水がなくては生きていけない



 昨年のドンパチ以来イスラムに関心がよせられ、今や「イスラーム世界を読む」なんて教養番組までやっている。周囲が変わっていくのを実感する。なにしろ9月11日から21世紀がはじまったという人もいるくらいだから。

 いつだったかNHKの「こころの時代」という宗教番組に中村哲さんが出ていた。世の中がざわついているわりには、生の情報があまり入ってこなかったので、現地にいる人の話は貴重だった。中村さんがクリスチャンでなければ、このようにじっくり話を聞く機会はなかっただろう。

 アフガン旱魃の直接の原因は、山に雪が降らないことである。しかしなぜ降らないのか。それは地球温暖化が原因であると思う。少なくとも、そうでないという証拠はない。そして温暖化により、氷河は後退して、天然のダムができる。それが決壊すると、下流域は大被害をこうむる。そんな被害があちこちで起きている。温暖化により、海洋面が上昇し、南の島では水没しそうなところがある。

 温暖化が進むのは、二酸化炭素が増加するからである。だから温暖化を食い止めるために、二酸化炭素の排出を増やさないようにしようと国際会議まで開いて決めた。それに反対しているわがままな国はどこか。爆弾を落とすだけではあき足らず、日干し攻めにしているのかもしれない。

 対処療法だろうがなんだろうが、中村さんたちは井戸を掘りまくっている。今は人間にたとえれば、脱水症状を起こしていて点滴が必要な状態だからだ。

 アフガン救援の呼びかけがあったときに、私はユニセフ経由でお金を出した。でも、これからはちょっと考えなくちゃいけないかもしれない。国連機関では、ほとんどが事務局の維持費などに消えてしまい、現地の人のために使われるのはほんのちょっぴりだけらしいのだ。中村さんのところでは、90%以上が現地のために使われている。これからは、ごひいきのNGOを各自が持つようになるのかもしれない。Jリーグや野球のファンのように。

 作家の人たちも、メールマガジンで情報を発信している。しかしどうも国際政治などへの関心が強いように感じる。そのあたりが、現地にいる人とそうでない人との違いなのかも。
  • 医者井戸を掘る アフガン旱魃との闘い 中村哲 石風社 2001 \1800+tax NDC916
     蓮岡修「現地活動報告」つき

  • 新世紀へようこそ 池沢夏樹 光文社 2002 \1400+tax NDC316.4
     2001-09-24から11-17までの51本のメールに、コメントをそえている。

  • ペシャワールにて 癩そしてアフガン難民 増補版 中村哲 石風社 1992 \1800+tax
     中村さんの原点がわかる本。

(2002-05-10)
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