同時進行!!ウィークリー馬券物語
止まらない木ブルース

第14回:天皇賞編


「うーん。それにしても凄いなあ」とS。
「えっ、なにが」と一番弟子FがSに尋ねる。
「いやあ、一年ちょっとで元本の98%をふっとばすなんて」
「ああ、あの某投資顧問が学校の先生の年金でやっちまったっていう話しか」
「ええ。株価リンク債を買って、117億がたった2億5千万になっちゃったんですよ」
「まあ、訳のわからないことはやらんほうがいいってことか」とF
「でもまだマイナスにならない分マシですよ。僕は今年のやられが数十万に上っているんですよ」 と孫弟子T。
「俺も外貨預金の含み損が15万・・・」と139円台で7000ドル買ったS。
「お前ら俺の話しを良く聞かんからそんなことになるんだ。外貨預金なんぞせず、 俺の言った馬券を買ってりゃあ今頃ほくほく顔よ」とすでに先週のやられなどすっかり忘れている師匠。
「師匠のおっしゃる通りですよ」
先週のエアデジャヴーショックから立ち直っている師匠をみて安心する弟子達。
「それにしてもまだ元本が残っているのにぎゃーぎゃー騒ぐなよな。俺なんて借金だらけだぞ」
「そんなあぶく銭と老後の大切な年金をいっしょにされたらたまんないなあ。いったいこの人なに 考えてんだ」とポツリとつぶやくT。
「なんか言ったか?」
「いえ、何もいってませんよ」
「それにしても惜しいなあ。俺に100億預けてくれたらよかったのに」
「それは地球が滅んでもしてはいけない」と今度はSがつぶやく。
「またなんか言ったか?」
「いえ、なにも。それより天皇賞はなにを買えばいいんですか。やっぱりサイレンススズカですか」
「あははは。お前達でもそれはわかっているな。それよりな、 まず天皇賞となにかといことから考えんといかんぞ。盾は由緒ある古馬の最高峰レース。 どの陣営もほしいタイトルということだ。そこでメジロだ。メジロ一門にとって盾はダービー よりも重要視している大切なレース。しかも春秋連覇がかかっている。この執念ならばメジロ ブライトが一番だ」
「やはり春と同じくブライトからですか」
「そう行きたいところだがな。毎日王冠でスピードの絶対値の違いを徹底的にみせつけたサイレンス は強い。時計が2つも違うから、これで他馬の自力Vも消えちまった。さらにヤネは絶好調の武豊だ。 今のGTはまるで彼のためにあるようなものだな。素直にこのコンビが天皇賞の大本命だ」
「あれ、やっぱりサイレンスですか。ただ、そこまで言うわりには先週、豊をはずしていましたね」 と厳しい突っ込みをするF。
「えっ、俺がそんなことしたか」とエアデジャヴーからはいった秋華賞のことなど記憶にない師匠。
「そうですよ。師匠がいま絶好調の豊をはずすわけありませんよね」とすかさずフォローをいれるS。
「しかしだな。自力Vがなくともまだ負けたわけじゃないぞ。相手を意識せず自分だけのレースが出来 れば、僅かな可能性にかけてブライトの直線一気に末脚が爆発するかもしれん」
「でも届かないでしょうね」とつぶやくT。
「なんか言ったか?」
「いや、なにも言ってませんよ」
「それよりあとは何をマークですか」
「おお。穴ならオフサイドトラップだ」
「えっ」ぽかんとする弟子達。
「どうした。そんな顔して。良く聞けよ。こいつは既に8歳だがここにきて本格化したぞ。 2着争いだけなら、まだ若い馬体と老獪なレース運びで馬鹿にならん」
「はあ。そうですか」
「あと忘れちゃならいのがローゼンカバリーだ」
「あー」(・・・いつも師匠に買われてかわいそう・・・)
「あーとはなんだ。今回も最高方一気さ。最後の足は凄いものがあるからな」
「あの他のサンデーサイレンス産駒、サイレントハンター、ステイゴールドはいらないんですか」 と質問するF。
「それはだな。サイレントはサイレンススズカと同型の逃げ馬。でもものが違う。 競りつぶれるのは明らかだ。勝ち切れないステイゴールドはもう要らん」
「よく分かりました。難しい2着選びも目から鱗が落ちましたようです」
「鉄板のサイレンスからじゃオッズはつかんから、あんまり無茶な賭け方はすんなよ」 と師匠にしては珍しく殊勝なことを言って金策に出かけた師匠。
(弟子達の会話)
「師匠が◎でもサイレンスの頭は誰も異論はないなあ」とF。
「そうですね。いくら師匠でもサイレンスは消さないでしょう」とS。
「となるとブライトが消しか」
「ええ、春秋連覇はタマモクロス以来となりますし、あのライスシャワー、サクラローレルで さえ成し遂げられなかった大記録ですからね。それらの馬より劣るブライトには厳しいのは明らか ですね。今回師匠の勝負馬券でありますし、ここは素直にサイレンス−ブライトは消しでいいです かね」
「でも師匠は春天を当てたんですよね」
「そういえばそうですね」
「いや、だから秋は絶対当たらないということになるんじゃないか」と自信を持ってFがいう。
「ああ、そうですね」とT。
「ここは師匠の消したサンデーサイレンス産駒、サイレントハンター、ステイゴールド がプンプン匂うぞ」とS。
「なんか悪徳証券マンみたいな言い方だな」と突っ込むF。
「でも僕は株価リンク債は売ってまへん」とS。
「でも債券ベアは額面(10000円)で売ったろ。いまいくらだ」
「えー、あのー、5000円は割れてますが」
「まあ、半分戻ってくりゃいいか。98%も年金が吹っ飛ばす時代だからな。 競馬で賭け金と飛ばす方が健全か。それにしてもノック・イン・アウト付きは恐いなあ」とF。
「師匠は常にノックアウトされている」
「うーん、確かに」
「話しは戻りますが、結論としては師匠の消したサンデーサイレンス産駒、 サイレントハンター、ステイゴールド、それと有力馬シルクジャスティスといったところですかね」 とS。
「まあ、そんなところか」とF。
「あとは遊びですがスズカ−スズカも買っておきましょう。鈴鹿でF1もやっていることですし」とS。
「僕はサイレンスの単勝で勝負するつもりです」とTが決意表明。
「おお、そうか」とF。
「ふーん」とS。
・・・「ひょっとしたらサイレンスが頭をハズスかもと」と思ったFとSであった。


(更新10/31)

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この物語は、本当のことも書かれておりますが、基本的に フィクションです。実在の人物・団体・事件などにはいっさい関係ありません。