同時進行!!ウィークリー馬券物語

第84話: 2003年:第63回皐月賞(GT)


「いやー、すっかり春、いやもう初夏って感じっすね」
「でも、杉の後は檜、ブタ草と花粉症には辛い季節が続くな」
「実は僕は杉より後の方がキツくて。だから馬券もイマイチなん ですよ」
「それは花粉症とは関係ない!」
「ううう、やっぱそうですよね」
「ところで新聞に出てた産業再生機構ってしってるか?」
「ええ、国民の血税で限界企業を救済しちゃうっていいかげんなところですよね」
「そこでなんだ、師匠も救済してもらえればいいんだけどな」
「師匠だけでなく一門全員そうしてもらったほうがいいではないでしょうか」
一同「・・・」
そこへ師匠登場。
「よお、お前ら元気か。春から浮かない顔して相変わらずな連中だな。 まあ、オレの予想で元気にしてやるからな」
「偉大なる師匠様、マンセー!」
「おお、新しい挨拶だな。ふふふ、よく成長したな。 よし、それでは皐月賞の勝ち馬教えてやるぞ」
一同「マンセー!」
「今の中山コース、スピード、パワーよりレースセンスが必要だ。 新装東京コースに最も似合うのはサイレントディールだが。 皐月賞がクラシックでなければ武豊はどの馬を選んだか? 暴走した朝日杯、脚質転換のシンザン記念、良血が目覚めた。 本番から逆算、ジックリ充電、いかにもダービー向きに成長。 一戦早いか、否。天才が騎乗、ロイヤル血統のオーラだけで十分だ。 渾身の◎サイレントディールがまず一冠だ」
「おお、サイレントディールっすか。やっぱ豊っすよね」」
「でもさあ、直訳すると静かな取引?ダマ転ってことっすかね?」
バシッ!師匠の鉄建が炸裂。
「続きいくぞ」
「マンセー!」
「未完の大器○サクラプレジデントのレースが一番強く見えた。 スプリングS、勝負には負けたが、レース自体は勝者の戦い。 今度こそ完璧な仕上げで能力全快、大外捲り一閃、ゴールインだ」
「キターッ!桜大統領!またまたサンデー産駆っすね。でもフセイン大統領は負けちゃいましたよ」
「バカモン!大統領といえば普通ブッシュだろうが!」
「あ、そうか」
「バカはほっとくぞ。次行くぞ」
「マンセー」
「そして距離背水の2頭が不気味だ。勝負の行方は紙一重の差。 完成したGT馬、▲エイシンチャンプの勝負強さが馬群を捌くぜ。 ここ中山2000M一本狙い、△テイエムリキサンの意欲を押さえる」
「三歳チャンピオンがここで登場ですね!」
「よし、なんか当たる気がしてきたぞ〜」
「ふふふ、違うぞ。当たる気ではない。当たるんだ。 最近の皐月の傾向は本番で強運、さらにキーワードは逆襲だ」
「運って言ったって師匠が一番運がないじゃん」と思う弟子たち。 「素晴らしい。偉大なる師匠様、マンセー!」
「お前ら、そればっかだな。まあいい、俺はこれからソフトボールの練習が あるからこれでな」とグラブとバットを抱えて消える師匠。


(弟子達の会話)
「ではレースを分析しましょう。 まずは◎サイレントディール」
「GT馬トゥザヴィクトリーの全弟に池江・豊のコンビとくればもう買うしかありませんね」
「血統的には文句ナシ。前走は負けたけど前が詰まりながらラストよく伸びてるし斤量も他より 1キロ多かったしね。負けて強し、豊らしい本番を見据えた乗り方だったね」
「そうでうね。朝日杯の暴走後、折り合いの付け方を覚えさせてシンザン記念勝ち。その後の きさらぎ賞では敢えて馬郡に突っ込ませるとか試してますからね。さすが豊ですね」
「ただねえ、間が開きすぎだよね」
「そこが難しいところですね。朝日杯の悪夢もありますし。当日のパドックが要注意ですね」
「次にサクラプレジデント」
「関東のエース。乗り役がヘタレで2着続きですが一番強いのはこの馬かもしれませんね。 朝日杯FSは出遅れ。スプリングSは休み明けに幸四郎のオマケ付き。2走とも敗因が はっきりしてますからね。で、ヤネが勝春に。府中巧者のイメージですが昨年から今年は中山 でもうまく乗ってますよ」
「でもさあ、GTの一番人気で出遅れちゃイカンよね。ゲートをちゃんと出れば勝てると思うけど そのゲートをちゃんと出るかが不安なんだよね」
「今回は雪辱ということで期待しましょう」
「次にエイシンチャンプ。2歳チャンプも評価がイマイチだな」
「そうですね。レコード勝ちでも朝日杯は人気薄でしたし。このレース豊とペリエが大暴走してましたしね。 次の弥生賞もハナ差勝ち。4着まで同タイム。またまた悩む材料が増えました。テイエムリキサンとの比較で は勝った時は0.1秒以内、負けた時は0.3秒差。そのテイエムリキサンはスズカドリームに負けて スズカドリームは毎日杯で離されて・・・」
「とりあえず勝ってるから強いんだろ」
「まあ、そういうわけですね」
「しかしなあ、弥生賞勝ち馬って皐月にはこないんだよなあ。タキオンが来たじゃないかって意見もあるけど エイシンチャンプがタキオン並ってことはないわな」
「そうなんですよね。同じコースでも本番と似て非なるものなんでしょうね。頭数も増えますし ラップもGTの淀みないペースになってキツくなるわけでしょうから」
「勝った馬より負けた馬が来るのはなんでかな」
「うーん、なまじ勝つより負けて次はこうしようかと思うからいいんじゃないですか」
「あまり答えになっていないがエイシンチャンプにはやなジンクスだな」
「で、さっき出たテイエムリキサンはどうです」
「よくわからんがエイシンチャンプとの比較から弱くはないってことだな。あと池添と言えば先週の桜花賞で乗ってたシーイズト ウショウもピースオブワールドやスティルインラブとの差はずっと0.4以内だったんでそれほど弱いわけではなかった。ピース がいなけりゃ2着に来るのも不思議ではなかったんだよな。こりゃワイドや三連複絡みで狙ったら面白いかも。それに、 陣営もタイキシャトル産駆だから距離に不安を感じていたのか敢えて中山の2000Mを2つも使って来た節があるよね。その辺も 好材料だな」
「そうですよね。マイル路線ってのもあったと思うんですが陣営の思惑通り中山の2000Mならイケルってことがわかり ましたからね。一発あるかもしれませんね」
「他にはどうよ」
「ネオユニバースをお忘れです」
「おお、そうだ。サイレントディール、サクラプレジントに完勝。きさらぎ賞→スプリングSと 連勝、ヤネはイタリアの若き天才ミルコ・デムーロ。ミルコといえクロコップ。K−1ではボブサップを玉砕!」
「そりゃ関係ないやん!」
「でもまあ、前走も良かったし人気になるのも当然だな。それに一番の好材料は師匠が無印ってことだ」
「そりゃそうですね。軸は決まりですかね」
「あとアンカツも忘れてるぞ」
「ザッツザプレンティですね」
「デビュー戦で後の京成杯勝ち馬スズカドリームに完勝、2戦目にはエイシンチャンプといい勝負して3戦目で たんぱ杯勝ち。前走は落鉄で参考外。ここもいい勝負じゃないか」
「ダンスインザダーク産駆初もそうですが、サンデー系種牡馬としての初GT勝ちもかかってますね」
「なるほどね。ただ豊がアンカツにこれ以上勝たせるとは思えないけど」
「そうですね。前走負けて降りた馬に勝たれるなんて豊のプライドが許さないでしょうからね」
「他では藤沢軍団のスズノマーチなんかどうよ」
「これを入れるとコスモインペリアルも圏内なんですよね。エイシンと同タイムなんですから」
「うーん、ここまで手を広げるべきか難しいな」
「まあ、師匠のご宣託ではネオとアンカツが抜けですからどっちか連に絡むんでしょうね」
「まあ、そういうことだな」
「ところで師匠って、さっきグローブとバット持ってましたけど」
「師匠の会社では創立ウン周年ってことでソフトバール大会が行われるらしいんだ。 決勝トーナメントでは東京ドームを使うらしい」
「マジっすか。師匠がドームのターフを走る姿が目に浮かびますよ!」
一同の目にはドームを走る師匠の姿が。第一コーナー(一塁ベース)を 回り第二コーナー(二塁ベース)に差し掛かってところで転倒! オーロラビジョンには審議の青ランプが点灯。いったいなにが?? そして場内アナウンスが「お知らせします。師匠号は一塁ベースを回ったところで転倒し走塁を 中止致しましたが、他馬に関係なく故障を発生し走塁を中止ものでジャッジの通りアウトと確定します」
「やっぱり予後不良か・・・」




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この物語は、本当のことも書かれておりますが、基本的に フィクションです。実在の人物・団体・事件などにはいっさい関係ありません。また関係者?以外 の方が読んでも内容がよく分からないと思います。御質問があればメールをお送り下さい。答えら れる範囲でお答えしたいと思います。