インターネット楽観主義日本は、アメリカに比べてインターネットの利用技術が2-3年遅れているといわれている。しかもインターネットの進化はドッグ・イヤー(犬の年齢が1年で人間の6-7年分に相当する)で進むから、日本は永久にアメリカに追いつけないのだと。 私もホームページを作りはじめてから、2年たった。でもインターネットの活用能力やホームページの運用は、今どきの人の3ヶ月目相当ではないかと思う。さしずめ亀・イヤーというところか。 今から3年も前に書かれた"Release2.0"(邦訳「未来社会からのメール」)を読むと、ちょうど私のレベルに合っていた。1951生まれのエスター・ダイソンは、アメリカの業界では超有名人らしく、ビル・ゲイツとも友達らしい。彼女の会社が毎年開催する「PCフォーラム」と呼ばれるシンポジウムには、政府関係者や大企業のCEOが大勢参加するそうだ。そんな著者が何年か先を見て一般の読者向けに書いたのがこの本である。 かなり冗長な文章なので、無理に通読する必要もない。第6章「知的財産」では、知的所有権が市場価値を失うだろうと指摘している。 ネット上では、誰でもコンテンツ供給者になれるために情報量が増え、供給過剰になる。というわけでコンテンツを商品にする人は、金儲けのやり方を変える必要がある。これが要旨である。 その代わりとなる11のビジネスモデル(金儲けの方法)を提示している。人を集めて講演や朗読などのパフォーマンスをしたり、会員制のサークルを作って会費を徴収する、製品をサポートするなどである。なんだ私が考えていたことは、3年も前に本に書かれていたのだ。コピー可能な情報は無料、サービスは有料という考え方だ。たとえば音楽でならば、曲は無料(もしくはごく安い料金)でダウンロードして聞けるが、コンサートは有料ということ。細かい例外はいろいろあるだろうが、ベストセラーを出版して出版社や本の著者がボロ儲けする時代は、そろそろ終わりにしたい。 最終章で、著者は自分自身の設計ルールをデザインすることをすすめている。当然のことながらそのルールはインターネット上でも適用される。そのいくつかを要約してみよう。 インターネットへの新しい参加者は、他の人に追随しようとするが、自分自身で判断を下そう。インターネットに対する楽観性は、私と共通するところがある。と同時にプライバシーという考えを見直すきっかけも与えてくれた。
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