蒼井優の熱情



TBS「情熱大陸」は、蒼井優の巻。きらきらひかる状態の伸び盛りの女優だ。

「高校教師」(2003年)のときはあまりいいとは思わなかったが、「タイガー&ドラゴン」(2005年)では変身をとげていた。わずか2年で、大きく変わった。その謎解きをかいま見た。

時の人の今を撮るのが番組の趣旨なので、過去についてはあっさりと紹介。ミュージカル「アニー」への出演が芸能界入りのきっかけだという。

映画への出演は、脚本をじっくり読んでから決める。セリフではなく、芯をつかんで演じるとのこと。「フラガール」の撮影シーンを見ると、身体を張っている。

日本映画全般でみると、質の低下が目立つけど、この身体を張った若者映画というジャンルがずっと好調だ。「がんばっていきまっしょい」(1998年)の田中麗奈あたりがルーツか。

「EUREKA(ユリイカ)」(2000年)の宮崎あおい、「リリイ・シュシュのすべて」(2001年)の蒼井優のようなマニア向け映画出身の若手が活躍している。そこに「スウィングガールズ」(2004年)の上野樹里や「パッチギ!」(2005年)の沢尻エリカも加わり、層をなしつつある。バブル期に生まれ、不況期に育ったということに関係があるのかと思いたくなる。

蒼井はオフのときにレンタルビデオ屋に行く。スピルバーグとかは好きじゃない。DVDを3枚借りたのだが、けっこうしぶい映画ばかり。(タイトルは忘れた)

「リリイ・シュシュのすべて」のオーディションは、思い出つくりのために受けたそうだ。これからも女優をつづけるかどうかはわからないが、映画に対するこだわりを耳にして、将来監督になれそう、と思った。

作り手のやさしいお姉さん目線を感じる番組だった。役者に対する好みは人それぞれ。でも、こういう子をいいと思う感性というか、価値観というか、そういうものを共有できる人とともにありたい。相手にことばが届くためには、そんな土台みたいなものが必要なのかなと、このごろ考えている。

(2006-09-18)