同時進行!!ウィークリー馬券物語

第73話: 2001年:フェブラリーステクス(GT)

「いやー、まだまだ寒い日が続きますね」
「ホント早く春になってほしいな」
「寒いのは陽気ばかりじゃなくて財布も寒いっすよ。 この前、雪降って東京中止だった時あったじゃないですか。 その時、小倉と京都やったらボロボロでした」
「おいおい、地元でさえ当たらないのにそんなのやっちゃいかんよ」
「今はPATにグリーンチャネル、馬三郎があるんで全国どこの開催でも 出来ますからね」
注)PAT:通信回線を利用し馬券の購入ができる
注)グリーンチャネル:競馬専門テレビ(正確には違うが)。中央競馬の 全国の全レースが生放送される。スカパー、CATVなどで視聴可。
注)馬三郎:競馬専門紙。普通の競馬新聞の場合、開催地以外のレースは全国発売 のレースしか掲載しないが、この専門誌は全開催の全レースの馬柱を掲載している。
「便利な時代になったもんだな」
「まさにIT時代っすね」
「なに、なんの時代だって。決まってるじゃねえか、俺の時代だ」
そこへ師匠登場。
弟子一同「ゾス!」
「おお、元気か、お前ら」
「ハイ、とりあえず元気にしてます」
「よろしい、じゃあフェブラリーステークスの勝ち馬教えてやるぞ」
弟子一同「おねがいします」
「21世紀最初のGTはダートのスペシャリスト達による 日本ナンバーワン決定戦。中央・地方のダートの猛者が勢揃い、 見所のあるレースとなりそうだ。 昨年、郡を抜いて強かったのが2騎いる。統一GT線共に2勝ずつ、 ウィングアローとファストフレンドの両馬だ」
「やっぱGT馬で決まりですか」
「しかしだな、JRAの2頭に対する評価は極端に違った。中央のフェブラリーSと ジャパンカップダートを勝ったウィングアローはダート年度代表馬。地方の 帝王賞と東京大章典を制したファストフレンドは無冠。この結果ドバイワールドカップ への出走は当然前者となった」
「うーん、JRA賞で蛯名もファストになんかやってく れてもいいんじゃないかって言ってましたね」
「うむ。だが、両者宿命の対決、一騎打ちと言いたいところだが、そう簡単に運ばないのが 競馬の面白いところ。ここにとんでも無いニューフェースが参入してきた。 トゥザヴィクトリー、芝の中距離なら卓越したスピードで他馬を圧倒してきた逸材。 マイル路線のはずだったがな」
「去年もそんな馬がいたっけなあ」とつぶやく弟子達。
「そこで予想の仕切り直しだ。府中の軽いダートならば十分スピードで押し切れる。JCダート の出現でダート馬の概念が、力勝負からアメリカ流のスタートからガンガン飛ばす サバイバルレースに変わるはず。そこで本命は◎トゥザヴィクトリー、このレースも マイル戦だ」
「えっ、トゥザヴィクトリーが本命っすか!」と驚く弟子達。
「そうだ」
「うーん」と考え込む弟子達。続ける師匠。
「で、相手はドバイを見据えている▲ウィングアローよりも、この一戦に全力投球の ○ファストフレンドに分がある。JRAを見返すために、中央のGT を是が非でも手に入れたい、とその気持ちを応戦。一方、年度代表馬も海外遠征 前に下手なレースは出来ないはず、いい勝負かもな」
「相手はファストフレンドですか、なるほど、なるほど」
「次に、レース展開が紛れれば、当然伏兵馬台頭の余地が出てくる。マークする 相手が次々変わる混戦となれば、△マンボツイストにとってペースなどおかまいなし。 自分の競馬ができれば強く、嵌れば大穴ゲットだぞ」
「平安ステークス組ってけっこうここで結果残してますからね。今年は一頭この馬のみっすね。 やはり注意はしておかないといけないってことですね」
「おお。最後にもう一頭、乗り方が非常に難しいが☆ゴールドティアラ の末脚も侮れない。展開が超ハイペース、有力馬が意識しすぎて 総崩れ、閃光一線まとめて差し切り。あっこれじゃ、昔の日本流に逆戻りだけどな」
「21世紀初の師匠の予想も鋭いですね」「予想というよりは予言に近いですよ」と思いっきり よいしょする弟子達。
「ところで師匠、新年会はまだなんですが」
「おお、こないだは雪で出来んかったからな。よし、これが終わったら やってやるからな。おおっと、いけねえこんな時間か。じゃあ俺はこれでな」
と夜の街に消える師匠。


(弟子達の会話)
「おいおいトゥザヴィクトリーが本命か!?」
「ええ、馬は弱くないんですが、初ダートでGTですよ」
「ひところのダート重賞とはわけが違うんだからなあ」
「それに去年もキングヘイローが1番人気で惨敗してます」
「それって師匠の本命だったじゃねえか」
「えーと、あっそうだ(第58話参照)。本命にしてますよ」
「だろ。だいたいサンデーの仔でヤネが豊っていうと、ころっと騙される 奴が多すぎないか」
「あっ、いや、その。その気持ちはわかります」
弟子達の間に一瞬沈黙が流れる。
「うーん、実は俺もなんだよ。でも師匠の本命だから躊躇無く消せるよ」
「でもメンバーもそこそこ揃ってますよね」
「アグネスデジタルの故障、レギュラーメンバーの回避は残念だったけど、 ウィング、ファスト、ゴールドのGT馬にJCダート2着のサンフォードシチー など揃ったしな。あっ、ワールドクリークも一応GT馬だっけ。 。さらに、このレースに強い平安S組も勝ち馬マンボツイスト 、前哨戦根岸Sを勝ったノボトゥルー、ダート2戦目でひょっとしたらの芝GT馬 イーグルカフェとか脇役もそろってるな」
「ウィングアローは昨年の中央GT連覇。特にJCダートは昨年のベストレースとの 評価が高いレースだよな。あの殺人ラップを先行してぶっ千切った力は相当だよ」
「いやあ、あのレースは凄かったですよね。確か1600通過がフェブラリーSの 勝ちタイムより速かったんですから」
「それを先行して押し切ったんですからウィングアローは日本ダート界で は現役最強。で、本命というのが素直な予想なんですが、 どうやらドバイを見据えてここは叩き台との不安がありますよね」
「そうなんだよね。先々週の追いきりがバタバタ。今週は良くなったけど、 なんか間に合わせって感じだよな」
「で、サンフォードシチーが人気になっているようです」
「東京マイルは重賞勝ち含め2戦2勝、。距離不安のJCダートでも2着に入ってるもんな。 前哨戦の根岸Sでも休み明けで2着。一叩きの効果やここが最大目標だから軸としての 信頼性は高いよな」
「唯一の不安は村山が人気でもいつもの騎乗ができるかどうかですかね。ペースはどうせ スローにはなりずらいですから合うでしょうね」
「あとゴールドティアラはどうかな」
「前走の敗因は落鉄って原因がわかってますからいいんですが、気になるのは 南部杯を勝ってからどうも歯車があってないような。武蔵野Sでは1番人気を裏切ったうえ ワイド圏にも入ってません。JCダートは放馬でレースを除外、根岸Sでは落鉄と、なんか 運も落ちているような気がしますよ」
「前3走連がらみなしというのはGT狙うにはイマイチだな」
「もう一頭人気の牝馬ファストフレンドはどうですかね」
「是非とも中央のGTがほしいのはわかるんだけど、もう年だよな。 緩みないペースとかハイペースには馬がついていけない。地方の小回りでやや力の 要る馬場があってるからここでは狙いが下がるのは仕方ない。陣営や蛯名の執念に 期待はするけど」
「その他では前哨戦を勝ったマンボツイスト、ノボトゥルーがいます」
「平安S組はけっこう成績がいいんだよな。あと、今年は根岸Sが施行時期と距離が かわってフェブラリーSの前哨戦になっている。以前の銀嶺Sがこれにあたるんだっけ」
「ええ。でも今年は京都の平安Sのメンバーより根岸S組の方がレベルが高いですよ。 鞍上もペリエですから軽視はできません」
「平安S組はマンボツイストただ1頭なんだけど、四位って平安S勝ちしてここで 勝ったことがないだよな」
「そういえばそうですよね。京都の馬場は府中より軽いですからね。オースミジェット のように京都は強いけど府中はからっきしダメって可能性もあります。平安S組 がいいといっても、本番で上位に来てる馬は中山や府中での好走歴のある馬ですから 府中未経験のマンボツイストは割り引いて考えないといけないかもしれませんね」
「まあ、こんなところかな。ところで師匠に関して重大なニュースが入ってきたんだ」
「えっ、なんですか」
「それは○×▲※∂&#だ!」
「えーっ!」
続く・・・。



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この物語は、本当のことも書かれておりますが、基本的に フィクションです。実在の人物・団体・事件などにはいっさい関係ありません。また関係者?以外 の方が読んでも内容がよく分からないと思います。御質問があればメールをお送り下さい。答えら れる範囲でお答えしたいと思います。