同時進行!!ウィークリー馬券物語

第79話: 2001年:宝塚記念(GT)


「いやあ、前半戦のGTもこれで最後ですね」
「いろいろあったけど、タキオンの戦線離脱が残念だったな」
「あと、オペラオーが復活してまた昔の序列に戻ってしまったような」
「結局ここもオペラオーなんでしょうかね」
「ふふふ、オペラオーがどうしたって?」とそこへ師匠登場。
弟子一同「ゾスッ!」
「おお、元気にしてたか。まあ、健康だけがとりえのような連中だからな。 デリケートな俺からみたら羨ましい連中だな」
「なに、このオッサン言うてんねん」と思う弟子達。 「いやあ、貧乏で体が鍛えられていますからね」
「まあ、いい。よし、じゃあこれから俺が宝塚記念の勝ち馬教えてやるぞ」
弟子一同「よろしくお願いします!」
「梅雨から夏へ移行時期、サラブレットの祭典とはちょっと場違いだ。どうしても 天候と馬場状態が微妙で気分が乗れ切らない。しかしこれも競馬、走る側にとって見れば 同じこと。与えられた条件の中でベストを尽くすだけ、ほぼ天皇賞の再戦といったイメージ だ」
「天皇賞の再戦とはいったいどういうことでしょうか?」
「ふふふ、まあ焦るな。天皇賞ではとうとう、馬連投資顧問の看板とも言えるエアシャカールが 本命から陥落」
「えっ、看板って?」と思う弟子達。
かわまず話しを続ける師匠。「結果はともかく、 出走すれば常に本命で決まり、不動の予想スタンスがついに崩れた。雨と 滑る馬場を嫌い、早々に回避したナリタトップロードと同じ、風水流には 気と方角悪しだな」
「スタンスの変更とは・・・」と恐る恐る聞く弟子達。
「そうだ、◎テイエムオペラオーの本命に異論はない。帝王復権、 20世紀の覇者は今世紀も健在。並んだら負けない勝負強さと、馬が競馬を知って いる聡明な感性、そして一瞬のうちに他馬を蹴散らす爆発的な破壊力。 このシチュエーションに今のコースならば、圧倒的存在だ」
「確かに復活したオペラオーに勝てる馬なんて古馬にはいないということですか」
「まあ、そういうことだ。でも○エアシャカールには何も言うことがない。 彼の武器はサンデーサイレンス直伝の闘争心だけ。レース前の落ち着きのなさも、 道中掛かる気性も、内にモテれる悪癖も関係なし。 どれだけレースに集中できるか、相手に勝つ気があるかだ。熱血勝負に闘魂復活だ」
「エアシャカが対抗っすか」
「そうだ。そして▲スティゴールドこそ宝塚記念の真の主役か。不本意なレースが 続いた去年までは過去に封印。21世紀、何かが弾けて大ブレーク。あっという間に 国際スターの仲間入り。ドバイシーマクラシックの姿こそ、ベールに隠されていた 血の覚醒。シーズアゲイン」
「タヤスアゲイン?」
バシッ!ヴァンダレイン・シゥーバ並みのパンチが弟子を直撃。
「あと、△アドマイヤボスは強くなりつつある。もう一皮剥けて欲しいが潜在能力は計 り知れない。後にも先にも帝王オペラオーに競り勝ったことがあるのはこの馬だけ。 切り札デザーモ投入で一発大駆けもあるぞ」
「なるほど、レースが見えてきました」 「しかし、あのいつものオペラオーのヒモの名があがってませんが?」
「おお、△メイショウドトウは嫌いだがな。この馬さえいなかったら。 取り損なったレースは数知れず。その実力は認めても、所詮ナンバー2。 中途半端過ぎて、今更応援するのは?でも方針変更で少しだけならいってもいいかな。 結局、運勢がないときはジタバタしても無駄。いや、最後の悪足掻きかもしれんがな。 まあ、こんなところだ」
「ありがとうございました」
「話しは変わるが、来月新潟遠征を行うぞ。いまから金策を工面しておけよ。 あとJRAカード保有者は、参加できないならカードだけでも置いてけ。わかったか」
弟子一同「ゾスッ!」
「じゃあ、俺はこれでな」と夜の街に消える師匠。


(弟子達の会話)
「前半戦は堅かったのが多かったけど、安田記念で爆発しましたね」
「まさにエネルギー発散したって感じだな」
「でも、そこで出尽くしましたからやっぱりここは堅いんでしょう。オペラオーも復活してますし」
「だよなあ。それに梅雨時で馬場は湿りがち。特にこれといったメンバーも新たに入ったわけでも ないからね。序列が崩れるにはまだ時間がかかりそうだよ」
「そうですよね。毎年堅いレースでもありますし、実績、データ、馬場どれをとっても オペラオーには死角が見られません」
「というと師匠の◎が死角といえば死角だが、有馬でも師匠の本命の重圧を跳ね退けて優勝 しているからね」
「じゃあヒモが荒れるってことですかね」
「そうかもね。宝塚って1番人気と人気薄との組み合わせがけっこうあったからね」
「では、師匠のあげた馬から1頭1頭検証しましょう。まずエアシャカ」
「春天は不甲斐なかったなあ。当てにならないけど、この距離ならもうちょっとは走れる はず。あとは気分よくレースを迎えることかな。2冠馬なんだからここでいい走りしないと。 次にスティゴールドは」
「ドバイではあのファンタスティックライトを負かしてます。GUでしたが、 国内ではGT並みの価値がある勝利といえるんじゃないですか。今年2連勝というのもこの馬にしては珍しい ですね。ですから期待はしたいんですが、いかんせんこの馬の能力を引き出すようなレースを引っ張る馬が いないですからね。皆がオペラオーを潰しに行くサバイバルレースになれば ひょっとしたらというのはあるかもしれませんが」
「で、次にアドボス。この馬には春天は距離が長かったかな。 実績は今ひとつだけど、潜在能力や可能性からいったらこの馬が一番の注目馬だろうな。 実際、大阪杯ではオペラオーを競り負かしている。この距離なら大いに期待できるね。 さらに按上は世界のデザーモ。一発あるかもね」
「確かにエアシャカの不甲斐なさを考えれば現4歳のエースになってほしいですからね。 できれば勝ってほしいですが。あとドトウはどうです。この馬もこの距離はあ ってますよね。今度こそって感じです」
「確かに勝ってはないけど、GT2着5回ってのも凄いよ。ただ年明けのレース運びはややずぶさ が見られるようになってきたからね。オペラオーは完全復活してるし、他のライバルも考えると 勝つのはちと難しいとみるが。それでもきっちり2着には来るのかな」
「なるほど。じゃあ他の馬では」
「大阪杯勝ちのトーホードリームがでるけど、あのレースは展開が嵌ったって感じだし、 今度は斤量も同じで他の陣営もここを目指して調整してきているからね。 安勝の腕に期待できても上位に食い込むのは厳しいだろうね」
「そうでしょうね。あとホットシークレットは目黒記念をあっと言わせる差し込みで レコード勝ちです。ただこれはレコード続出の府中の馬場でしたし、メンバーも手薄 でした。一戦級に入るとかなり見劣りするのは否めないです」
「だろうね。あとはなんかいたっけ」
「マックロウがいますよ」
「ああ、ベガの全弟ね」
「そうです。京都記念はトップロード、アグネスフライトに差し切り勝ち。 阪神大賞展は調子落ちだったみたいで惨敗しましたが、春天では4着に来てます。 前走は輸送競馬とハンデ戦が堪えて2着とみれなくもないでしょう。ですから 春天4着の実績はダテじゃないと思いますよ。トニービン産駒ですから 距離はこっちの方があいます。それにベガの弟、アドベガ、アドボスの叔父さん。 血統上も文句ないです。ヤネの藤田も人気薄の一発駆けは得意ですからね。ただ道悪は 後ろから行くこの馬には不利でしょうが」
「ふーん、そういうもんかね」
「ところで、新潟遠征が迫ってます」
「そうだね」
「そういえば師匠はカード云々って言ってましたね」
「おお、参加できない奴はカードを置いてけって」
「そんな、師匠にカード渡したらキャッシングしまくられてしまいます」
「それだけは避けなきゃ」
「新潟といえば新装オープンか。直線1000メートルのコースが目玉らしいね」
「ええ。日本初です」
「なるほどね。今年は新コースで荒稼ぎだな」
「ええ、初コースで荒れる競馬を取り捲りましょう」
「おお、そうだ。そうだ」
「夏休みは海外旅行ですね」
「当然!」
取らぬ狸のナントカの弟子達であった。



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