五島の寅さん



フジテレビ「五島の寅さん」はやけに長いと思ったら、父の日スペシャルとかで、10年にわたる長期取材のドキュメンタリーだった。

5歳の子から高校生までが、朝の3時にたたき起こされて、家業のうどん作りを手伝わされる。ずっと寝てられるのは2歳の子だけ。

それから幾年月。オヤジが気に入ってくれた相手と一緒になった長女の結婚式は、身内だけの地味なもの。オヤジを捨てて京都に向かう次女は19歳。オヤジの気に入らない相手と同棲し、写真の勉強をするためだ。

3年ぶりに帰省した彼女を見ていて、あるマンガを思い出した。

たぶん『釣りキチ三平』で有名な矢口高雄の『おらが村』だと思う。やはり正月の帰省時の農家が舞台で、久しぶりにかえって来た息子はすぐに仕事で呼び戻されてしまい、娘は男問題をかかえていた。そんな中で、なごませようとお母さんばかりがハイテンション。高度成長以来、日本中でくりかえされたドラマなんだろう。

家を出て4年目、はじめて写真の個展を開いた次女の表情は、すっかり落ち着いていた。おだやかな今どきの女の子のそれだった。

(2005-06-20)