同時進行!!ウィークリー馬券物語

第63回: 安田記念(GT)

「まったく。先週はせっかく当たったっていうのに祝勝会なしかよ」
「あの配当じゃ、当日のヤラレを埋めることは無理っすよ」
「あーあ。そういえば春のGTシリーズもこれで一服か。宝塚まで一休みだな」
「なにが一休みだ。お前達のような未熟者に休みなどないぞ」と師匠登場。
「えー、馬だって夏は休むじゃないですか」
「それはトップクラスの馬だけだ。お前達のような条件馬は手薄なローカルを廻るしかないんじゃ」
「わかりました。秋には上がり馬と言われているように頑張ります」
「おお、その心がけが大事だ。では安田記念の勝馬教えてやるぞ」
一同「はい」
「非常識の常識。一見おかしな表現だが、レースの中ではこれがまかり通ってしまう。例えば 上がり3ハロンのタイムにしても、ハイペース追走で33秒台を出し楽勝した馬が、次にスローペースで 楽走していても35秒を切れず惨敗はよくあるパターンだ。この数値的な不可解さは競馬の世界では 当たり前の話しだ」
「確かにおっしゃる通りですね。競馬はタイムだけではないですもんね」
「そうだ。安田記念のような国際交流レースでは、異質な馬が数頭参加することによりとんでもない 結末を迎え易い。同じGTレースでも、いわゆる怪物以外の強豪馬にとっては最終目標と狙い難く 、強運がないと勝てない」
「なるほど。ではその強運な馬はなんですか」
「本命に推す◎キングヘイローは、条件が揃わないと好走できない難しい馬だ。実力はあるのだが 、外枠でないと嫌だ、包まれると走る気を無くす等、彼的には今回も厳しい。しかし非常識の 常識で安田記念は勝つはずだ。何故か?天命と祐一が見方だからだ」
「はあ」とあまり意味がわからない弟子達。
「ちょっとお前達には難しかったか。まあいい。次に対抗だ。アラブの大富豪ゴドルフィンが 本気になった。○ディクタットは本質的にはスプリンターで、距離延長はマイナス材料。しかし 勝てる馬しか来日させないはずが、前走京王杯SC惨敗で目の色を変えてきた。世界ナンバー1の デットーリ起用で勝負だ」
「そのデットーリなんですが」
「ぬっ、デットーリならお前達でも知ってるだろ。彼に任しとおけば安心だ。お前らが心配することは ないぞ」
「はあ」と返事する弟子達。ホントはデットーリが来日不能と言いたかったのだが・・・
「そして素質馬▲シンボリインディが復調気配で抜群の追いきりを見せた。1年以上勝ち星がないが 、もともとスペシャルマイラーで、府中のマイルGTは復活の舞台。藤沢軍団ではこちらの方が狙い目 だぞ」
「スティンガーより上の評価ですか」と驚く弟子達。
「その△スティンガーだが、あまりにも前走京王杯が鮮やかすぎ。全てうまく嵌まり 、最速の末脚を披露。無論、勝利への最短距離にいることは確かだが2番続くか疑問。押さえ までかな」
「なるほど、確かにうまく行き過ぎたような感じでしたね。今回は豊でも岡部でもないですし」
「あと最後に国際レース故の人気の盲点、各下の海外から遠征馬、これが恐いぞ。香港のスプリンター である(注)フェアリーキングが何故ここにいるか。当然マネーを稼ぎに来たためだぞ」
「不気味な香港軍団っすか。こりゃ押さえておきます」
「まあ、こんなところだ。来月は福島遠征があるから今から積み立てしておけよ。じゃあ俺は これでな」と夜の街に消える師匠。

(弟子達の会話)
「おいおい積み立てしておくべきなのは師匠じゃねえか」
「そうですね。ボーナスも近いですいし、使わない事を祈ります」
「でもボーナス払いが終わったら残りなんかねえだろ」
「それについては我々も同じですが」
一同「・・・」
「いっそのこと、街金にもゼロ金利導入してくれねえかな」
「じゃあ今度、日銀の政策委員会で私が発言しましょう」
「そんなことできんのか」
「ええ、頭剃って武富委員になりすまします」
「じゃあ俺は女装して篠塚委員」
「では僕は竹刀持って乱入します。植田馬之助、なーんちて」
アホな会話してる弟子達。「ところでデットーリは来ないんですよね」
「師匠は気づいてなかったですね」
「でも飛行機事故だろ。よく助かったよな。この強運はディクタットにもあるのかな」
「そうかもしれませんね。でもキングヘイローに強運があるとは思えませんが」
「ああ、前走はいつものパターンで惨敗、その後ヨシトミは入院。すでに高松宮記念で 運を使い切ったってことだよ」
「師匠の本命という悪運ならついてます」
「キツーッ!じゃあ俺達一門全員が単勝買ったらどうなる」
「可哀相ですが予後不良です」
「うわー、国際的な良血馬を殺すわけにはいかない。俺達が買うのは止そう」
だったら競馬やめろよ、とこの国の神が言ってるのは当然一門に聞こえてはいない。


(更新6/3)

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この物語は、本当のことも書かれておりますが、基本的に フィクションです。実在の人物・団体・事件などにはいっさい関係ありません。また関係者?以外 の方が読んでも内容がよく分からないと思います。御質問があればメールをお送り下さい。答えら れる範囲でお答えしたいと思います。