狂牛病のその後



 2001年9月に狂牛病パニックが日本をおそった。多くの日本人が牛肉を食べなくなり、その後吉野家の牛丼もメニューから消えた。

 池田正行『食のリスクを問いなおす』では、パニック発生から翌年までの動きをレポートしている。著者は、BSEやプリオン病のことがよくわかっており、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の診療経験があり、英国での食生活の特徴、行政の仕組み、保険・医療サービスの状況、メディアの態度に通じていたので、1996年以降在英邦人に対して情報提供してきた。

 その経験を踏まえて、国内もうかうかできないと警告を発した。
2001年9月10日よりも前、私は異端だった。”安全なJビーフ”は砂上の楼閣であると言い放ち、国内でのBSEの発生の可能性を指摘した。2001年9月10日より後は、農水省を擁護し、牛肉を食べない人々を病気だと言い放った。これまた、異端以外の何物でもない。(p200)
 本書は、ヒトのプリオン病の基本知識から、ヨーロッパでのBSEパニック、農水省の対応、日本人の行動の問題点までバランスよくまとまっている。出版されてから3年たつが、食の安全性に関心あるのならまっさきに読みたい本である。
(2005-06-07)