同時進行!!ウィークリー馬券物語

第81話: 2002年:第69回東京優駿(日本ダービー:GT)


「いやー、皐月賞はめまいがしました」
「そういえば、お前は兄弟子を置いて師匠とゴンドラで観戦したそうじゃないか」
「いや、あー、そうです。カード抽選で2名しか取れなかったんで・・・」
「まあ、いい。俺は忙しい身なんだ」
「あー、でも、あのブライアンはブライアンでもサニーブライアンの時のように しらけた表彰式でしたよ」
「う〜ん、あの時は一門全員A指定で観戦してたなあ。大西のインタビュー聞いてた奴 なんかいなかったな」
「師匠の本命がヒダカブライアン。サニーは要らないんですかと聞いたら、 絶対に要らないと言われ、こりゃ単勝買わなきゃと思ったら時間なくて悔しい 思いをしました」
「な〜にが悔しいんだ?俺の予想を聞けばそんなもん吹っ飛ぶぞ」 とここで師匠登場。
一同「ゾスッ!」
「おお、元気にしてたか」
一同「はい!」
「よろしい。いいか、耳の穴かっぽじってよく聞けよ。俺様が今年の ダービー馬を教えてやる!」
一同「お願いします!」
「◎ノーリーズンは2冠を達成できる器だ」
「ええ、2冠馬誕生っすか」
「まあ落ち着け。続きを言うぞ。ブライアンズタイムの血が覚醒。スピードだけで 圧倒の皐月賞も。上昇カーブ、パワーアップ!潜在能力は歴代覇者に匹敵、今回の 姿こそ真実だ」
「それ を皐月賞前に言って頂ければ」と思う弟子達。「さらにパワーアップで2冠達成 とは恐れ入ります」
「次に、○タニノギムッレットには厳しいレースが続く。不利が重なり脚を余して連敗。 消耗が激しいローテーションもキツイ。しかし、天才と怪物は常識外が当たり前。ダービーを 勝つことで証明するぞ」
「え、逆転もあるんですか?」
「だから言ってるだろ、常識は通用しないってな。次に、距離が伸びれば▲シンボリクリスエス 、高速での足回りが自慢。雄大な馬格と追わせてばてない強みは、いかにも高排気量の外国産。 岡部を背に、藤沢軍団のボスから日本のドンに君臨だ」
「ドン?アドマイヤですか」
「そんなんもん要らんわ。あと一頭は★モノポライザーだ。この馬の進化がダービーの勝負どころの 鍵だ。歯車が狂っても、元々はロイヤル血統の超エリート。ここ一番の勝負強さは天賦の才。ワールド クラスの斬れに戦慄の沈黙。いずれにせよダービーからが出発点。最終目標は世界制覇だ」
「モノポが世界制覇ですか。こりゃ凄い」
「ふふふ、俺様に目に狂いはない」
「そうですよね。よ〜し、わかりました。これでダービーゲットだ」
「じゃあ、俺はこれでな」
と立ち去る師匠。


(弟子達の会話)
「待ちに待ったダービーですね」
「今年のクラシックは波乱続きだからな」
「牝馬はそうかもしれませんが、牡馬の荒れた要因は豊不在が原因かと思いますよ」
「というと」
「有力馬のほとんどに豊が騎乗。その豊が本番では不在。豊不在の中、うまい騎手が上位に来た だけです。ノーリーズンだって前走祐一がヘタに乗ってなきゃ、見落とさずに済んだわけですよ」
「なるほどな」
「豊不在でド本命馬に四位が騎乗。これがヘタに乗ったんでレースが予想外に荒れたわけですよ。 あとの連中も不甲斐なくて。 そういう時、腕のいいジョッキー、つまり外人騎手がワンツー決めちゃった」
「確かにJRAの騎手はなにやってんだって感じだったな。アンカツのサスガだって6着に 来てたもんな」
「最近、日本の馬は世界に出てってますが、騎手がイマイチなの寂しいですね」
「まあ、そうだな。じゃあダービーの検討いこうか」
「ええ。まずノーリーズンですが」
「普通に考えたら、これド本命でいいんじゃないか。キャリア不足たって前走勝ってるしね。 タイムはレコードで文句なし。ローテも皐月から直行だし。ヤネも関東のトップジョッキー の蛯名なんだから心配いらんだろ」
「皐月賞馬がテン乗りでダービーとも言うのもなんですが・・・。今年の蛯名は調子悪いで すし。よく最近よく落ちてます(落馬)」
「そうなんだよ、素直に本命にできないものその点なんだよな。まあ、師匠じゃないが力で押し 切れるじゃないか」
「そうですね。終わってみたらアッサリかもしれませんね」
「次にギムは?」
「現時点で世代最強と言えるかもしれませんが、ローテが問題ですよね」
「そこだよ。直行ならまず頭は堅いよな。しかしGT3連戦だよ。それも 3歳春の時点で」
「しかし、世代最強の実力。ヤネは世界の豊。この取捨が レースを難しくしてるんですよね。ギムが飛んだらどうなる?ってことで馬券の 入り方がまったく違ってきますね」
「そうだなあ。ギムを買うか切るか。う〜ん難しい。パドック見てから決めるか」
「そうですね。これは保留。次にシンボリ」
「青葉賞は好タイムで優勝。本番と同じ距離を経験。父は先日なくなったクリスS。 これはヘイルトゥリーズン系のロベルト産駒というと、ブライアンズタイムと同じ。 クラシックには強い血統。ヤネは岡部。買いたい馬券だな」
「ただ、藤沢厩舎の馬はクラシックと縁がない。青葉賞組は本番と同じ距離のくせして ダービーでの連対実績はあんまりない。それに乗り替わり。というのが不安材料と言われて ます」
「確かに、青葉賞組は本番で来てないね。それに藤沢流かなんか知らんが、ここは3歳の調教は 軽目が多いんだよね。今回も芝で追い切ってるけどもっと強めに追っていいんじゃないかな」
「藤沢厩舎がクラシックを勝てないのは調教が軽いせいだとの評判をよく聞きますね。ネット上では、 『ちゃんと追えよ、藤沢』ってよく書かれてますね。 次に皐月⇒トライアル組はどうです?」
「メガスターダムが皐月を5着に好走、プリンシパルSも豪快に差し切って優勝と調子がいい。 前走では距離に目途も立ったね」
「しかし、そうは言ってもニホンピロウィナー産駒。ヤネはミッキーですから本番では 要らないでしょ。皐月好走でトライアル出て勝って本番来ないって典型的なパターンですね」
「だろうな。それを言ったらファストタテヤマなんかもっと要らない。なんてったってヤスヤス だもん。小泉首相がくるのにヤスヤスにカップ渡しちゃいかんだろ」
「ヤマノブブリザードも消しですね。もう底が見えちゃってます」
「ところでドンはどうよ」
「年明け調子落ちですけど、皐月ではやや復活の兆しがありました。ここ数年、朝日杯とダービーは関連が なくなってますが、トニービン絡みで中山のGTを初めて勝った馬ですからね。東京で大変身もあるかも しれません」
「そういや、ドンの母ってベガだったね。母の父トニービンか。一応、押さえておこう。ところでトニービン産駒 といえばマイルカップ馬のテレグノシスだね」
「スプリングSの後疲れて皐月をパスしたぐらいですから、GT優勝後、中2週でダービーはキツイですよ。 能力はあってもここでは重い印をつけづらいですね」
「そうか。あとは」
「連対率100%のマチカネアカツキがいます」
「おお、デザーモ騎乗なんだよね。前走は休み明けやモノポを競り落としに行っての2着という内容を考えれば 上出来だよ。デザーモ騎乗でヤネ強化。安定した成績だし着はあるかもね」
「でも、藤沢厩舎、メガスターダムに2戦2敗ってのはちょっと買いずらです」
「確かに考えちゃうな。あと藤沢ではサスガがいるね」
「なんだかんだいっても皐月6着なんですよね。内容けっこうよかったですし、ローテも直行でいいです。 中山2000の2歳レコードを作った馬でもあるんですよね。 京成杯でミソつけちゃいましたけど、ペリエ、アンカツでいい走りしてるんです。本番もアンカツで大爆発かもしれ ません」
「みんな大外ぶん回してるところ、内をついて3着ってのはあるかもなあ。ワイドで勝負するにはいいかもね」
「いろいろ悩みますが、ダービーですからね。自分の好きな馬を買うのが一番かと思いますよ」
「まあ、そういうことだな。 ところでだな。もう7月には恒例の新潟遠征があるぞ」
「え、もうそんな時期ですか」
「今年は、師匠が緊縮予算を組んでるらしいぞ」
「緊縮ってことは?」
「弟子に奢ることはないってことだ。さらに増税らしい。つまり師匠に貢献しろってことだ。 痛みに耐えて頑張れって」
「痛みたって!?ムチだけでアメはないんですか。われわれズブイんです」
「バカヤロー、レース中に馬にアメやる奴いるか!やっぱムチだ」
他の弟子たち一同「ヒヒィーン!!(涙」



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この物語は、本当のことも書かれておりますが、基本的に フィクションです。実在の人物・団体・事件などにはいっさい関係ありません。また関係者?以外 の方が読んでも内容がよく分からないと思います。御質問があればメールをお送り下さい。答えら れる範囲でお答えしたいと思います。