世界に追いついた日本のサッカー



 もう何年もイライラさせられっぱなしだった日本のサッカーも、やっと世界レベルにたどり着いた。アジアカップはその証明である。どのようにして強化してきたのか、『日本サッカーはほんとうに強くなったのか』を読むとおぼろげに見えてくる。

 それは中高生の若い世代の育成システムにある。そしてそのシステムを作ったのが、元ヴェルディ川崎の加藤久である。「日本サッカーを強くしたのはだれか1」では、彼が作り上げた全国から有望な若者を発掘するための体制について述べられている。そして加藤は、中学生にとって高校受験がネックになっていると指摘している。

 「日本サッカーを強くしたのはだれか2」では、祖母井秀隆と布啓一郎が登場し、船橋市立高校での育成について語っている。指導者の役割は、かなり大きいようだ。

 「サッカーは正しく報道されているか」では、財徳健治などのジャーナリストがトルシエ騒動の内幕などについて語っている。中田にばかにされる報道陣を見て不安に思っていたのだが、この対談を読んではっきりと記者の甘えが読みとれる。まともな新人教育もできない新聞社に、ジャーナリズムの名称を使うのはいかがなものか。どう考えてもばかな質問をするなと怒る選手のほうがまともだ。サッカーを勉強しない記者に人を取材する権利などない!

 プロリーグ設立の話をはじめて聞いたときは、鼻で笑ってしまった。しかしJリーグができたからこそ今の日本のサッカーがある。新しいことをやろうとすると周囲の抵抗は大きい。そして変革者には、強い意志が必要である。川淵氏に続く人はだれなのか。日本サッカー協会の動向をみまもりたい。
(2000-11-04)