同時進行!!ウィークリー馬券物語

第77話: 2001年:オークス(GT)


「アグネスタキオンが故障発生でダービーどころか復帰未定ですよ」
「ホント残念だな。師匠の◎でも耐えて皐月を勝った反動が出てしまった のかもな」
「クロフネがマイルカップを勝ってダービーに出れますから、そちらに期待しましょう」
「まあ、そうだな」
「なに!誰に期待だって?もちろん俺にだろ」
そこへ師匠登場。弟子一同「ゾスッ!」
「おお。今年のGTは俺の予想通り1番人気が絶好調だ。強い馬が勝つ、それが競馬だ」
その割りには当たってませんが?と思う弟子達。「おっしゃる通りですよ」
「じゃあ、オークスの勝ち馬教えてやる」
弟子一同「お願いします!」
「夏にはまだ早いが、今年のオークスはホラー映画並みのスリルが味わえるぞ。 何が怖いかって、暗闇の中と一緒、2400メートル、各馬の適性が見えないのだ。 信じられるものがないのに人気が一人歩き、その仮面の下にどんな素顔が隠れているのか」
「???」
「テイエムオーシャンはスピードが違いすぎる。レーシングカーが1台ノーマルカーに 混じり走っている。牝馬同士では負け知らずで実力断然、しかしこれは桜花賞までの現世 での話し。オークスの舞台、府中の杜には運命を狂わす悪霊が棲んでいる」
「桜花賞までの話しって、テイエムが沈むんですか!?」
「まあ、話しを聞け。◎ダイワルージュはいかにも桜花賞向きだった。だが、レース前、 何かに取り付かれたのように暴れまくり、終わった。チャンスは逃したが収穫もあった。 レース中に掛かりタメが効かない気性が、最後方で折り合い差す競馬、これなら距離は持つ」
「う〜ん、この時期の牝馬って距離適性より能力と折り合いですからね。うーん、ダイワですか」
「そうだ。で、切れ者○ローズバドの敵は自分自身。長距離輸送にパニック、飼い葉を拒否、 大幅な馬体重減少。これさえ克服できれば怖いものなし、末脚の切れ味は天下一品突き抜けそ う。当日馬体重見てからが安全か。いや外見より中身が問題、パニくるなよ」
「おお、まだあの馬の名がでませんね!」
「まあまあ。さてスピード狂▲テイエムオーシャンの取捨は如何に。押さえて行く作戦、そんな真 似できるわけがない。エンジンの性能、排気量の違い、飛ばすだけ飛ばしておつりが残るかの玉砕 戦法。これで断然の一番人気、絶好に消えパターンだが買ってしまう」
「無理に折り合い気にせず逃げればスピードの違いで押し切るわけですか」
「それで消えるかも知れないがな。だから玉砕戦法なんだ」
「ほかに注意する馬はなんですか」
「本来ならばオークス向きの血統、ここから攻めるべきだが。桜花賞2着の△ムーンライトタンゴ 、スイートピーステークスの勝ち馬△シェリルウーマン、今ひとつパンチ不足。勝利のイメージ が湧かない」
「なるほど」
「印はつけたものの根拠なし。ダイワルージュから流せば美味しそうと思うだけだ。憑かれた ように人気馬を買う府中の恐怖。してやったりと不気味な笑い声が聞こえるぞ。 ではスリリングなサンデーを味わってこい。じゃあ俺はこれでな」と夜の街に消える師匠。


(弟子達の会話)
「テイエムオーシャンが今年の3歳牝馬では抜けているのは確かだけど、 オークスはどうだろう」
「この時期の3歳牝馬は能力で押し切れる傾向が強いですよね。ただ、オークスの場合、 能力で距離が持っちゃう馬もいれば、やっぱり血統上ダメだったという馬もいるんで難しい」
「近年ではファレノプシスとかは母方の血がネックで連をハズしたしね」
「テイエムオーシャンの場合、字面からは長距離なんですが、ダンシングブレーヴ産駒は 自身の競争成績とは違って短中距離に良績を残しています」
「キングヘイローはクラシックを賑わしたけど落ち着きどころは短距離路線だったし、 ジョウテンブレーヴなんかも結局はマイル路線に落ち着いたな」
「オーシャンと同じようにダンシングブレーヴ産駒の桜花賞馬キョウセイマーチはオークス 惨敗。その後の戦績を見れば敗因は距離の一語に尽きますよね」
「そうなるとオーシャンも危ない?」
「勝てば能力、負ければ距離適性、それを予想しろってことですね。でも1800の 札幌3歳Sでジャンポケ、タガノテイオーの3着ですから距離が持つんじゃないですか」
「じゃあ持たなかった場合、どれが来る?」
「桜花賞を後ろから差して上位に食い込んだ馬がいい結果を出してますから ムーンライトタンゴはいいんじゃないですか」
「今年はオーシャンがいるんで超スローってことはないだろうから、去年みたいな 空前の低レベルな一戦にはならないだろ。そうなれば差脚が活きる展開も十分あろう」
「そうですね。ダンスインザダーク+トニービンというのもオークスには持ってこいの血統ですよ」
「ダンスインザダークの姉ダンスパートナーはオークス馬、トニービンはベガとかエアグルーヴ とかオークス馬を出しているしな」
「トニービン産駒ならレディパステルもいます。長いところ中心に使ってきてますからね。 いかにもオークス向きですね」
「ヤネはデザーモだし期待できるかもな。でも年明け6戦も消化してるのが引っかかるけど」
「そうなんですよ。3歳牝馬のクラシックって使い過ぎの馬ってダメなんですよね。能力がものを言う 時期ってことは裏を返せば、能力の高い馬はきっちり勝っていてレースをむやみに使わないで済んでいる ってことなんですよね。近走いい内容で勝ち上がって期待された馬が沈む理由によく年明けレース数 が言われてますね」
「データから年明け4戦までらしいね。そうなるとオイワケヒカリも厳しくなるな」
「ローズバドはどう?」
「熱発で桜花賞を自重、トライアルを試走して負けたものの好走して本番というのは一見 良さそうなんですが、この時期の牝馬は使い減りしますから、案外ぶっつけのほうが結果が いい気もしますが。それにあのトライアルの走りはちょっとやり過ぎで反動が気になりますよ」
「いずれにしろ一頓挫あったのはマイナスだな」
「あと桜花賞上位では、ダイワルージュはどうです」
「これこそ距離がもったら能力ってやつだな。体型からは距離は持ちそうもないけど。 北村がどう落ち着けてスタートできるかだな」
「4着のハッピーパスはどうですかね。シンコウラブリィーの下ですよ」
「好走はしてるけど、ローテがキツイね。桜花賞で3回目の輸送だったろ。藤沢厩舎は 3歳牝馬の使い方のタブーに挑戦したつもりかもしれなかったけど、やっぱり 結果はきつかったってことだろ」
「そうですね。スティンガーがぶっつけで桜花賞行って懲りたから、こんどはスパルタ式に やったんですかね。でも、もうオークスにはおつりが残ってないでしょう」
「あと忘れな草賞組は?」
「勝ったアスクコマンダーより、ブライアンハニーの方に魅力を感じますね。アスクコマンダー は年明けレース数が多すぎです。連を外しましたがブライアンハニーの方が、年明けまだ4戦で 距離も長目を中心に使われてますし、来週の無念を晴らすがために河内が激走します。そして ナリタブライアン産駒初GT制覇のおまけつきです」
「そりゃ出来すぎだよ」
「ところで、来週はダービーですが」
「もう師匠には本命を聞いてしまったよ」
「えっ、もう呪われた馬が決まってるってことですね。何ですか」
「まあ、それは来週ってことで」
「はあ。それにしてももう陽気は夏ですね」
「来月はもうボーナス月だよ」
「それは世間のことで馬券生活者のわれわれには関係ないことです」
「だよなー。よっし、小泉政権のように聖域なき構造改革開始だ」
「で、それってなにするんですか?」
「とりあえず、走らない馬にエサはやらん」
「あー、まだ生きていたんですね。エサ代はしっかりとられているんですよね。 でも。どうします、馬券の当たらない奴らにはエサはやらんと我々も言われてしまったら」
「構造改革反対!!」
「あちゃ・・・」




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