恋におちたら



フジテレビ「恋におちたら」は、佐藤嗣麻子のオリジナル脚本。「夜叉(YASHA)」(原作:吉田秋生)でバイオ、今度はIT。これでテクノロジー系のドラマは佐藤が定番となりそうだ。テクドラ時代の幕開けかな。

ライブドア騒動でシナリオの書き直しをさせられたようだが、最終回直前で「幸せ」というキーワードを出してきた。

「高柳が幸せになることが、自分の幸せ」と桐野七海に語らせている。だから高柳を手伝ってあげて欲しいと鈴木島男に頼む。幸せを自分のエゴとして提出しているところが佐藤らしい。

これは「ピュア」での堤真一と和久井映見の役どころをひっくり返した設定だ。

自由を最大化することが幸福である。かつてはそう思っていた。ところが今は違う。

「あんたって、幸せだね」と言われることがある。そんな自分に、たいした自由はない。犬の世話があるので、海外旅行には行けないし、大金が使えるわけでもない。それでいて、やることはそれなりにある。本を買えば怒られるし、ドラマを見ない自由さえない。

まあ、それでもハッピーに見えるんだから、そうなんだろう。自由の大きさと、幸せの度合いは、比例するとはかぎらない。ということかな。

「エコエコアザラク」のときは、まだ彼女を知らなかった。文庫版萩尾望都「半神」の解説ではじめて知り、そして「YASHA」を見た。今回のドラマで、足場は固まった。これをきっかけに、大作に挑戦できるといいね、佐藤嗣麻子。

(2005-06-20)