ラブストーリー



 恋が実ったその後にくるもの。それは幸せな結婚か、はたまた不幸の始まりか。ハリウッド映画から日本のテレビドラマまでを貫くものは、愛という形の物語だ。

 「愛していると言ってくれ」のような完全なるラブストーリーは、男には書けない。女性にのみ許される領域だ。今放送中の「世紀末の詩」(日本テレビ)のように、愛の形を多面的にこねくり回したくなるのが、男というものだ。一方、ちかごろ再放送された「青い鳥」(TBS)では、愛の逃避行が不幸の始まりになってしまう。

そういう具体的な生活というものをすっかり抜き去って、性のみを取り出して書いた本がある。『ほんとうに、このままでいいの?』の著者は、子どもを持ち、結婚生活も15年、40歳の大台に乗った今、赤裸々とも言える書き方で、女性の立場から夫婦の間の姓についてしつこく考察している。

 セックスレスが話題になったので、この本もずいぶん売れたのではないかと思う。もっともハワイへ男あさりに行く女たちには縁のない本だろうが。

 ところで「青い鳥」は、かっこいい豊川悦司に、色っぽい夏川結衣と幼なじみの永作博美を対比的に配し、母親役(あの歌手のリリー)などいい役者をそろえている。ただし、テーマソングがいただけない。足をひっぱている。その点、「世紀末の詩」は立派だ。定番ソングの"Love"と"Stand by me"を使っている。ちなみに後者は、私の結婚式でも使った曲だ。もちろん映画の主題歌としても逸品だ。「愛していると言ってくれ」のように、ストーリー、タイトルバック、主題歌の3つが調和したドラマを作ってほしい。

  • ほんとうに、このままでいいの? セックスレスと夫婦の関係 橘由子 大和書房 1994 NDC367.9
     女性ものを多く出している出版社だけど、編集がうまくいってない。冗舌すぎて読むのに疲れる。
(1998-11-02)