おいしい男の選び方



 速水由紀子『恋愛できない男たち』は、カウンターに持っていくのがちょっと恥ずかしい本である。タイトルといい、表紙といい。小心者は、インターネットで注文するといい。

 基本的には、女性向けの恋の指南書である。
 本著では、ロリコンから自己愛オトコ、仮面恋愛症など、様々な恋愛コネクション能力の貧困な男たちを紹介し、その「愛せない理由」と処方箋を分析してみる。もし、不幸にして彼らのようなオトコたちを好きになってしまった場合は、忍耐と愛の力で更正させるか、あきらめて別のオトコを探すか二つに一つ。どっちにしても、愛されないのは自分に理由があるんじゃなくて、カレの問題なのだと知っておけば、無用な悩みでウツになる必要もない。
 人間、恋には膨大なエネルギーとコストを消費する。くれぐれも濫用は避けましょう。
 大切なのは、早めの見極めと方針決定なのである。
 と、いたって親切な本なのだ。

 もともと「AERA」などに書いたものが元になっているので、おじさんでも読めるし、若い男の子にとっては自分の位置づけを知るための教養書でもある。

 一番最初に登場するのは、ロリコンである。日本ではもっとも人数が多くて、目立つ存在だ。そのベースを作ったのは、宮崎駿であり、吾妻ひでおであり、セーラームーンなんだろう。しかし吾妻ひでおでさえ、今の美少女キャラを見たら、ちょっとひいてしまうんじゃなかろうか。秋葉原に行くと、若い男の子向けのコスプレ喫茶なんてものまである。

 そこで著者が、「恋愛市場の意外な掘り出し物」としてすすめているのが、フリーターである。ただし、パラサイトシングルではない自立型のフリーター。
 フリーターと結婚した場合、もっとも大きなメリットは、前節のように、彼が「妻男くん」的な存在になることに抵抗があまりない、という点だろう。企業に身も心も捧げていないぶん、二人の関係維持に多くのパワーを捧げることが可能なのである。
 ここにもフリーター支持者がいた。これを実行する女性が増えれば、日本の未来は明るいかもしれない。
(2003-08-07)
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