日本人の美徳



 はじめて海外旅行したとき、ついうれしくてスライド大会を開いてしまった。ところが、みんなはおもしろないという。再度見直してみると、どうでもいい建物とか広場にある小便小僧とか、そんなものばかり写っている。おもしろいと思ったから撮ったのに。

 それからしばらくたって、路上観察学なるものがあることを知った。なんだ、いるんじゃないか、同類が。その頭目が赤瀬川原平だった。

 でも彼の本を読むことはなかった。そしてタイトルにつられて手にしたのが、『優柔不断術』である。

 あいまいな日本人どころではない。積極的に優柔不断をすすめている。優柔不断歴うん十年の私に、これほどぴったりする本はない。もしかすると、多くの日本人に向いている本かもしれない。居酒屋に入って「とりあえずビール2本くらい」といってしまいそうな人、あなたは優柔不断の素質がありそうですよ。もっと優柔不断しませんか。
(2003-05-02)
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