同時進行!!ウィークリー馬券物語

第90話: 2004年:第64 皐月賞(GT)


「おいおい、こんなことってあるかよ!師匠がGT連勝だよ」
「桜花賞は△ー◎で的中。アズマサンダースが本命だからダンスが来ても30倍もついてますよ」
「春の珍事か???」
「東京直下型地震の前ぶれかもしれません」
「こりゃ防災グッズを揃えておかなきゃならんな」
「どうした防災グッズの話しなんかして?」
そこへ師匠登場。
「これは教授殿。こんにちはでございます」と深深と頭を下げる弟子達。
「ふふふ、俺は知ってるんだぞ。オマエらが俺の予想を誤診呼ばわりしてたのをな」
「いや、それは。そのー」と青ざめる弟子達。
「まあいい。俺の偉大さを身にしみて感じただろうからな」
「はあ」とバツが悪い弟子達。
「じゃあ皐月賞の勝ち馬教えてやる!」
弟子一同「ははあ」
「血統の脅威、制御不可能な凶器の塊◎ダイワメジャーに賭ける」
「ええええ!!!」
「ぬおおおおおお!!!!」
どよめく弟子達。
「だって1勝馬ですよ・・・」
「ふふふ、甘いなオマエら。皐月ではパワーよりセンス、甘い。巨爪 が鋭く直線を切り裂くんだ。全てを超越する素質、デムーロの絶叫、クラシック一直線。 自信の大本命馬だ!」
唖然とする弟子達。かまわず続ける師匠。
「この爆発力こそ真の姿、○ブラックタイドがやっと目覚めた。本番勝利のための雌伏、じっくり矯めることが 最高の戦法。急成長、武豊が手放さない。血統オーラの迫力が眩し過ぎる」
ここで表情が崩れる弟子達。「やっぱり豊っすよね」
「そして、▲コスモバルクの背負っている期待の重さは計りしれない。勝負に勝ち続けることが存在の証、レースは存在 を賭けた戦い。今回も完璧な仕上げで能力全快。北の一番星が駆け抜けるぞ」
「待ってました。岡田軍団のエース!」
「そして最後にもう一頭。未完の大器△ハーツクライの馬体が不気味。稲妻が馬群を蹴散らし、直線勝負、大外捲り 一閃ゴールイン。すなわち、完成されたマイネル軍団対荒削りサンデー血統の構図。今年の皐月、絞り切れない の本音。だがキーワードは侠気だ」
「侠気?」
「凶器じゃねえ、おとこぎだ」
「はあ」
「まあ、今回も俺の予想通りになることは確かだからな。間違っても自分で考えて馬券買うんじゃ ないぞ」と言い残して去る師匠。



(弟子達の会話)
「おいおい、ダイワメジャーってマジかよ」
「1勝馬で芝未勝利。素質はあるかもしれないけど、ここで買うには早いんじゃないですか」
「まあ、師匠のことだから母スカーレットブーケ、父サンデーってことで本命なんだろ」
「あ、そういや師匠好みの馬ですわな」
「でもスプリングSは着差もある3着。 本番では要らないでしょ」
「だと思いますね。ではそこで1着になったブラックタイドは」
「素質の高さは認めるけど何か信頼が置けないんだよね。前走のように嵌れば いいんだけど。きさらぎ賞では勝てるレースを落としているし」
「この馬、後ろから来る馬には抜かせないんですよね。前走はキョウワスプレンダがうまく着てくれたんで 能力を出せたんですよ。逆にきさらぎ賞では 後ろの馬がバテて1頭になったらふわっとしちゃって、急いで内のマイネルブルックに併せに行ったんですが既に遅しでした」
「なるほどね。そういう馬なんだ。まあでも、本番もキョウワスプレンダがいることだし豊がなんとかするだろ。 やはり印は重くなるよね」
「そうですね」
「次にコスモバルクはどう」
「地方馬ですが、ローテは府中1800の条件戦⇒たんぱ杯⇒弥生賞とクラシックの王道ですね。すべて好 タイムで勝っているわけですし、消す要素はないですよ。しいてあげれば弥生賞勝ち馬と皐月賞の相性の悪さ。 その後ダービーを勝つような弥生賞馬も皐月では連を外してます」
「そうなんだよね。近年ではアグネスタキオンぐらいしか勝っていないしな。 コスモバルクはタキオン級なのか」
「そりゃ、そこまでスケールは感じませんが。ただ対戦関係を見ればたんぱ杯でブラックタイドを、弥生賞では 朝日杯、京成杯組みを粉砕してます。まあブラックタイドは2戦目なんで言い訳出来ますけど」
「ブラックタイドはきさらぎ賞でマイネルブルックに負けている。そのマイネルブルックはホープフルSで4着に負けてるね」
「牝馬にも負けてます。きさらぎ賞はなんかキャリアで勝ったって感じですね。既に9戦してますし、きさらぎ賞から直行する 理由は出走数なんでしょうかね」
「こういう使い過ぎの馬ってクラシックでは来ないんだよな。ブライアンのような怪物なら別だが」
「ですね。近年春のクラシックを勝つ馬は出走数が少ない。クラシックを勝つような馬は出たレースはしっかり勝って 賞金積んで余裕を持って本番に臨むのがパターンになってますからね」
「じゃあ最小キャリアのハーツクライは?」
「新馬勝って2走目の重賞で素質の片鱗見せて3走目でしっかり勝って本番って、まさにサンデーの良血タイプですね」
「この辺の成長力が凄いよね、サンデーの産駒は」
「早々と出走権を得たマイネル・コスモ軍団に対してサンデーはトライアルで凄い成長力を見せましたね」
「で、ハーツクライは母がアイリュッシュダンスという良血。ヤネは安勝。前走も好タイムでの勝利。 キャリアのなさは素質、血統、ヤネでカバーだな」
「ですね。じゃあ他のサンデー産駒では?」
「ダイワメジャーは今後に期待しよう」
「キョウワスプレンダは枠に左右されるらしいです。もっと内が良かったかな。1800以上の勝ち鞍も ないしちょっと厳しそうですが、ブラックタイドと好勝負したわけですからねえ。人気がないなら配当妙味で買って いいかもしれませんね」
「ミスティックエイジはどう?」
「これもクラシックの王道のローテですが前走でミソつけちゃいましたね。2桁着順からの巻き返しって いうのもあまりないですし」
「グレートジャーニーは?」
「半兄ノーリーズンは皐月賞を人気薄で勝ってあっと言わせた馬です」
「これも前走で1秒以上千切られてるから厳しいなあ」
「メテオバーストはどうです?」
「人気ないねえ。一応弥生賞では3着入ってるのにね。ヤネは公営の内田。北海道の五十嵐が注目されてるから、 内田も燃えて一発狙うかもしれないぞ」
「あとサンデーだとスズカマンボだけですか。これも人気ないですね」
「ハーツクライといい勝負してるんだけどね。ここまで人気ないとは。こういう時、最も人気ないのが 穴開けるんだよね。3連複のヒモとか面白いかも」
「あとサンデー以外では、忘れてはならない2歳チャンピオン・コスモサンビームがいます」
「どうなんだ。前走は余裕残しで敗退といっても、春のクラシックを勝つ馬は前走で形はつけるはず 。勝利距離も1600まで。本番ではキツイよ」
「ですね。あと目ぼしいところでは」
「2000の持ちタイムナンバーワンのフォーカルポイントがいるよ」
「その持ちタイム通りいつも走れないのが競馬です。その証拠に前走はタイムを2秒も落として5着に 敗退してます。エンドスウイープ産駒ですから距離も不安。トライアルに強い血統なのにトライアルで 凡走しちゃ困りますね」
「まあ、嵌れば持ちタイムが活きてくる。あくまでも嵌ればね。だからペースが合うと思ったら買えば いいんじゃないの」
「そうですね。マイネルマクロスやメイショウボーラーに引っ張ってもらえば、ひょっとしたら来るかも」
「なんか色々目移りしちゃうメンバーだよな」
「でも、冷静に考えればコスモバルクの1強ですよ。2000の重賞2連勝なんて簡単には出来ませんよ。 他の馬は同じようなメンツで勝ったり負けたりしてますし。今年は別路線の無敗馬もいないんですよ」
「だよな。まあ面白いレースを期待しよう。ところで来月3日に新潟からHさんがくらしいから一門集合だ」
「3日というと春天の翌日ですね。GWの中日ですし金があるかどうか・・・」
「ねえだろうな」
「それならダイワメジャーに皐月勝ってもらって師匠に全部出してもらいましょう」
「そ、そりゃいいかも知れんが、師匠がクラシック連勝した日にゃあ人類に明日はあるのか?」
「・・・」
目先の金か人類の明日かに悩む弟子達であった・・・。



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この物語は、本当のことも書かれておりますが、基本的に フィクションです。実在の人物・団体・事件などにはいっさい関係ありません。また関係者?以外 の方が読んでも内容がよく分からないと思います。御質問があればメールをお送り下さい。答えら れる範囲でお答えしたいと思います。