頭の中から元気になる



 『海馬』では、脳の専門家である池谷裕二氏の胸をかりて、糸井重里が言いたい放題である。

 海馬、扁桃体、側坐核などの専門用語が出てくるが、糸井の突っ込みによりとてもわかりやすい本に仕上がっている。13時間にわたる対談を4つの章にまとめ、各章には前ふりとまとめがついている。池谷氏のあとがきでは、キーワードが太字になっているし、親切この上ない編集ぶりである。
「脳の本質は、ものとものとを結びつけること」:なるほど。
「30歳を過ぎてから頭はよくなる」:うれしいな。
「旅は脳を鍛える」:旅に出る口実に使おう。
「失恋や失敗が人をかしこくする」:ふられてばかりいるやつはアホなのか。
「問題はひとつずつ解こう」:仕事に生かせそうだ。
こうやってみると、本書は実用書でもあり、めげそうな心を励ましてくれる本でもある。この際、"励起本"とでも名づけておこうか。
  • 海馬 脳は疲れない 池谷裕二、糸井重里 朝日出版社 2002 NDC491.3 \1700+tax
(2004-01-07)
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