同時進行!!ウィークリー馬券物語

第75話: 2001年:皐月賞(GT)


「クラシック第一弾の桜花賞は断然人気のテイエムオーシャンが快勝しましたね。 ここもホント強いのがいますが、やっぱりこれしかないですね」
「これしかないよな」
「そうですね、師匠が◎をつけようが、一門全員が単勝買おうが絶対でしょう」
「なにが、絶対だって?」とそこへ師匠登場。
弟子一同「ゾスッ」
「おお、元気してるか。いい陽気だな」
「はい」
「よし、じゃあ皐月賞の勝ち馬教えてやるぞ」
弟子一同「お願いします!」
「2強から1強への進化、◎アグネスタキオンが3冠へひた走る。皐月賞、最も強かった 僚馬アグネスゴールドがリタイヤ。一方の雄ジャングルポケットはどうみても東京コース向きで ダービーが勝負。また、外国産馬クロフネは出走権すらなく不参加だ」
「やっぱりタキオンっすか。3冠馬への序曲ですか!」
「まあ、焦るな。他の有力馬もここを回避してダービーへ直行するメンバーが出現。クラシック第一弾の皐月賞 としての価値があるのか疑問だが、決して弱者のレースではない。実力No.1アグネスタキオン が強過ぎる。悪条件の中山では不利なため、戦略的な撤退だ」
「確かにここを避けた陣営もありましたね」
「皐月賞の勝ち負けに絡んだ馬達の傾向をみると、興味深いデータが続く。条件は器用さがあり、 ここを全力投球もしくは無欲の馬達だ。本命がエンジンが違うと馬場のいい大外をブン回ってくると、 伏兵馬に足元を掬われるシーンはこの時期の恒例だ」
「中山の内回りは小回りコースですからね。紛れる可能性もあるってことだすか?」
「しかし、本命アグネスタキオンは関係なしだ。次元が違う、そうとしか言い様がないが、 兄の代わりに天皇賞に出してもいい勝負だろう。軸馬が堅ければ相手は少し絞ろう。弥生賞完敗の2着 で意外と配当妙味がある○ボーンキングが対抗。器用さがある実力馬だ」
「タキオンなら大外ブン回しても勝てるってことですね。河内もそこそこの位置取りはするでしょうから もう絶対ですよね。他に何が2着可能性がありますか」
「もう一頭人気の盲点となっている▲シャワーパーティーが単穴。前走きさらぎ賞5着大敗はマイペース 調整の一叩き。如何にも中山向きの先行力は侮り難い。結局この2頭は皐月賞全力投球の勝負掛り馬、雨が降れば この上ない荒れ馬場は超得意だしな」
「ちょっと雨は期待薄ですが」
「まあそのようだがな。あと、まだいかにも早すぎると思うが、将来の夢を買うならならば△ミスキャスト。 本格的なクラシック血統の先物買いで無欲の押さえ。秋、いや来年の春には、本命馬を脅かすライバルに成長するはずだ」
「ノースフライトの仔ですよね。先が楽しみです」
「あのー、あのもう一頭の強い馬の印は?」
「本来ならば一騎打ちよなるべき相手ジャングルポケットだが、今回は脚を余しての敗戦、よくて 3着と予想。良馬場ならば、否3〜4コーナーで脚をとられ大外に振り回され撃沈。ダービーでは手負いの 怪物ほど狂気の力を発揮しそうだがな」
「さっきおっしゃった脚を余すとはジャングルのことだったんですか」
「うーんジャングルの馬券を買わないだけでも助かります。ありがとうございました」
「おお、じゃあ俺はこれでな」と夜の街に消える師匠。


(弟子達の会話)
「ついに皐月賞ですね」
「おお、アグネスゴールドの故障に加え、タガノテイオー(予後不良)やメジロベイリーの名前がないのが寂しいが 1頭抜けたのがいるけどメンバー全体のレベルは例年以上で面白いレースになりそうだ」
「そうですね。レベルは高いんですが、タキオン以下の勝負付けが終わってるんでレースの焦点はタキオンがどう 勝つか、ちゃんと勝って3冠馬へ夢を広げてくれるかなどですかね」
「そうなんだよな。例年ならジャングルポケットなんか2倍前後の1番人気でもいいんだけど、たんぱ杯でタキオンに 完敗してるもんな。一応休み明けと理由があるんで本番では逆転があってもいいと思うんだが」
「ただローテーションがいかにもダービー狙いって感じですよね。皐月は叩き台で本番・ダービーへという青写真 ですね。心情的にはフジキセキの果たせなかったクラシック を獲ってもらいたいんでこっちの方を応援してます」
「まあ普通に考えれば一騎打ちなんだろうな。伏兵は何かな?」
「まず重賞勝ち馬のボーンキング。中山2千M勝ちはあってもタイムがないですからね。皐月は速い馬が勝つって言われる レースです。仮柵がとれて馬場も普通の今の中山コースで、このメンバーでは厳しいでしょうね」
「スプリングS組みは、アグネスゴールドに完敗した連中が出走してくるわけだけど、このレースから皐月で 好走してる馬が多いけど、ミホノブルボン、ナリタブライアン、ダイタクリーヴァ、みんな勝った馬。オースミブライト は惨敗も2千の持ちタイムが良かったんで皐月は2着にこれたんだよな」
「というとシンコウカリドでは難しいと」
「うーん、難しいだそうな。さらに3着のミレニアムバイオはもっと難しいはずだが、最後はいい脚 使っての3着。なんとなく豊が権利さえ取れればという走りにも見えたのでシンコウカリドよりは上かもしれないね 」
「若葉Sからはビッグゴールドが出走。タイム的には阪神2千で2分1秒台の持ちタイムがありますが、 毎日杯14着でクロフネに16馬身千切られたスキャンボーイだってこのタイムなんですよ。まあ、相手なり に走って掲示板にはしっかり載ってますし、底力のあるブライアンズタイム産駒にヤネが村本ですからワイド ねらいで買うにはいいですね」
「あとダンツフレーム、今年は珍しくアーリントンカップの勝ち馬が出てくるな。 最近はマル外のマイラーが活躍するレースで、目標はマイルカップというのが多い。 ここ使って出てくるってことは、アグネス軍団が出てくるトライアルを避けて、勝ちを狙いにいったって感じ。 だからなんとなく本番前に終わってるって感じだよ」
「ほんと成績はそこそこですけど、もうギブアップしてるって感じですね。あとダービーレグノも重賞勝ち馬 ですが、これはもう要らんでしょう」
「そいつは要らんよ」
「シャワーパーティはどうです」
「熱発明けはマイナスだけど、伊藤雄厩舎だから仕上がはちゃんとしてくるだろうね。ネックは輸送と坂のあるコース の経験がないとことかな。大逃げ打つような逃げ馬がいないんで先行して粘り込む可能性もあるかも。これもブライア ンズタイム産駒で皐月賞とは相性いいし、ワイド圏はあってもいいよ」
「テイエムゴーカイがなんか穴っぽい人気でてますね。前走の中京のレースで古馬900万より良いタイムを 出してますからね。昨年の京都、今の阪神は高速馬場でタイムが例年より速いのがでてますからね。 この時期、古馬900万というのは重賞勝ちに等しいですからね。上位2頭まではとはいかないですが、 これもしっかりワイド圏にあるでしょう」
「勝負づけが済んでないからな。先週のムーンライトタンゴみたいに走ってくる可能性もあるかもな。 その点、ダークウィザードは高速の阪神馬場でもこのタイムだから厳しいよ」
「良血ミスキャストはどうです」
「キャリア2戦での出場はちとキツイよ。でも秋口にはいいんじゃない。母ノースフライトも秋に本格化してるし」
「キャリアといえばアグネスタキオンは3戦のキャリア。ちょっと少ないのでは?」
「今は調教技術も上がってるからね、心配ないよ」
「前走重馬場で激走の反動は?調教も軽目だったのはそのせいという声もありますけど」
「それぐらいハンデつけてやらないとね。そんなこと言ったらジャンポケだってクチ向きとか よれるクセなんか不安多いんじゃないの。一番の懸念は中山GTでのトニービン産駒の戦績。 まったくダメなんですよね。皐月賞では1番人気ウィニングチケットが沈んでるよ」
「その不安はありますね。でもこの2頭が抜けているは確か。このぐらいの不安がないとレース が面白くありませんからね。ところで”さる吉”さんという方の情報第2弾なんですが」
「ん、なんだね」
「5月から大学生になるようです。社会人の短期留学のようです」
「えらいじゃないの、その歳で大学行くなんて」
「えっ、歳って知ってるんですか」
「うっ、いや。社会人で大学行くってことはそこそこの歳ってことだろ」
「はあ。あとディラー連中からは、アウトライトでは儲かりにくくなった債先マーケットから逃亡して 女子大生と合コンなんかやりに行くんじゃねえよ、とのやっかみが聞こえますが」
「あはは、そういう奴らには言わしておけ。毎日画面見て悶々と過ごし給えとでも 伝えておけばいいんじゃない」
「キツイですね。その内マーケット関係者から変なメールでもくるんじゃないですか。 俺も合コンやりたいって」
「それってお前のことか?」
「・・・」



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この物語は、本当のことも書かれておりますが、基本的に フィクションです。実在の人物・団体・事件などにはいっさい関係ありません。また関係者?以外 の方が読んでも内容がよく分からないと思います。御質問があればメールをお送り下さい。答えら れる範囲でお答えしたいと思います。