第5次行財政改革大綱実施計画 基本方針 高槻市総務部 第1章 第五次実施計画の策定について 高槻市では、平成8年2月の高槻市行財政改革懇話会による「行財政改革大綱の見直しに関する意見書」に基づいて、「高槻市行財政改革大綱」を平成8年4月に改訂し、それに基づき第四次実施計画を策定し、推進してきた。 その結果、4か年の達成状況は、達成率95%、効果額10,034,095千円(歳入増嵩分含む15,184、752千円)で、本市の行財政運営に大きな成果をもたらすとともに、職員の意識変革を促すことができた。 しかし、急速な「少子高齢社会」の到来は、財政需要の増大をもたらし、財政基盤をゆるがしかねない状況となることも想定され、本市が、高度化、多様化する市民ニーズに的確に応え、期待される役割を果たすには、行財政運営の健全性を維持しつつ、安定した市民サービスを供給できる行財政運営システムの再構築が必要になってくる。 そのためには、地方分権時代の中で、さらに「創造と挑戦」をキーワードに職員自らが、問題意識を持って自主的・個性的かつ創造的なまちづくりに挑戦し、行動する「行政づくり」に取り組む必要がある。 第五次実施計画はこのような時代の変化に的確に対応し、今後の新たな課題に即応するため、高槻市行財政改革大綱の基本理念を踏襲し、以下の基本的な考え方を追加し、計画の策定に取り組むものとする。 (1) 限られた財源、人員などの政策資源を有効活用するために、事業、施策の有効性・効率性などを把握して、総合的で適切な政策・施策・事業への配分を図るための選択を行う。 (2) 住民の自治意識、参加意識の高まりに伴い、納めた税金の使途が適切で施策が効果をあげていることを納税者に説明する説明責任(アカウンタビリティ)の確立に向けた取り組みとともに、「バリュー・フォー・マネー」の観点を重視した施策などの選択・展開を図る。 (3) 地方分権の進展に対応して、地域の特性、実情に応じて住民のニーズを反映した、自己決定・自己責任による施策・事業などの実施を行う。 (4) 前例踏襲主義などで表現されている、行政体質の改革を図るとともに、 職員の人材育成、政策形成能力の向上を図り、自治体としての総合的な組織力を構築し、行財政運営システムの創造的再構築を図る。 第2章 具体化の指針 第五次実施計画の重点目標を「効率的・効果的な行財政運営システムの確立」とし、その実効性を確保するため、以下のとおり体系化を行うとともに各実施項目の達成目標を数値化するものとする。 なお、実施期間は平成12年度から14年度までの3年間とする。 1 行財政運営の効率化 本市の行財政運営は、これまでの4次にわたる行財政改革の実施計画の実行により、簡素効率化が図られてきたが、今後の少子・高齢化の進行や、地方分権に伴う業務の増大、景気低迷に伴う財政状況の不透明性などから、第四次の実施計画に引き続きなお一層の効率性を追求する必要がある。 (1)事務事業の見直し 行政課題の増大に伴い、不断の見直しが必要であり、行政の責務を確認しつつ、公的関与の在り 方を厳しく見つめなおすとともに、施策の転換、廃止、縮小、統合などの従来の手法を活用し、よ り一層の簡素・効率化を目指す。 (2)財政運営の効率化 歳出の削減と歳入の確保を基本としながら、本市の財政状況を踏まえ、より健全性を高め、効率 的な財政運営に努める。 (3)職員定数の適正化 職員定数については、本市における将来像の見通しのうえに立って、再任 用制度との整合性 や将来的な職員構成、業務全般にわたる公的関与の在り方などを把握整理し、今後の人的資源 の投入量の予測をする中で、適正化のための目標数値を設定し、達成に努める。 (4)民間活力の活用 行政の責務を明確にするとともに、新たな行政課題等について市民が主体のまちづくりに向けて、 積極的に民間活力の活用を検討する。 (5)職員給与等の適正化 給与制度等については、社会経済状況の変化を的確に把握し、一層の適正化に努めるとともに、地方公務員法の趣旨に沿った制度運用を基本としながら、職員の勤労意欲や能力を活用できる制度を検討する。 (6)施設運営の効率化 施設運営については、その設置目的に配慮を加えながら、市民ニーズの多様化に対応するために、多面的・総合的な有効利用を促進するとともに、委託等民間活力の活用を図り、効率的な運営に努める。 (7)自動車運送事業の効率的運営 自動車運送事業については、これまでも職員定数の適正化、給与の適正化をはじめとした経営 の健全化に努めてきたが、現在の厳しい経営環境を踏まえて、より一層の効率的な運営に努め、経 営の健全化を図る。 (8)水道事業の効率的運営 水道事業についても、職員定数の適正化や民間委託等の推進などにより健全化に努めてきたが、 今後の経営環境の見通しを的確に踏まえ、さらなる経営の効率化・健全化を図る。 (9)外郭団体の効率的運営 行政課題等が増大していく中で、行政の補完的な役割がますます重要となることを踏まえ、その 設立目的や果たしている機能などに注視しながら、柔軟な人事施策を追及するなど、自主的・自立 的で効率的な運営が行えるように努める。 2 効果的な行財政運営システムの確立 限られた政策資源を、事業や施策の効果性・効率性を把握して、総合的で適切に有効配分を行っていくために、これまでの事業の執行の在り方などを見直し、市民のニーズに的確に対応した施策を推進する。 (1)行政評価システムの導入 限られた予算や人的資源を、いかにより効率的に投入活用し、その成果がどれだけ市民の満足を 得ているかという経営的な視点を重視し、施策や事務事業等を評価、点検し社会経済状況の変化に 的確に対応することを目的として、行政評価システムを導入する。 (2)行政の協働化の推進 少子・高齢化や介護保険、地球的規模での環境問題など、社会環境の変化に伴い、保健・福祉・ 環境等の分野で行政主体のサービス供給の限界が指摘され、そのために事業者やNPO、大学など との協働による仕組みづくりが必要となってきており、その構築等を課題とした、協働化の推進の 検討を進める。 (3)行政の透明性の確保 住民の自治意識、参加意識の高まりに伴い、行われた施策や事業が適切で効果的であったのかな どを行政自身が市民に対して説明する説明責任(アカウンタビリティ)を果たすなど、分かりやす い行政の実現に努める。 (4)行政プロセスの改善 新規事業については、その事業目的を明確にしつつ、総合的な視点による検討プロセスが必要で あり、そのための機関の設置を研究する。 3 職員の意識変革と行政体質の改善 職員のひとりひとりが役割を十分に自覚し、目的意識と課題解決能力を持った職員へと変革を進める。 また、今後の社会経済状況の変化に基づく行政課題に的確に対応して、自己 決定・自己責任ができる行政を確立していくため、従来の「行政体質」を見直し、市民から信頼される組織づくりに努める。 (1)行政サービスの向上 より一層の市民の満足が得られるように、経営的な視点を導入して行政サービスの向上を図り、 いわゆる「お役所仕事」といわれる仕事の進め方を見直す。 (2)機動的・横断的な組織の検討 今後の行政課題を考えたとき、縦割り的な組織対応では即応的な処理に限界がある。そうした課 題に円滑に対応していくために機動的・横断的な執行体制を検討する。 (3)職員研修の充実 職員研修については、これまで以上に自治体の自己決定・自己責任が求められてくるが、このよ うな状況に的確に対応していくために、職員の政策形成能力をはじめとして、質的な向上を目標と した職員研修の充実を図る。 (4)人事施策の改善 職員の公務能率の向上や、意欲と働き甲斐を高めるための施策の検討とともに、限られた人的資 源を柔軟に組織的に活用できる手法を確立するなど、人事施策の改善を図る。 4 新たな時代への対応 36万人余の人口を擁する中核的都市として、安全・快適で、質の高い生活環境を築くことが強く求められており、地方分権の一層の進展による新たな時代に向け、将来を見据えた取り組みを進める。 (1)行政の情報化の推進 多様なメディアを活用して、正確かつ迅速に行政情報の提供や地域情報の拡充に努めるとともに、 個人情報の保護の配慮を継続して、行政内部における情報化をさらに推進し、新たな時代へ的確な 対応を図る。 (2)地方自治の推進 地方分権のより一層の進展に伴う、地方分権時代にふさわしい国・府・市の役割分担と、財源も含めた権限の在りようを今後も積極的に国・府に働きかけるとともに、要件を具備した「中核市」への移行について、市民福祉の向上を目指し、前向きに厳しく協議し対応していく。 む す び 行財政改革は、地方自治を推進していくうえでの基本である、「最少の経費で最大の効果」を実現するための手段であり、不断に取り組むべきものである。 第四次実施計画は、「効率的な行財政運営」に目標をおいたが、第五次実施計画は「効率的・効果的な行財政運営システムの確立」に目標をおき、実施するものである。 新たな社会経済の構造・システム改革に対応した地方分権時代にふさわしい「成熟都市の創造」を進めるためには、市民とともに創る「まちづくり」と、行政自らの「行政づくり」を合わせて進める必要があり、行政の質の改善が急務であり、そのために第五次の高槻市行財政改革大綱実施計画を早期に策定し、一層の行財政改革を推進する。 |