて豆腐より柔らかいですよ」と師匠をよいしょする弟子S。
「まあ、俺の予想を聞いてりゃ、その豆腐も鋼鉄のように固くなるぞ」と師匠。
「では、その固い豆腐を我々に見せてくださいよ」とF。
「おお、菊の予想だな。しっかり当てて最後の三冠を飾るぞ」と菊の予想にはいる師匠。
「先週の天皇賞で豊は伝説を創るとコメントしていたが、サイレンススズカは日本レコードという 自分自身の幻馬と激しく競り合い、そして華々しく散り、逝ってしまった。しかしスピード伝説は 消滅してしまったが、伝説を創る後継者は今週登場するぞ」
「まさかスペシャルウィークですか?」と怪訝な表情で尋ねる孫弟子T。弟子達の不安は的中した。
「あったりめーよ。ダービー5馬身差圧勝のスペシャルウィークだ。無論無敗馬でない彼は、ナリタ ブライアン並みに大差で後続を千切ろうと、菊花賞の勝利だけでは伝説の第一歩に過ぎない。目指す夢は、 サンデーサイレンスの血統をアメリカに逆輸出することだ」
「というと海外遠征ですか」
「そう。まず国内で無敵の地位を確固たるものにし、来年の今頃はブリーダーズカップクラシック の制覇が目標だ。そのためのゴールデンロードの実質スタートレース。力強く勝利してもらいたいな」 「しかし菊を勝つ前にもう海外ですか」
「それだけの素質はあるぞ」と師匠。
「師匠に惚れ込まれちまってかわいそう」と思う弟子達。
「では来年の秋までスペシャルはどうしてるんですか」
「菊のあとは有馬制覇だ。そして来年は春天、宝塚を制覇してから海外だ」
「というと5冠馬ですか」と驚く弟子達。
「そうだ」と自信満々の師匠。
「じゃ菊を勝つなんてお茶の子さいさいですね」
「馬はお茶を飲まんが、まあそんなところだ」
「ではヒモはなにを買えばいいんでしょうか」
「対抗はキングヘイローだ。ユウイチが騎手生命を賭け騎乗した京都新聞杯。負けはしたがスペシャルと 鼻差の接戦。十分2着の資格はあるぞ」とキングヘイロー+ユウイチ復活を押す師匠。
「あの頭の高い走法で淀の3000を持つんですか?」とF。
「大丈夫だ。心配要らん」
「では他は」
「穴はグリーンプレゼンスだ。新馬→若葉S勝ちは並みの馬では出来んぞ。途中故障がなければスペ シャルのいいライバルになったはずだ。前走の敗因は道悪で気にする必要はない。ひと叩きされた今回 は好走するはずだ」
「確かに素質は認めますが、今度が4戦目。それも菊の大舞台ですよ」とS。
「心配いらん」 「はあ、そうですか。他に人気どころセイウン、ダイワは押さえないんですか」
「セイウンは距離が向かん。先行するが、いい標的になってしまうぞ。あとダイワはいつも2、3着で こういうのは本番で3着までだ」とあっさりセイウン、ダイワを消す師匠。
「じゃあ、2点勝負ですか?」 「そんなところだ。うーん、シンボリクラウンも押さえようと思ったが、たかがローカルの900万 勝ったぐらいでは買えんなあ」と師匠。
「よし、これは押さえておこう」と思う弟子達。
「まあ、強い馬が強い勝ち方をするのが菊だ。それにふさわしいのはスペシャルウィークしかおらんぞ。 お前達もよく覚えておけよ」と師匠。
弟子一同「はい」
「それじゃあ、俺はこれから淀に行くからな。留守を頼むぞ」と東京駅に向かった師匠。

(弟子達の会話)
「まさかスペシャルも消すんじゃねえか」とF。
「スペシャルが消える前に豊が騎乗停止6日ですって」とS。
「なに。いつへまやった」
「今日の午前のレースで斜行してくらっちまったらしいですよ」
「先週のサイレンスといい、ついてないなあ。今日くらったってことは明日は大丈夫か」
「そうですね。菊に関してはセーフです」
「そうなんですか。ではいつから乗れないんですか」と孫弟子T。
「いわゆる営業日数で6日間乗れないということ。だから今回の場合来週から。 11/14・15・21・22・28・29の開催日に乗れないわけよ」とF
「あんまり師匠が豊に負担をかけるからこうなるんですよ」とS。
「確かに。秋華賞は軽かったから勝ったもんな」
「というとスペシャル危うしですか」と心配そうなT。
「でもヒモがグリーンとキングヘイローなら平気だろう」とF。
「僕は、スペシャルは4番手評価なんですけど師匠のあの5冠馬発言で自信がつきましたよ」とS。
「でもお前の◎ダイワは穴人気、○エモシオンは井崎の◎だぞ」
「ギクッ。そうなんですよ。それが不安材料ですね。だからボックスで広く買います」
「それにしても、やっぱり乱菊かなあ。もう勝ち負けよりスペシャルには無事に走ってもらいたいなあ。 負けてもいいから競走生命を絶たれることがないように祈ろう。もしスペシャルになんかあったら もう師匠のいうことは聞かんぞ」とF。
「えっ、師匠の言うことなんか聞いてましたっけ」
「うーん、聞いてはいないなあ」
その後、各々家路についた弟子達。しかしなにかいやな胸騒ぎが・・・。


(更新11/7)

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この物語は、本当のことも書かれておりますが、基本的に フィクションです。実在の人物・団体・事件などにはいっさい関係ありません。また関係者?以外 の方が読んでも内容がよく分からないと思います。御質問があればメールをお送り下さい。答えられる 範囲でお答えしたいと思います。