同時進行!!ウィークリー馬券物語

第74話: 2001年:桜花賞(GT)


「いやあ、ついに21世紀のクラシックロードが開幕ですね」
「初っぱなだからな、ここはキッチリとって今後に繋げたいな」
「なーに、俺様の言うとおり買えば大丈夫さ」 と師匠登場。
弟子一同「ゾスッ!」
「おお、元気にしてたか。それにしても桜が綺麗なもんだ。 お前達にはこの風情はわからんかもな」
「それは桜のようにいつも散ってることを指して言ってるのですか?」と思う弟子達。 「我々修行中の身にはまだ理解できません」
「まあ、そうだろうな。じゃあ、桜花賞の勝ち馬教えてやるぞ」
弟子一同「お願いします!」
「21世紀クラシックロード開幕、テイエムオーシャンがスピードとパワーともダントツ。 巨人軍並みの戦力で他を圧倒する勢いだな」
「でも指揮官や経営者がアホなら宝の持ち腐れってことも言えますが」 と思う弟子達。
「北の札幌で牡馬の一方の雄、ジャングルポケットと接戦を演じ牝馬同士では負け知らず、 実力断然で2着探しとの下馬評だ」
「やはりテイエムオーシャンが本命ですか?」
「まあ、続きを聞け。さらに西高東低、常に話題になるのが関西馬。 やっと関東馬GT連敗記録が途切れたが、この後も阪神的ラインアップが続く。 救世主は現れるのか。関東でのトライアル・アネモネSは強い関西馬不在で 時計が物足りないと、打倒関西馬に不安が先行している」
「やっぱりここも関西馬?」
「しかし、桜花賞は牝馬最大の勲章であり、ここを勝つ血統がクラシックサイアー そのもの。フィジカルよりメンタルで勝負。サンデーの仔◎ダイワルージュは、物怖じ しないボスタイプで本当に牝馬かと思わせる。 馬郡の中を悠々と渡り歩き、最後にねじ伏せるぞ」
「本命はダイワっすか」
「ああ、そうだ。そこで、このダイワルージュが常に引き連れている妹分、 ○リワードアンセルとのツーショットペア。 唯一の敗戦は悪条件が重なったレースでTMオーシャン1頭のみ。こういう ことになると、実はとてつもなく強いのではないか。 馬体を併せればまとめて突き抜けそうだ」
「あのーテイエムの名が出てきませんが」
「それは先週買っちゃったからだよ」と思わず口に出そうになる弟子。
「絶対的スピードがある▲テイエムオーシャンとは暮れの阪神以来の激突となるな。 幸い週末の天気が微妙でパンパンの良馬場、唯一不安、高速決着とは成りそうもな くチャンスが広がる。毎回超ハイペース必死の桜花賞、展開でテイエムオーシャン の一人旅は阻止される。だから▲評価だ」
「さすが!鋭い読みっすね」
「うーんレースが見えてきた。あと他に何を買えばいいんでしょうか」
「穴ならば忘れ去られたサンデーの血統、これが一番怖い。人気落ち△フィールドサンデー の末脚が不気味。もともと牡馬相手に互角以上の成績、トライアル負けは出遅れただけ、 大逆転も可能だ。何れにしろ馬券はダイワルージュからこの3点勝負タテ目なし。 自信の理由はこのメンバー皆、後先なしの桜花賞一本勝負。オークスなど眼中になく、 クラシックはスペシャリストが勝つ。わかったか!」
「はい、よくわかりました」
「よろしい。これから始まるクラシック戦々、新潟遠征に向け幸先のいいスタートが 切れることを俺が保証してやる。じゃあ、俺はこれでな」と夜の街に消える師匠。


(弟子達の会話)
「師匠の保証たったねー」
「トリプルAの会社の債務保証ならまだしも、シングルZなみの師匠に保証されたって なんにもならないっすよ」
「それより新潟遠征の話がもうでたな」
「ええ、改装して新装オープンですよね。国内初、直線1000メートルのコースが目玉 ですよ」
「1000Mってゴール見えねえよな」
「そうらしいですね。でも、どう駆け引きでレースが展開されるか今から楽しみですね」 「楽しみと馬券は違うぞ」
一同「・・・」
「まあ、ところでこのレース、やっぱオーシャンが抜けてるよな」
「抜けてますね。阪神3歳も危なげなく勝って、休み明けも文句ナシの 5馬身ぶっ千切り勝ちですからね。タイムも優秀です」
「そうだよな。とくに今年の場合、トライアルでもこれって馬が出てこないし」
「だからダイワルージュもそのまま2番手評価を維持。内容から見て阪神3歳牝馬S の着差が埋ったというよりいっそう差が開いた感じですよ」
「頼みの良血フローラルグリーンは熱発明けで順調さ欠いたし、 リワードアンセルは2番手評価のダイワに勝てずじまい」
「良血といえばハッピーパスも。なんてたってシンコウラヴリーの下ですからね。 藤沢厩舎がマジでとりにきたって感じですよ。桜花賞を勝つ馬はけっこうキャリアの浅い 馬がほとんどなんですよね。体力がまだしっかり身についてないこの時期の 3歳牝馬にとってレースをたくさん使うのをマイナスですし、ましてや輸送はもっとマイナス。 例年このパターンで散ってる馬が多いですよね。関東馬が勝てない理由にこれがよく言われま すからね。クイーンC勝馬なんかオークスは来るのに桜花賞ではまったくこない。 しかし藤沢陣営は、この時期の牝馬には酷な輸送を2回もしてるんですよね。 敢えてタブーに挑んで、輸送慣れさせて本場に臨むんですね」
「まあ、それが本番で吉とでるか凶とでるか。岡部には8大クラシック制覇がかかる から頑張ってほしいがな」
「あと、ムーンライトタンゴがけっこう人気です」
「前走が阪神マイル1分34秒台で勝ってるからな。でも今の阪神って高速馬場で タイムは当てにならないんじゃないの。ナリタトップロードが3千を日本レコード、 先週もトーホーダイオーが2千をレコード並みのタイムで走ってるんだから。 馬格もないし、厳しいレースの経験もない、人気なら要らないって感じだな」
「そうですか。キツイご意見ですね。あーあ、結局このレース、テイエムオーシャンが 抜け過ぎだけど、2着はようわからんって感じですかね」
「そんなもんだな。テイエムが飛ぶには、ハイペースに巻き込まれて 自滅か、ベテラン本田が1番人気舞い上がってどっかいっちゃうかだけか」
「ところで、あの”さる吉”さんって誰なんですか?」
「いや、よく知らんが、カッコイイとのもっぱらの噂だ。もてるらしいぞ」
「噂って、私は聞いたことがないんですが・・・」と他の弟子達も肯く。
「君たち、情報収集の努力が足りんよ。信頼できる筋から情報だ」
「はあ、そうですかね。うーん」と納得のいかない他の弟子達であった。


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この物語は、本当のことも書かれておりますが、基本的に フィクションです。実在の人物・団体・事件などにはいっさい関係ありません。また関係者?以外 の方が読んでも内容がよく分からないと思います。御質問があればメールをお送り下さい。答えら れる範囲でお答えしたいと思います。