考えるヒット



 1997年のヒット曲を集めた『考えるヒット』は、小林秀雄の「考えるヒント」をもじったものだ。編集者が2枚のCDを選び、近田春夫がそれについて書くという選曲者別立て方式をとっている。

 全部で97枚のCDが取り上げられているのだが、ほとんど知らない曲ばかり。知っていたのは、SMAPの「セロリ」とB'zの「Calling」だけ。この年までほとんど音楽番組を見ていなかったことに気づいた。近田曰く、前者は踊れる曲であり作った山崎まさよしのCDよりもできがよく、後者は盟友松本孝弘への同志愛を歌っていると。

 巻末のインタビューの中で、小室哲哉、奥田民生、小沢健二、PUFFY、電気グルーヴ、B'z、ウルフルズ、スピッツなどについて語っている。
小室哲哉はどの曲にも彼の顔が一緒にあるけど、小林武史は匿名的なのね。(中略)小林武史にはあまり謎を感じないけど、スピッツみたいな音楽を聴いている人に、犯罪者はあまりいないんじゃないかって気がする。そういう人が多いってことは、世の中平和だってことでもあって、それはそれでいいことなのかもしれない。つまんないけど。
 最後に、KinKi Kidsの「愛されるより 愛したい」を大絶賛していることをつけ加えておく。

  • 考えるヒット 近田春夫 文芸春秋 1998 NDC767.8 \1429+tax
     19年ぶりの単行本
(2000-06-09)
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