大人と子ども、どっちもどっち



 個性的な人になりたいという女性に、私は平凡な人でありたいといって、ひんしゅくを買ったことがある。「でも月並みと平凡とは違うんだよな」と心の中でつぶやいた。

 『さらに・大人問題』を読むと、自分がいかにただの人であるかよくわかる。これを書いた五味さんはなかなかの人物のようだ。
派手な結婚式をあげた人ほど離婚率が高いというデータがあります。ぼくが自らの周辺を取材して得たデータですが。なぜなら既婚者の八割か九割は、人生には結婚が必要だと思って結婚した人だからです。(中略)男と女が生物的に結婚した例は残り一割です。ぼくの調査では。
 質素も度がすぎて親戚からいやみをいわれた私は、離婚の確率がかなり低そうだ。

 「納税民主主義」という彼の提案もおもしろい。国が国家予算の内訳を発表し、納税者は自分が納める税金を割り振る。たとえば10万円納税する人は、国防がだいじだと思えばそこに全額つぎ込む。教育も大切だと思えば、一部は教育にまわす。みんなの税金が国防に集まれば、それがすなわち民意。これなら政府と民意がずれることはない。

 こんなのはどうだろう。テレビによく出るタイプのスーパーどけち主婦が、政府の作った予算案をばっさり切り落とす。そして政府が彼女たちを説得できない限り、予算を国会に提出できないようにする。これで財政赤字はあっという間に解消するはずだ。どう考えても浪費癖のある亭主よりも、節約名人のほうが金の使い方がうまい。多数意見を採用するよりも、いいと思わない?

 どちらにしても、国家予算の1%くらいは、ムダなことに使ったほうがよい。ムダがこころを豊かにするということもあるから。
子どもにはぜひほんものを見せたい、というような台詞、まったくげんなりします。そういうお前が偽者なんだろうが、なんて大人げもなくケンカ売りたくなっちゃいますよ。
 五味さんの結論は「大人が問題なのだから、各自でなんとかしろ」でした。
(2002-03-23)
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