同時進行!!ウィークリー馬券物語

第89話: 2004年:第 34 高松宮記念(GT)


「今日はワールドカップです!」
「やっぱワールドカップと言えば我々一門からしたらドバイだよね」
「そうです。昨年は戦争で日本馬はでれませんでしたが、今年は3頭がエントリーです」
「12頭立てで日本馬が3頭、それも全部日本産馬っていうのがいいよね」
「ええ。ドンとディールに期待しましょう」
「期待?オレの予想通り買えば期待など要らん。事実が後からついてくるからな」とそこへ師匠登場。
何を思ったか、弟子一同が師匠の後ろにつき逆三角形の布陣をとる。
弟子の一人ががマイクで「財前師匠の馬券回診です」とアナウンス。
「おお、これは『白い巨塔』のオープニングシーンだな。ふふふ、やるなおまえ達」と師匠。
「ははあ!我々一門は一生教授についていきます」
「う〜ん、現代版の白い巨塔も面白かったな。まさに財前教授とオレはだぶるとこがあるな」
「それは絶対にない」と思う弟子達。「競馬大学があれば師匠は絶対教授をやってますよね」
「単なる教授で終らんよ。学長もやるだろう。そしてノーベル賞も手中にするだろうな」
ぽか〜んとする弟子達。
「よし、それでは高松宮記念の勝ち馬教えてやる」
弟子一同「財前師匠マンセー!」
「スプリント戦にもレースの流れ、ウィニングポジションがある。 中京コース得意の◎サニングデールは、走るルートが見えている。 後方にいれもここが勝負処、天性の閃(ひらめ)き、勝利への鬼脚が炸裂だ」
「おお、サニングデールが昨年の雪辱を晴らすんですね」
「そうだ。そして王者○デュランダルが登場。我が道を行く、後方一気直線勝負。小回り、短い直線、高速決着、否、 次元の違いで駆け抜ける。どんなレースでも力で捻じ伏せる意思、必ず結果を導くはずだ」
「ぶっつけ本番、初の中京、左回りも克服ですか!」
「さすが教授!」
「それで混戦の3番手は!」
「▲カフェボストニアンがタイムを刻む。ペースメーカーは岡部。激しいテンの争い、逃げなくとも 自分のスピードを絶対信頼。鞍上の老獪さはミスが許されないこの距離で発揮。台風の目になるぞ」
「う〜ん、豊、アナカツ不在ならやっぱり岡部ですか!」
「年寄りをなめちゃイカンぞ」
「ははあ」
「他にマークする馬はなんすか!」
「逃げ馬△ギャラントアロー、行けるだけ行く韋駄天走法あるのみ。スタートから二の足は 驚異的な速さ。平坦フラットなら粘れる。逆に春先の牝馬は不安定、自分のフォームが壊れる可能性大 だ。結局、自己ポジションをどこまでつけるかが勝負の分かれ目になろう」
「う〜ん、これでレースが見えてきた。教授万歳(マンセー)!」
「じゃあ、オレはこれでな」と夜の街に消える師匠。


(弟子達の会話)
「デュランダルが抜けた存在になるはずなんですが、休み明けでぶっつけ本番。しかも中京は初めて。 さらに左回りも初めて。おまけに人気で池添!」
「まあ、ぶっ飛んでもおかしかないわな」
「サニングデールが復調。このレースに相性いい阪急杯を勝利。しかも昨年の2着馬。中京も得意。 今度こそって感じです。しかし乗り替わりが不安。主戦ジョッキーに乗り替わるに不安視されるのも珍しいですね」
「人気のユウイチ、ぶん回して届かずに終わる可能性もあるな」
「次に、シーイズトウショウ。阪急杯2着。牝馬ながら56キロでサニングデールと差のない競馬してます。 ここでは55キロの1キロ減。中京もCBC賞勝ちの相性のいいコース。もともと桜花賞ではあの三冠スティルインラブの 2着した実力の持ち主。勝ち負けかなって気もするんですが」
「そうなんだが、これも乗り替わり。主戦の池添がデュランダルだからね。中舘も福島や中京とかのローカルは得意なんだが 、こういう大舞台では不安だわな」
「実際、この馬で福島民有Cで3着に沈んでます」
「ギャラントアローは今年のスプリント路線のエースかと思わせたが前走でいっきにメッキが剥がれた」
「ハナをとれないと、もろいのがでちゃいましたね。中間も熱発したみたいですし買いづらくなりました」
「次にテンシノキセキ。年齢的には最後のチャンスということで陣営も気合が違うようだ」
「いい線はいくと思うんですがフジキセキ産駒でGTではちょっともの足りないですね。陣営がいう年齢もGTでは 逆にネックですよ」
「だな。次はどれかな」
「じゃあカフェボストニアン。昨年のCBC賞でシーイズトウショウの2着。シーイズとの比較で言えば圏内 かもしれません」
「そうなんだが、名手岡部も年だからスプリント戦では不安の方が大きい。しかもGTだし。 それに前走、シルキーラグーンに負けてちゃGTなんて言ってられないでしょ」
「逆にボストニアンより勝ったラグーンを素直に評価すべきじゃないですか。大一番に強いブラインズタイム産駒。 重賞以外の組では前走勝ってないとここはキツイというデータもありますし」
「ただ、一線級との対戦はないし重い印は打てんわな」
「そうですね。他にはなんすかね」
「アタゴタイショウが面白い。前走ギャラントアローと競ってコンマ2秒差の4着と健闘。 乗り替わりも好調の藤田 なら期待できる」
「なるほど。あとキーランドスワンはどうです」
「これ左回りの芝はからっきしダメ。大外枠はいちゃったし厳しいだろなあ」
「そうですか。なんか絞り切れませんね」
「豊とアンカツはドバイで不在だし、人気馬は皆ぶっ飛びそうな騎手だ。赤木も小牧も中央移籍初 GTねらって何するか不気味だ」
「まさかサーガノヴェルやモンパルナスが来ちゃうとかないでしょうね」
「まあ、競馬に絶対はないからな、どうなんだか」
「というとやはり素直に師匠の指示通りにすればいいってことですね」
「そうやって財前教授の指示に従って柳原先生は患者を殺してしまったぞ」
「なるほど。というとサニングデールから師匠の買わない馬に流せばいいてことですね」
「もしくは切った馬を軸にな」
「というとテンシノキセキが来ちゃうってことも」
「そう、それだね」
「なるほど。じゃあ弟子の結論はサニングーテンシの1点ということで」
「だな。まあ、くれぐれも誤診のないようにしたいね」
「そうですね。予後不良は勘弁ですよ!」




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