ぬりかべ



12日放送のTBS「情熱大陸 左官・久住有生」から。

久住有生は左官になって16年。現地の土を生かして壁を作っている。父親の仕事を継ぎたくなくて、ケーキ職人になろうとして、高校時代はケーキ屋でアルバイト。そのときの経験が役に立っていると言う。

『壁の遊び人 左官・久住章の仕事』(世織書房)で父の章が語る。
お金があったら、下地も含めて、仕上げをどんどん変えられるんです。技術的には「基本」というものはあるけど、「基本」というのはある一定のランクの仕事を対象にして生まれた概念です。飛び抜けたお金持ちや権力者が現れたら、そんなものはひっくり返ってしまう。(p181)
注文する人の需要を満たそうとして、新しい技術が開発される。たとえば高知城は、土を使わずに漆喰だけで壁が作られている。

白浜の「ホテル川久」(p142)の仕事では、60坪の倉庫を建て、25人の職人が1年かけて練習した。かかった費用が1億5000万円。もちろんオーナーは全額出した。そうやって人工の大理石や珪藻土の壁が、あらたに開発された。

アメリカまで出張して壁を塗っている有生は、じつに楽しそうだった。

(2006-11-17)